毎日朝食で悩みたくない

2021年06月16日(水) 14:03

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SMÖRGÅSBORD & EASY BREAKFAST
How does lagom work when Swedes think about eating? Stress-free breakfast is one example. They make a sandwich with whatever they can find in the fridge, like cheese, cold cuts, boiled eggs, some slice of cucumbers and/or green leaves. Those who want more, just add another layer of them. Preparing Japanese traditional breakfast is too stressful, not lagom I mean. Smörgåsbord for feasts is another example. Almost the same dishes would be set on the table for every feast with a slight change, like deviled eggs for Easter, strawberry for Midsummer, and ham for Christmas. Guests build and scale their smörgåsbord according to their individual tastes that is lagom. Making it simple is a key factor to understand lagom.

スウェーデン人の行動規範「Lagom(ラーゴム)」が日々の生活にどう現れるのかを考察しています。今日は衣食住の「食」について。

耕作に耐える土地が少なく、気候も厳しいスウェーデンでは、加工して保存された肉や魚、他国から輸入した野菜や果物に依存せざるを得ない面が大きいです。そういう土地柄のおかげかベーコンには最初から塩味がしっかりついていて、当初、それに気づかずさらに塩をふってしまっていました。バターもたっぷり塩入り(Extrasaltat)のものが人気です。

スウェーデン料理の代表格として知られるのは「Smörgåsbord(スモーガスボード/略してボード)」です。日本ではなぜか「バイキング」と呼ばれるビュッフェの原型がSmörgåsbordです。並ぶお料理は、ニシンの酢漬け、サーモンのマリネ、ミートボール、ソーセージやレバーペーストなど加工された肉や魚がメインです。

Lund(ルンド)のグランドホテルで大枚はたいて食べたクリスマスディナー↑はまさにSmörgåsbordですが、クリスマスなので特に「Julbord(ユールボード)」と呼ばれます。イースターのお祝いなら「Påskbord(ポスクボード)」と名を変えます。でも、並ぶ料理はほぼ同じ。ですが、イースターならデビルドエッグが、夏至祭には苺が、クリスマスにはハムやローストビーフなどが追加されます。毎回だいたい同じものを作って、1~2品、季節感を伝える料理を加えるという省エネ思考で成り立つのがスウェーデンの年中行事です。

そして、この「省エネ思考」がまさにLagomです。要は「あまり考えなくて済むようにする」ということなのだとわたしは解釈しています。だって、考えるにはそれなりのエネルギーがいりますし、きっちり考えて対処しようとするとストレスを感じますよね? そういうストレスを感じずに済み、食事をともにする家族や友だちにも感じさせずに済むちょうど良いご馳走がSmörgåsbordです。気心の知れた友人や家族同士であれば、どれを作るか分担して持ち寄ることも多いらしいです。各自が程よくがんばるというか、誰かが孤軍奮闘するような状況を避けて、全員がそれぞれのLagomに見合った貢献をして社会が成り立つ仕組みの原型がSmörgåsbordに見られます。

お料理が並ぶボード(Bordだけだと「テーブル」の意味です)から、各自が必要とする量、つまり自分にとってのLagomな量のお料理を取って食べるスタイルにすれば、全員に同じ量の食事が行き渡るように作り手が取り分ける手間がなくなるし、もしお料理が全員に行き渡らなさそうなら各自が取る量を減らすという自動調整システムがLagomに則って作動するはずだから笑、結果的にちょうど良く全員に行き渡るという素晴らしい仕組みでもあります。

朝食も「ありもので適当に済ます」のが基本。パンにバターをたっぷりと塗って、葉っぱとハムとチーズを挟んでかぶりつく。足りなければ二重にしたり、卵を追加したりして、自分にとってLagomな量を食べるのがスウェーデン人の朝食です。ホテルの朝食も↑このように自分好みのサンドイッチを作れるように準備されているのが通例です。日本のように、朝からご飯を炊いて、鮭を焼き、卵焼きを作って、納豆を準備して……なんてやってたら疲れるじゃん。そんなストレスまっぴらごめん!というのがスウェーデン流。毎朝着るモノで悩みたくないのと同じで、毎日朝食で悩みたくないですもんねー。

おかげさまで、うちの旦那もLagomな朝食を自分で作れるようになりました笑。