2021年9月の読書記録

2021年10月12日(火) 17:51

本&映画の紹介

9月も順調に2桁読書を達成です。ワクチン副反応で、起きてられないくらいダルいけど眠れない……みたいな日が何日かあったのが読書を進めてくれました笑。

仏教系の本が多めなのは、急に仏道に目覚めたわけではなく笑、仕事関連の予習です。

小説はどれも面白かった。『乱反射』と『スメル男』は一気読み必至。でも、いちばんのおすすめはスウェーデン人作家による『The Book of Eels』です。日本語訳『ウナギが故郷に帰るとき』も出ています。スウェーデン人もウナギを食べるんですよ。かなり数が減っていてライセンスを持っている人しか釣れない決まりになってたし、食べ方も日本とはずいぶん違うんですけどね。スウェーデン人のウナギに対する想いや接し方も知ることのできる良い読書でした。そう言えば、帰国してからまだウナギを食べてないなぁ……。

献本いただいた『ビジュアル思考大全 問題解決のアイデアが湧き出る37の技法』については、もっと真面目な書評を別に書きましたのでそちらへどうぞ


読んだ本の数:12
読んだページ数:3308
ナイス数:74

カクレキリシタン 現代に生きる民俗信仰カクレキリシタン 現代に生きる民俗信仰
ブックカルテ選書5/7冊目。もはや隠れてもいなければ、キリシタンでもない、先祖から受け継いできた「しきたり」をワケも分からずに続けているだけなのに「宗教」という枠組みがゆえに祟りを恐れてやめられないという現代の有り様がしつこいくらいに語られる民俗学の本でした。唱えられる祈りの言葉(オラショ)は読解不能で、唱えている本人すら誰に向けているかもわかっていないとか、笑い事ではないけど笑える話を読みつつ、仏教や神道の行く末を重ねて想像してみたり、宗教そのものの必要性を考えてみたり、なにげに疲れる読書となりました。
読了日:09月01日 著者:宮崎 賢太郎

乱反射乱反射
密かに開催中の貫井徳郎祭り。最初の章の「-44」という数字にいきなり驚かされる。その手があったかー笑。物語の主軸となる幼児の死につながる小さな過ちたちが少しずつ語られます。個人的には犬フンを放置するじーさんが一番気に入らないけど、ちょっとしたモラル違反は誰もが犯していて、犯すたびに都合の良い言い訳を持ち出して自己を正当化し、責められれば責任を転嫁したり、無関係を貫こうとしたり(認知的不協和の回避というやつです)、みんなこんなもんだよなーって、最後に幼児の父親が気づいてしまうところで終わり。切ない。
読了日:09月05日 著者:貫井徳郎

不要不急―苦境と向き合う仏教の智慧―不要不急―苦境と向き合う仏教の智慧―
コロナ禍でなにかと自粛が求められる日々に仏教について勉強しています。自分たちの打ち込んできたことが「不要不急」とされて呆然とする経験を経た僧侶たちが、自らのあり方を内省し、仏教が成すべきことを考え、行動に移し、世に問いかける様子を伝えてくれる良書です。仏教についてはもちろん、わたし達が生きる社会の成り立ちや価値観のあり方などについてもいろいろ教えてくれる……というか、考えるきっかけをくれるお話の数々でした。
読了日:09月09日 著者:横田南嶺,細川晋輔,藤田一照,阿純章,ネルケ無方,露の団姫,松島靖朗,白川密成,松本紹圭,南直哉

The Book of Eels: Our Enduring Fascination with the Most Mysterious Creature in the Natural WorldThe Book of Eels: Our Enduring Fascination with the Most Mysterious Creature in the Natural World
スウェーデンの本屋でおすすめされて買った本をやっと読んでみたら名作でした!「鰻にあまり興味がない」と言ったら「どちらかと言うと父と息子の物語よ」と言われて、それならば…と買ってみたら結局2/3は鰻の話だった笑。それでも、人類が鰻の謎を追いかけてきた歴史、未だに解明されていない事実、そして絶滅が危惧されるまでになってしまっている現状なども興味深く、勢いよく読了しました。コレ翻訳したいぞ!と思ったら、すでに日本を含む34カ国で翻訳出版されている世界的ベストセラーでありましたとさ。
読了日:09月13日 著者:Patrik Svensson

対話の技法対話の技法
対話の最大の効果は「その主題についてある程度は分かっていると思っていた対話者の思い込みを、思いがけないかたちで破壊」すること。つまり、対話がもたらすのは「結論や合意や知識」ではなく「思い込み」を壊して自らを無にすること。覚悟を持って挑むべきものが「対話」であり、「言葉を語り受け止める訓練を積む」ことが社会生活を営むわれわれ人間には求められるんだぞ!という哲学がやさしい言葉でわかりやすく綴られているように見せかけて、哲学なのでやっぱり深くてむずかしい内容でした。余裕があるときに再読したい。
読了日:09月17日 著者:納富 信留

