2025年3月の読書記録
2025年04月08日(火) 12:07
本&映画の紹介3月は15冊の読了。なかなかの量ですな。うち4冊がAudibleで、小説。その中でのオススメは『家康、江戸を建てる』です。家康が江戸をつくりあげていく過程を支えた職人たちの物語。ものづくり界隈の皆さんは、読んでおいて損はないかと。
佐渡島庸平さんの『観察力を高める 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』も、UXerにぜひ読んでほしい一冊ですが、『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』がそれを上回るオススメ。ユーザー調査をして「わかったつもり」になることの危うさを考えさせてくれます。そして、一度とおして読んだくらいではまだ「わかったつもり」レベルなので、近々じっくり再読することを誓う。
あとは、老化とか、介護とか、オバハンとかのお勉強読書笑。介護される側に回らないように、とりあえず血圧をなんとかしないとな……。
読んだ本の数:15
読んだページ数:4078
ナイス数:172

親の介護はじまりをきっかけに最近こんなんばっか読んでる笑。「血圧や血糖などが、いつもの波動から逸脱した状態になった時」が「老化負債の始まり」。1回目の節目とされる44歳は無事に過ぎたので、次の60歳までに、自分の中の「リズム」を把握することと、そこからズレが生じたときに気づくための心身の準備が大事。「高血圧」いわれるのが嫌で計測を怠るようになった血圧測定を再開しよう。血圧の絶対値だけじゃなく変動こそが負債。健康診断もズレに気づくための貴重なデータだから毎年うけよう。急いで今年度の分を予約っと。
読了日:03月02日 著者:伊藤 裕

Audibleにて。「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害したとする犯人の実像に迫るべく取材を続ける小説家。彼は善人なのか奇人なのか? あれらの事故も彼の仕業なのか? 誰の語る彼が本物なのか? いや、すべてが本物なのか? あるいはすべてが虚偽なのか? そして彼らはなぜ微笑んでいられるのか? 謎だらけの物語が謎のままに終わることを冒頭で宣言したとおりに謎だらけで終わる。深層心理などいくらでも隠せるし、同時に表情にいくらでも現れ得るということを突きつけられたのかもしれない。
読了日:03月05日 著者:貫井 徳郎

「将棋って(中略)実は言葉と密接な関係があるんじゃないかと思っているんです」とは羽生さんの言葉。そんな深遠なことを言われてすぐに受け止めて返せる永田さんもスゴイ。4人とも、たしかに「何者でもなかった頃」があったのでしょうが、積み上げてきたものの粒度というか、深度というか、失敗の受け止め方や物事の観かた、万物にリスペクトを忘れない姿勢など、サラっと仰ることの端々に考えさせられることがあって、彼らの話を聞く機会を得た学生たちにも思わず期待せずにはいられない。全員男性なのがね…ちょっとアレなので続刊も読もう。
読了日:03月07日 著者:山中 伸弥,羽生 善治,是枝 裕和,山極 壽一,永田 和宏

稲作が始まったばかりの頃は女性にも口分田が支給されていた。男性の2/3ではあったけれど、広い面積を受け取る男性はその分、課される税も多かった。そんな風に公平性が図られていた社会が大きく崩れたのは、どうやら江戸時代。大陸から三従(女性は父・夫・子に従うべし)などの朱子学的考え方が導入されたのが大きいようだ。明治政府が近代国家を目指すようになり、女性は良妻賢母に落ち着くことを求められ、戦後もなかなかその立ち位置を崩せないまま今に至る。いろいろな切り口でジェンダーギャップを考えさせてくれる良書でした。
読了日:03月08日 著者:飯田 育浩

「読み手の認知のあり方が変わると(中略)エピソードの意味がガラッと変わることがある」というところまで読書の価値を捉えられてなかった。『スマートシティとキノコとブッダ』で紹介されていたデザインの思考法「5年寝かそう」に繋がる。現実社会の観察で感情や関係性まで読み解くのはむずかしい。だから「物語という装置」を使って訓練しよう。小説を読むことの価値を説明する言葉をいただいて目から鱗が落ちた笑。あいまいの4象限あたりからあまり入ってこなくなったのは著者の中でまだ曖昧だからだな、きっと。次の本を待ってます。
読了日:03月09日 著者:佐渡島庸平

北海道で生まれ育ったわたしには、しめかざりに橙やみかんを添えるというだけで想定外。柑橘類が木に実っているのを子どもの頃は見たこともなかったし、地産地消じゃないけれど、しめ縄ひとつにも地域性がたくさんあって興味深く読みました。札幌でも正月飾りをするけれど、どんなモノだったのかは正直まったく思い出せない。旦那の実家の山口のこともこの正月に行ってきたのに欠片も浮かんでこない。『観察力を高める』からの流れもあって、自らの観察力の拙さを呪いたくなった。祖父母から孫への伝承がなくなりそうなのも辛いですな……。
読了日:03月10日 著者:森 須磨子

稚内からフェリーじゃなきゃ行けないと思い込んでいた利尻島。札幌から飛行機で行けることを教えてもらった。なぜ今まで思いつかなかったんだ笑。島ではどんなに優秀でも、外に出た途端に上には上がいることを思い知らされ、打ちのめされる。野球も勉強も。でも、外に出たからこそ見られた世界。生きていくのは大変だけど、悪いことばかりでもないし、札幌で書店員って、わたしからすると憧れに近い着地だし、彼にはまだまだ未来があるし、島に戻っても戻らなくても、そのまま流れていくでも良いと思うぞー。ゆるりと流れる心地いい読書でした。
読了日:03月12日 著者:工藤志昇

