客室に破損報告シート

2020年02月14日(金) 18:28

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DAMAGE REPORT SHEET
The butterfly chair in our room at the Clarion Hotel Sign was broken. I wanted it to be replaced, but the front desk didn't answer my call, so I left it as it was. This reminded me of the "damage report sheet" provided in the room of Parador in Spain. To keep the things in the room well maintained, the hotel asks guests to cooperate, which could be nice. Housekeepers should check them in a sense, but they would never sit on the chair to recognize the damage, but guests who stay there for a night or two should have noticed it. Such a sheet asking a cooperation could be a great idea to develop a better experience at a hotel.

Stockholm(ストックホルム)では、 客室に北欧デザインの家具を設えていることを売りのひとつとする Clarion Hotel Signに泊まりました。3階はスウェーデン、4階はノルウェー、5階はフィンランド、そして7階から10階まではデンマークデザインという配分になっています。で、わたし達は7階のデンマークデザインの部屋に通され、さんざん荷物を広げたあと、出かけようとしたときに写真[1]を見て、「4階が良かったなぁ~」とか思いましたが面倒なのでそのまま7階の部屋に泊まりました。

で、食事を済ませて部屋に戻って、一息ついてたら、Arne JacobsenのButterfly Chairがあるにはあるけど、写真[2]のとおり壊れて傾いてしまっているのを発見! この家具が売りなのに、壊れてるってないわー!と憤慨し、フロントに電話をして取り替えてもらおうとするも、電話は通じず。結局、そのまま傾いた椅子でガマンしてしまいました。

[1] 北欧デザインの家具が売り [2] バタフライチェア壊れてた… [3] パラドールの破損報告シート

そこでふと思い出したのが、スペインで泊まったパラドールで見かけた「破損報告シート」です[3]。修理が必要なところを見つけたら、この紙にチェックしてお知らせくださいねーって書いてあります。パラドールは、歴史的な建造物(つまり年代物)を改築したホテルで、客室の備品や什器もそれなりのアンティークと思われます。これらを長く使い続けられる状態に保つためにはメンテナンスが大切なわけで、お客さんにも協力してもらっちゃおうという、考えてみたら斬新な取り組みです。客に頼らず、清掃係がチェックするのが一番かもしれませんが、一晩なり二晩なりその部屋で過ごしたからこそ気づくことというのがあるにちがいありません。先の椅子も、掃除のときはこれをよけて床に掃除機をかけるだけで、清掃係が腰掛けることはないはずです。だから気づかないままになる。

客のほうからすると、「自分たちが壊したと思われたらイヤだ!」「賠償とかいうことになったらやぶ蛇だ!」という気持ちが芽生えれば、わざわざ自分から報告するというアクションを起こしにくくもなります。そしてホテル側は気づかないままになる。パラドールのように「ご協力お願いします」という雰囲気で紙が置いてあるだけで、「ちょっと書いておいてあげようかな……」となるから人の気持ちって不思議。