完全図解 仏教早わかり百科完全図解 仏教早わかり百科
お寺プロジェクトのための勉強本。住職さんのおすすめだけあってかなりしっかり勉強できる内容でした。在家の人が守るべき五戒の筆頭が「殺生をするな」というのはすこぶる納得なのですが、5つ目が「酒を飲むな」なわけでして(知らなかった……)、わたしの行き先は地獄に確定しました。それはともかく、仏教がどう生まれ、どう伝わり、発展し、ここまで根付いてきたのかをざっくり理解……したつもりだけど記憶に定着するまでにはいかないボリュームだったので、前半は要再読。今後の寺巡りや仏像見物が豊かになりそうなのがうれしい。
読了日:09月22日 著者:

桃尻娘桃尻娘
『ニッポンの文学』からの抜粋9冊目。1981年に初版が発行されたというから、39年前。わたしが小学生の頃に高校生だった姉さんや兄さんの青春の物語。そうかー、すでにそんな感じだったのかー、へーとか、ほぉ~とか言いながら、時にはバカ笑いしたくらいにして楽しく読みました。自分の高校時代がフラッシュバックしてきて吐きそうになったりも笑。学校祭最終日、デッカイ焚き火の回りでフォークダンスした後、男女も学年も入り混じって「どこ行くぅ~?」とかいって盛り上がるみたいの、あったわー笑。というわけで、中年代におすすめです。
読了日:09月23日 著者:橋本 治

一葉のきもの一葉のきもの
ブックカルテ選書6/7冊目。「きもの」が多くの人にとってまだ日常着だった頃、吉原の花魁が着る豪奢なきものも間近に見ていた樋口一葉は、着るものにも食べるものにも困るような家に生まれ育ち、それでも教養を身に着け、オシャレをすることをあきらめず、必死に生きた。後に紙幣の顔になるほどの彼女がこれほどの苦労をしていたことも知らず、現代の豊かさをあたり前に思っている自分を省みる良い機会になりました。紹介されているきもの達も時代を感じさせない粋なものばかりで、久しぶりにきものを着てみたくなりました。
読了日:09月24日 著者:近藤 富枝,森 まゆみ

本にまつわる世界のことば本にまつわる世界のことば
ワクチン接種の副反応で発熱中の読了。程よいショートストーリーたちでした。ステキだな……と思う物語はだいたい松田青子さんによるものだったので、彼女の作品を読んでみないとですわ。それにしても、挿絵が良い。見ているだけで和む。紹介されている関連書籍たちも魅力的。
読了日:09月24日 著者:温 又柔,斎藤 真理子,中村 菜穂,藤井 光,藤野 可織,松田 青子,宮下 遼

文芸ピープル 「好き」を仕事にする人々文芸ピープル 「好き」を仕事にする人々
ロンドンの本屋で村田沙耶香の『コンビニ人間』を見つけて「へぇ~」って思ったのがちょうど2年前。表紙がイマイチ過ぎると思ったけれど、アレでも村上春樹以外の日本人作家の本(翻訳書)を英語圏の本屋の店頭に並べ、しっかり売るための戦略が(あたり前だが)あったのだよね、と。日本人女性作家による作品が今、世界で話題なのだそうです。話題の渦中にいる女性作家たちとその作品たちがたくさん紹介されていて、読んでいない本があまりにもたくさんあることに驚愕しました。2022年の月イチノルマ本をこれらから選ぶことを決定!
読了日:09月25日 著者:辛島 デイヴィッド

スメル男 新装版スメル男 新装版
自分が発するニオイにまったく気づけないのがどれほどの悲劇なのかがよくわかりました。天才少年たちに救われてからの怒涛の展開がスゴイのだけど、しかし、嗅げば瞬時に嘔吐するほどのニオイというのが想像できない。一人の人間が発するニオイが東京都内に広まって苦情殺到ってあり得るかな?そこを気にしすぎると物語を楽しめなくなると思いつつ気になって仕方ない。それはそうと、1989年初版発行とは驚きました。最近のアレヤコレヤを参考に発想した物語だと勝手に思いながら読んでましたが、むしろ逆。いろいろ予言されていた感じ。
読了日:09月26日 著者:原田宗典

ビジュアル思考大全 問題解決のアイデアが湧き出る37の技法ビジュアル思考大全 問題解決のアイデアが湧き出る37の技法
わたしはお絵かき好きではないのだけど、考えて見れば文字だってひとつの外化の形なわけで、絵にしにくければ「文字」で書けば良いんだよってあって「ハッ!」としました。「ビジュアル」=「絵」という先入観をまず捨てないとだ。「ビジュアル思考」は「外化しながら考える」ってことで、外化の形は絵に限らない。「要約の蜂蜜」と「内省の水面」の文字多めのヤツはわたしにも活用できそうだぞっと! 各章の最後に登場する「魔物」が秀逸。これらを閃いたときの嬉しそうな著者の顔が容易に想像できる笑。
読了日:09月29日 著者:三澤 直加