Audibleにて。月一ノルマ小説3冊目。泥湿地だった関東が江戸になるまでの物語。暴れ川の流れを変えて、まず田畑に使える土地を増やす。武功に応じた土地の安堵に変わる貨幣経済を支配すべく質の高い金貨を鋳造する。水源を特定し、上水道を整備して江戸町民たちの飲み水を確保する。そしてやっと城づくり。天守閣は後回しで石垣から。戦国の世に逆戻りしないよう大名たちの情勢を伺いながら、江戸づくりも俯瞰して檄を飛ばす家康はやっぱりスゴイけど、命がけで取り組んでくれた職人たちあっての大プロジェクトだったことも忘れちゃならん。
読了日:03月13日 著者:門井慶喜

文章を読んで「わからない」言葉や表現はほぼない。自分が持っているスキーマと文脈が「わかる」ために活用されていて、それがゆえに誤解の原因にもなる。「わかる」から「よりわかる」へ一段あがるためには「わかったつもり」という停滞状態を乗り越える必要があり、そのためにはまず「わかっている」と思っている状態も「わかったつもり」状態に過ぎないことを明確に認識し(メタ認知だよつまり)、矛盾はないか、別の解釈を排除してはいないかと「終わりなき探求」を続ける覚悟を持って挑まなければならない。調査データの分析に対する姿勢に通ず。
読了日:03月16日 著者:西林 克彦

ケアマネを目指すつもりは欠片もないが、ケアマネの教科書を読めば、介護者として持つ疑問がクリアになるのではないかという仮説のもとに読んでみたところ、むしろ疑問が増えましたとさ笑。あくまでも試験対策の本だからかな…。インフォーマルサポート(家族やボランティアなどによるサービス)が公的サービスよりも優先されることとか、知らなかったけど、他の介護本によく書かれている「介護はプロに任せよう」というスタンスと明らかに逆。行政としては介護保険を湯水のごとく使えると思われたら困るもんね。など、いろいろ腑に落ちない読後感。
読了日:03月17日 著者:馬淵 敦士

Wikipedia関連の調査に臨む前の予習読書。学校図書館司書という肩書きの方がWikipediaを活用して文献調査や探求学習の意義と方法、さらには二次、三次資料が伝える客観性の大切さなどを地道に説いて歩いているのか……と、正直驚いた。一生懸命な取り組みを読めば読むほど、安易な編集や立項からは距離を置かねば…と思ってしまう自分もいて、著者のメッセージを受け取り損ねている気もする。放っておいたら残らない地方や地域の歴史を後世に伝える手段として、Wikipediaの存在は大きい。
読了日:03月18日 著者:伊達深雪

Audibleにて。同い年なのです。52歳。ただ、バブル絶頂期にすでに社会人だったハルコよりは10歳くらいは下かなぁ。先見の明と行動力があって、自分磨きを忘れなくて、自分の中にある価値観と信念に従って誰彼構わずズケズケと物を言う。言いまくる。そうだよね、言いたいことを我慢するのは良くないよね。強姦されるより、宝石を盗まれるほうがツライとか、共感できないのは総額7千万円もの宝石を持っていないからか笑。
読了日:03月20日 著者:林 真理子

介護を必要とするようになった親のことや親とのかかわり方を考えながらの読書。自動車免許返納後の自転車がむしろ心配というのは切実な自分事だな。娘が(女のくせに)出しゃばっていろいろ言うことには基本拒否から入ってくるのでコミュニケーションが大変なのだが、老いた側のものの見方や「楽」とは何か?を考えてあげないとならんのだな…とも思った。自分としては、70歳くらいまでは元気に生きたいので、それまでは健康診断うけて、その後は我慢せず食べたいものを食べてビールも浴びるように飲んで楽しくやろう。恐れずに。
読了日:03月20日 著者:和田 秀樹

Audibleにて。『微笑む人』がいまいちだったので、もう一冊。父の死の真相を探らずにはいられない亮輔と同じ気持ちで一気読み。時代が昭和から平成に変わる頃。まだバブルが弾ける前。潔く死んでも、その罪を背負って生き続けても、奪取した身代金を使わなくても、どうしたって詫びたことにはならない。だれに、なぜ、我が子の命を奪われたのかを知らずに生きていかなければならない親の気持ちが慰められることはたぶん絶対にない。真相にたどり着いた息子たちがやはり逃げる道を選ぶというのもない。カエルの子はカエルだった。残念。
読了日:03月23日 著者:貫井 徳郎

柴田さんと母上のケースを前半で(楽しく)読んだ後に、専門家と柴田さんが対談する流れ。介護者目線でわからないことを柴田さんがズバリ質問してくれるので、内容的にも流れ的にもかなりわかりやすい。お金の話も具体的だし、何割負担の話なのかも明示してくれてる。とにかく「親本人がどうしたいのか」を聞くこと、優先すること、そのために自分だけでなくプロの手や保険も活用してなにができるのか(あるいはできないのか)を考えるのが大事。つい、押し付けがちになっていることを反省しよう(すこしだけ笑)!
読了日:03月31日 著者:柴田 理恵