コロナ禍の帰国日記⑤

2021年04月02日(金) 20:56

UXいろいろ, 日本発信四方山話, サインやUIの話
HOMECOMING DIARY - PART 5
I am about to finish the second quarantine day, and I don't repeat the story about similar (low) quality of foods. For my Japanese friends living in Sweden (or other foreign countries), today, I share how hard to get the certificate of inspection in the given required format by Japanese government. No wonder that is caused by the poorly-made format by Microsoft Word. Just to require 2 additional information (Nationality, and collected sample either Nasopharyngeal swab or Saliva), Japanese government forces medical institutions in other countries to fill out the specific format. To get it done, we had to call a doctor living and working from home in Norway for several times. Hej doctor, you are not good at creating a document, but I know that much of the blame lies with the format itself.

強制隔離生活2日目は、1日目とほとんど変わりませんでした。お昼ご飯が来てない!事件がなくなったくらい笑。なので、すこし時間を遡って、スウェーデンで入手した「出国前の検査証明書」の話です。

2021年3月19日以降、出国前72時間以内の検査証明書を提出できなければ日本への上陸どころか日本へ向かう航空機への搭乗も認められなくなっているのはコロナ禍の帰国日記①に書いたとおりです。その検査証明書に記載すべき内容は、厚生労働省のホームページに以下のように記されています。

  1. 氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別
  2. 検査法、採取検体
  3. 検査結果、検体採取日時、結果判明日、検査証明書交付年月日
  4. 医療機関名、住所、医師名、医療機関印影
  5. すべての項目が英語で記載されたもの

「5. すべての項目が英語で記載されたもの」というのは「内容」ではなく、それを英語で記載すべしという書式の指定なので他の4項目と並列なのが果てしなく不思議ですが、そんなことにこだわっている場合ではありません。とにかく日本政府指定のフォーマットを埋めてもらうことが大事。スウェーデンの主要都市にクリニックを構える iDr Kliniken は、このリクエストに応えてくれるというか、対応した経験があるという話でした。そして、受診前に言われた手順は「検査結果を受け取ったら“XXX”という医師の電話番号“YYY”に電話をして、日本対応フォーマットを発行してもらうように直接話をするように」ということでした。

で、検査当日の真夜中に陰性の検査結果を確認した翌朝、YYYへ(旦那が)電話をしたら耳に馴染みのない言語の自動応答で焦る……。しつこく鳴らし続けたら応答してくれたけど「この忙しいときに誰?」みたいないかにもご機嫌斜めな声色。しかしここで怯んでは帰国できないってんで旦那も負けじと、電話番号を知った経緯とこちらの要求を伝えました。相手は在宅ワーク中のノルウェー人医師で、後ろでは子どもがギャン泣きしていて、一度は「電話で話している余裕がないからSMSでリクエストを送ってくれ」と言われ、切られてしまいました……。仕方がないので言われたとおりにSMSを送る。無反応。こっちも余裕がないので再度電話を鳴らすと「うるさいなー」という雰囲気だったけれど仕方なく聞いてくれて、比較的すぐに対応してくれました。ホッとひと安心。……と思いきや、メールで送られてきた検査証明書を見ると旦那本人の分しかない! おいおい、それじゃー嫁が置き去りになってしまうやないかーい! ってことでまた電話。また嫌な顔をされる(見えないけど笑)。さらによくよく見ると、記入された内容が間違っていたりとかして、もうこっちのテンションも上がったり下がったり大変でした。

この厄介な事態の根源は、日本政府が用意したフォーマットです(言い切ってやる)。こんな大事な書類を、Wordで、いかにもお役所仕事な感じで作って平気でいられるのがお役所ですかね……。↓がわたしの検査証明書(いちおうパスポート番号と生年月日は隠しておく笑。あと、医療機関・医師名と印影が記載されていた下部は切ってあります)。

記入してくれた人の戸惑いを映すかのようにというか、美しく読みやすいドキュメントを作る意思を微塵も感じさせない崩れたままのレイアウトに、統一感のないフォントサイズ。年月日が西暦記入なのはせめてもの救いです。昔は、生年月日の記入欄に「昭和」とか事前に印字されていて、外国人に説明して西暦とはちがう数字を記入してもらうのが大変でしたから。

それにしても旦那曰く、iDr Kliniken のオリジナルフォーマットに不足している情報は「国籍」と「採取検体」のふたつのみ。前者は、パスポートから転載されるだけの情報だからわざわざ検査証明書に追記する必要ないし、後者の検体採取方法は「鼻咽頭ぬぐい液」か「唾液」の2種類しかないのだからオリジナルの備考欄にでも追記してもらうという対応で良いのではないだろうか? もちろん、日本側で内容を確認するときに所定のフォーマットに記載されたものであれば効率が良いだろう。しかし実際には、この証明書を最初に確認し、航空機への搭乗を許可して良いかどうかを判断するのは、航空会社のチェックインカウンターにいる日本人だったり、そうでなかったりする職員です。そこでのチェックをしやすいようにフォーマットを準備・提供することのほうが優先されるべきではないのだろうか? そのためには各国各社のフォーマットをそのままに足りない情報を確実に追記されるよう工夫するほうがきっと効率が良い。

所定のフォーマットによる検査証明発行に対応する医療機関がない場合には、任意のフォーマットの提出も可としますが、上記の「検査証明書へ記載すべき内容」が満たされている必要があります。

厚生労働省のホームぺージより


こんな記載もありましたが、iDr Kliniken はもう対応できるということになってしまったので、スウェーデンから帰国する日本人は「任意のフォーマット」が許容されるかどうか微妙な感じになりました。わたし達より前に対応済みって話だったから、決してわたし達のせいではない(はず笑)。

医療機関・医師名、印影については、必ずしも各国で取得できない事情があることから、検疫官の判断により、有効な証明とみなすことがあります。

厚生労働省のホームページより


こんな記載もありましたが、「検疫官の判断」は日本に飛んできてからの話で、そこで「NG」と言われたら入国を認められないという恐ろしい展開……になるのか? 日本人であればさすがに入国拒否まではされないかもしれませんが、外国人の場合はリスキーですね。怖いので挑戦しないほうが良いです。

この検査証明書に限らず、帰国に関連して目にする書面やアプリはいずれも改善の余地が随所に山盛り。刻々と変わる状況に対応を続けるのも大変だとは思いますが、もうすこしなんとかならないものですかねー。