2023年6月の読書記録
2023年07月04日(火) 13:20
本&映画の紹介6月になって仕事が忙しくなり、ギリギリ2桁に舞い戻ってしまいました笑。しかも1冊マンガだしー。
緩めの本が多い中で1冊オンリーの小説『息吹』がなにげにヘビーで時間を要しました。SFファンにはきっと楽しい一冊ですが、短編集と思って油断するとやられます。いろんなことを考えさせられる重たい読書になることでしょう。
おすすめを挙げるとすれば『ぼけと利他』かな。介護もアートも関係ないとか思わずに読んでみると、たくさん気づかせてくれます。リサーチ界隈の人にはぜひ読んでみてほしい一冊。『ボーダー 移民と難民』は、日本に潜む闇を白日の下に晒すノンフィクション。すべての日本人が読むべきと言っても過言ではない。目を背けずに向き合っていかなければならない大きな課題を突きつけられました。
読んだ本の数:10
読んだページ数:2296
ナイス数:69
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この中で紹介されている「笑門の家」に暮らす友人からえてもらった一冊。添え物としてみどりを置くのではなくて、みどりと共に空間をつくることの素晴らしさを伝えてくれる癒やしの本でした。溝の口の商業施設ならすぐにでも見に行けそうだなー。奈良のお宿は果てしなく魅力的。泊まりに行きたいぞー。泰山館に空室が出たら引っ越そう! ラ コリーナ近江八幡と名護市庁舎もいつか見に行きたい。植物も絵入りでたくさん紹介されていて勉強になりました。みどりがいっぱいの空間を想像しながらパラパラと読むだけでホント癒やされた。
読了日:06月03日 著者:古谷 俊一

「コレそういう名前がついてたのかー」ってのが多かった。もとになっている論文も最後に掲載されているので、突っ込んで勉強することもできます。でもどちらかと言うと、賢い消費者でありたいと考える一般消費者にこそ有用な本かもしれない。あの手この手で売り込んでくる広告に惑わされず、冷静な判断をできるようになるためにきっと参考になります。
読了日:06月04日 著者:321web(三井 将之)

短編集ならいけるかな…と思ったの勘違いでしたー。タイムトラベルを主題とする「商人と錬金術師の門」は楽しくついていったけれど、AIの育成に主眼を置いた「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」あたりからスローダウン(短編のくせに長いし笑)。わからないところを読み飛ばさせてくれない深みみたいなものがあって、思考を押し付けられ続ける印象。ライフログ検索システムを扱う「偽りのない事実、偽りのない気持ち」もテクノロジーとわたし達の生活の交わり方を考えさせてくる。全体的に重い。バケーションで読む本じゃなかった笑。
読了日:06月16日 著者:テッド・チャン

ふつうに生きていたらまったく縁のないハイジュエリーについての調査案件をうっかり引き受けてしまったので勢いで勉強中。インヴィジブル・セッティングが見事なフクシアの花のクリップはたしかに秀逸。箱根ラリック美術館へ天才作家の職人技を見に行きたくなったかも。1974年に日本で創業したギメルの「ロータス」が美しいなー、日本人女性デザイナーがヨーロッパ人を感動させるジュエリーをつくっていたとは感動ものです。著者がお孫さんに買うならギメルって言ってるし、間違いない。わたしは買わない(買えない)けども笑。
読了日:06月17日 著者:山口 遼
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「職員さんの関心が、お婆さんそのものではなくお婆さんの見ている風景へと移る」と、観察と共感のちがいを見事に表現してくれていて今後引用させてもらうこと決定。「主体がつくり出したかのように見える閃きや考えは、「わたし」の体に堆積したものたちが、機会を得てそのつど立ち上がっている」という部分も、日ごろの蓄積がいかに大切かを思い出させてくれる。という感じで介護の第一人者と大学教員の往復書簡に現れる問いかけや反応やふとした一言が随所で響くかなり良い読書でした。荒ぶるボケは介護しやすい。覚えておこう。
読了日:06月19日 著者:伊藤亜紗,村瀨孝生
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いやー、腹よじれるかと思った。仕事が忙しいときの現実逃避にかなり良い。どうでも良い話、あるわけない話、あるのかもしれない話、あったら良いなーな話などがポンチ絵とともに綴られていて、ラスト一コマの物言いたげだけど言ってたり、言わなかったりするアレコレがジーンときたりするときもないわけでもなくもなくて(どっちよ笑)、とにかく「クツ」をテーマにこんなに語れることがあることに感動する一冊。いや、くだらないんだけどさ笑。著者は松山在住というで、なんとなくタイムリーでもありました。
読了日:06月20日 著者:和田ラヂヲ
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旦那の積読書。医療と同様に「高額介護サービス費支給制度」があるとか、近隣の協力者による緊急通報システムサービスが確立している自治体があるとか、「介護帰省割引」なる運賃設定があるとか、知らなかった情報も多少はあって勉強になりました。でも、緊急事態を見越してせっせと働き貯金をしている家庭の場合は対象外になるものばっかり。ま、そりゃそうか。自力でなんとかできない人のための制度であって、そういう人は情報も入手できなかったりして結局使えないとかすごくありそう。親よ。できるだけ長く元気でいてください。
読了日:06月22日 著者:太田 差惠子
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誰かに聞いてもらえているから、聞くことができる。そうですよね。持ちつ持たれつ、社会は自然とそうやって成り立つようになっていて、表面的な話を文字どおりに聞くことも、相手にしっかり共感しながら心の声を聞くことも、どちらも大事。観察と共感と、それ以前の歩み寄り。そして声かけ。さらにそれ以前に、助けを求める勇気と勇気なんか持たなくても発することのできる環境や社会ができていれば孤立を防ぎ、つながりに無意識に頼って生きていけるようになる。溜め込まずに発していこう。聞いてあげよう。余裕があるときには笑。
読了日:06月25日 著者:東畑 開人
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日本に救いを求めてやってきた人たちの受け入れを拒み続ける政府。国連から人権条約違反、国連憲章違反と言われても耳を貸さず、難民を長期収容し、強制送還し続けている。そこまでするなら難民条約から脱すれば良いのにそこまでの勇気も考えもないんだろうな…。苦労して国家公務員になり入管職員になって、どうしてそこまで非人道的なことをできるのだろう?入管文化が志を持って入管職員になった人たちを変えてしまうのだろうか?そっち側にいて病んでいる人もたくさんいそう。日本にもたくさんの闇がある。目を向けていかなければ。
読了日:06月28日 著者:佐々 涼子
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たしかに、一度の読書では咀嚼しきれない本があるし、再読したときに同じ箇所に引き寄せられるとも限らない。その本を手に取るときの文脈やそれまでの人生経験が変われば、自ずと読み方や感じ方が変わるわけで、なんとなく感じていたことを活字にしてくださったというのが率直な感想でした。時代物の小説を読んで、昔に生きた人たちの生活に思いを馳せるように、古典を読んで、それを読みついできた読者の頭の中まで想像する。なるほど、たしかに創造的かも。と、思うところもあるものの、読書はやはりもっと気楽に楽しみたいぞ笑。
読了日:06月30日 著者:永田 希