ガチョウを食べるという伝統

2020年11月10日(火) 18:44

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TRADITIONAL GOOSE DINNER
Never thought of tasting a blood soup in Sweden, but it seems to be a tradition. St.Martin, who was not interested in becoming a bishop and tried to escape with a help of geese, forced people to eat geese as punishment for revealing him. What a caviler, and what a saint! Well, it's fair enough for people in the old days to have an excuse and opportunity to eat delicious food to start the coming harsh winter season, I think. And the celebrating menu here in Sweden is the black soup (meaning the blood soup) as a starter, the goose, and Scanian apple cake as dessert. Some popular restaurants in and around Lund were fully booked, but I somehow found a table for us at Hypoteket, a secret banquet hall behind this heavy door.

11月11日は、St.Martin’s Day(聖マルティヌスの日)と呼ばれるキリスト教の聖名祝日です。その前夜にガチョウ料理(Mårten Gås)を食べる風習がスウェーデンの中でもSkåne(スコーネ)地方には根強く残っています。

という事実に、3年目にしてやっと気づきました笑。スウェーデン人たちが以前、秋にはガチョウがどうのこうのと話していたのを「いまいちよくわからんな……」とか思いながら聞き流していたのだけれど、愛用のシイタケ屋さんのサイトに「MÅRTEN GOOSE EVENING」なるイベント情報があるのを見つけ[1]、「これが例のガチョウのやつでないの?」と思って速攻予約をしようとするも時既に遅し。すでに満席でした……。大人気やないかぃ!

[1] 噂のガチョウを食べるやつ? [2] スーパーで丸っと買える! [3] ガチョウディナー用ビールも

スーパーへ買い物に行けばガチョウ肉が丸っと売ってるし[2]、酒屋へ行けばMårten Gåsにあわせて作られたと思しきビールまであるし[3]、たくさんヒントがあったのに、2年間まったく気づかなかったものですねしかし。

ところで、なぜガチョウなんだ?という話。

St.Martinは、4世紀初頭に生まれたローマ人で、ローマ帝国のために闘ったあと洗礼を受け、修道士となった人。司教として選ばれたときに気乗りがせずガチョウに紛れて逃げようとしたけれど、ガチョウが騒いで見つかってしまい、村の人たちに「年に一度、ガチョウをさばいて食っちまうように!」と八つ当たりチックな罰を与えることを命じたという経緯があるとかないとか。そんなんが聖人になっちゃうんだから宗教ってアレですね笑。そんなすったもんだがあったのが西暦371年11月11日だったということらしいです。出典はこちらのサイト

特にSkåneに伝統が残っているのは、19世紀の農地改革の際、ガチョウ農家が生き残れたのがSkåneだけだったから。ま、ガチョウを飼育してくれる農家がいないと食べられないですからね。

そしてお料理は、前菜にsvartsoppa/black soupと呼ばれるガチョウの血のスープ、ガチョウのお肉を使ったメイン料理の後、スコーネ地方伝統のリンゴケーキというのが王道で、1850年代にストックホルムにあったPiperska murenというレストランがコースとして仕立てたのが始まりらしいですが、これがSkåneに持ち込まれる以前のメニューは、前菜が干し魚で、デザートはお粥(スウェーデンのお粥は甘いのよ)だったらしいのでかなり貧乏くさい笑。

という感じでいろいろ調べていたら、血のスープとかまったくそそられないけど、一度くらいは食べてみるべきではないかと思い、探しまくった。Lund随一の高級レストランMat & Destillatでは、伝統を重んじて11月10日の一夜限りでMårten Gåsをふるまうらしいがやっぱり満席。大人気やないかーい! クリスマスディナーの割高感が忘れられないグランドホテルのレストランGambrinusは、11月2~15日の2週間もMårten Gåsをふるまい続けるという節操の無さ笑ですが、最後の手段はココってことで、Lund郊外も含めて探しまくった結果、大聖堂の向かいにコッソリ存在する結婚式場みたいなところHypoteketがなんとなく良さそう。予約はメールで!という手間のおかげか笑、前々日の問い合わせでも席を手に入れられました。これまで何十回も入り口の前を通り過ぎていましたが存在に気づいていなかったHypoteketはこの重厚な扉の向こうです。

この重厚な扉の向こうでガチョウディナーを食べます!

長くなったのでお料理の話は明日につづく。