スウェーデン人の行動規範「Lagom（ラーゴム）」が日常生活にどのように現れてくるのかを考えます。まずは衣食住の「衣」。

3年前、挨拶以外ではじめて覚えたスウェーデン語は「Loppis（ロッピス）」でした。車で走っていると、路肩にちょいちょい「Loppis」という看板が出ているので気になって調べたんです。「フリーマーケット」のことでした。

Lund（ルンド）市内↑にも郊外にも、夏になるとみんなが集まってきて露天を広げる場所があり、衣類をはじめとする不用品全般を売ったり買ったりするスウェーデン人の姿はよく見かける光景でした。

すこし田舎へ行くと↑、路肩にバーンと商品を並べたり、自宅の1階をお店にしてしまっている「常設Loppis」も見かけます。売る側に立つのが面倒という人のために、不用品を回収して売りさばいてくれるセカンドハンドショップもあちこちにありました。

着なくなったものは手放そう。逆に買うときは、使いみちが豊富で長持ちする上質のものを無理のない金額で買おう。Lagom精神で洋服探しをするとこんな感じになるようです。

日本でも、一定期間着なかったものは手放してしまおうという考え方はあると思いますが、これはどちらかと言うと狭い日本の家屋ですっきり生活するための知恵ではないでしょうか。スウェーデンの場合は、「今日は何を着ようかな……」と考えるときに洋服のチョイスがあり過ぎると選ぶの大変でめっちゃストレスじゃん？ってことになるみたい笑。あまり考えず、ストレスフリーで生きていくための指針がLagomです。

最近では、アパレルブランド自身が「re-use」商品を店頭でふつうに販売しているケースもかなり増えています。リペア（修繕）しながら長く履くことを推奨するジーンズブランドとして名高い Nudie Jeans（ヌーディージーンズ）や環境への影響を最小限にして持続可能なものづくりに全力で取り組むアウトドアウェアのブランド Houdini（フーディーニ）などはその代表格です。どちらのブランドもお値段高いです。re-use商品でも高い。しかし、持続可能な素材を使って丁寧に作られた商品は長持ちするから、長い目で見たら安上がりになるし、環境にもやさしい。それに「re-use」商品は、前の持ち主が使い倒してなお使える状態なわけで「上質」であることの証です。そういう上質なものを少量揃えておくことで、毎朝なにを着るかで悩むストレスから解き放たれることをねらうのがスウェーデンスタイル。

スティーブ・ジョブズが「イッセイミヤケのハイネックにリーバイス501」を毎日着ていたのも、毎朝洋服を選ぶためのエネルギーを節約するのがねらいだったと言われていますから、同じですね。ジョブズはLagomっていたわけです。

スウェーデンから戻るときに衣類も相当リサイクルへ回してきたので、わたしのクローゼットも今めちゃくちゃLagomっています。このまま増やさないのが目標。買わない。買わないぞー。どうせ出かけないんだから買うんじゃないぞー＞自分。