通訳の料金ケチるべからず
2018年06月20日(水) 16:04
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, リサーチャーの知恵袋- GET ENOUGH BUDGET FOR A GREAT INTERPRETER
- When we have a client from abroad for a user research project, we need to assign an interpreter. To find an appropriate and ideal interpreter within the budget, we need to know whether the client expects to understand the brief summary or the details with nuance. For the client with the latter expectation, we definitely need to find a super experienced simultaneous interpreter who is able to catch up with my super flexible semi-structured interview. If an interpreter who is not familiar with user research is assigned for the client who expects to understand the details, it might ruin the interview, because additional questions from the client caused by some imperfect or delayed interpretation could interrupt the interview as happened in the field. In conclusion, project manager should try really hard to have enough budget and time to keep an experienced interpreter who’s familiar with a user research for any project.
外国からわざわざいらしたクライアントと通訳さんを伴って行う訪問調査。長年かけて随分と経験を積んできたので、訪問先で困ったことにならないよう、脱ぎ履きしやすい靴を履いてきて!とか、靴下忘れずに履いてきて!とか、電気泥棒しないで!とか、事前に伝えられる注意事項は伝えて、かつ訪問先では私の指示に従うように!と念押しを怠らないことの大切さは身に沁みています。
でもやはり、毎度いろいろ反省点がある。クライアントの通訳に対する要件がどのレベルなのかを事前に把握しておくことが大切だよな、っていう話が今日のお題です。
わざわざ日本まで来てリサーチの現場に身を置きたい、肌で多くのことを感じ取って持ち帰りたいとする想いはどんなクライアントも同じです。それでも、ざっくり言っちゃうと、
- どんな話がなされているのか「概要を知られれば良い」とするクライアント
- ニュアンスも含めて「できる限りすべての発話を知りたい」とするクライアント
に大別できるように思う。
1のクライアントは、どうせ通訳を介することになるのだからすべてを把握することは無理。だから日本人のモデレーターを雇っているわけだし、信用してお任せするから「きちんと報告してね」というスタンスが強い人たちです。信頼関係ができあがっていれば、お互いプロのリサーチャーだし、1に落ち着くことも少なくはない。そこを納得してもらえればウルトラ級の同時通訳さんを用意する必要がなくなるので予算を抑えられるという面もある。逆に言うと、予算がないならこっちで我慢してね、という話をすることができるわけです。
2のクライアントであることが事前に分かっていれば、ウルトラ級の同時通訳さんをアサインするのコレ当然。願わくばさらに、ユーザーリサーチのなんたるかまで分かっていてくれると最高。でも、そんな通訳さんはお値段それなりなうえに、引く手あまただから皆さんお忙しくて、スケジュールをおさえるのもすごく大変なのです。訪問調査になると、間の空き時間も発生するので、本来ならそこの時間に対してもお支払いするのが筋。その筋を通そうとすれば、お値段もうなぎのぼりなわけで、マネジメントも大変ですわ。
困るのは、1のはずだったクライアントの期待が、現場に来て2に転じたとき。そうすると、現場でこんな感じのことが起こります。
- それなりレベルの通訳さん登場。リサーチのこともあまり分かっていない
- 私の“半構造化インタビュー”に全然ついて来られず、私の問いが終わるまで聞いて理解して、それから通訳することが多くなる
- クライアントの理解も追いつかず、通訳に質問する。その結果、インタビューそっちのけで、クライアントと通訳が会話を始める
- 本筋のインタビューは先へ進む
- 通訳さん聞き逃した挙げ句に、インタビューに割り込んできてインフォーマントへ直接確認の質問をする
- インタビュー途切れる。おまけに質問の内容はすでに聞いたことと被ってる
- インフォーマントが辛抱強く丁寧にもう一度お話ししてくれる
- 私はその後の流れを練り直しながら、待つ
みたいなのが途中で何回かあるって、インタビューとしてどうなの?と言わざるを得ない。それなり通訳さんも一生懸命ではあった(と思う。思いたい)。でもインタビューガイドの最終版を共有したのが2~3日前とかだし(これはクライアントの反応が鈍かったから)、そもそもリサーチを分かっていないと“半構造化インタビュー”ってなんやねん?という感じで、事前に読み込んできたガイドはなんだったんだ?と思うだろうし、まー結局これは、マネジメントが不十分だったという反省になりますかね。
結論としては、どう転ぶか分からないので、いつでもウルトラ級の通訳さんを確保して望むのがベストってことになりますか…。プロマネはその予算と時間をしっかり握ること。教訓。通訳の料金ケチるべからず。