2022年4月の読書記録

2022年05月09日(月) 09:24

本&映画の紹介

新年度になり、仕事ゆったりしてますので、とうぜん読書がはかどりました。とは言え、絵本2冊とほぼ絵本が1冊含まれているし、月初のスタートダッシュがヘビーだった分、後半のペースダウンは否めませんが。

さておすすめは、政治の難しさや必要性などをあらためてじっくり考えたい方には『「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)』からの『くらしのアナキズム』でしょうか。進行中の戦争の背景を勉強しておきたい人にもおすすめです。

食生活を見直して人生100年時代に備えたい人には『土と内臓―微生物がつくる世界』からの『一汁一菜でよいという提案』です。

もっと気軽にほっこりしたい人には、『』です。自分の手元においておく用にもう一冊買おうかどうしようか迷い中。めちゃくちゃ素敵な絵本でーす。



読んだ本の数:15
読んだページ数:3856
ナイス数:100

「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)「帝国」ロシアの地政学 (「勢力圏」で読むユーラシア戦略)
“他国に依存せず、「自由(自己決定権)」を自らの力で保持できる国”だけがプーチン大統領の言う「主権国家」である。つまり「≒核保有国」ということになるのだろうな……。日本なんて彼の中では論外。クリミア危機当時のウクライナ大統領がロシアへ逃亡したのが2014年の末。それから10年と経たずに勃発した戦争に部外者は驚くけれど、当事者はしっかり準備してきたから闘えている。そしてロシアは「世界の秩序を守ろうとしている」という大義名分で攻め続ける。国を率いる人たちはみんな二枚舌。なにを信じれば良いのだろう……。
読了日:04月01日 著者:小泉 悠

スペクテイター〈49号〉自然とは何だろうかスペクテイター〈49号〉自然とは何だろうか
環境保護先進国アメリカが、人類史上最大の自然破壊を行っていたという「事実」の確認をまんがで提供するという素晴らしい導入から、手つかずの自然を理想とする「ロマン」を取るべきか、今ある自然を維持し、管理する「モダン」な取り組みへ進むべきかと思考を促すスチュアート・ブランドの異端の書『地球の論点』を軸にエコモダニズムを議論する本論へ。そして山盛りの参考文献が紹介されていて勢いで5冊もポチってしまった笑。「ひとつの答えには収まらない深イイ問いでした>自然って何だろうか。考えよう。
読了日:04月03日 著者:

影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣
本家『影響力の武器』の翻訳初版が1991年の発行で、手元には2005年の第24刷がある。実践編の初版は2007年で、この第二版は2019年。とにかく売れている笑。恩には報いたいと思う「返報性」の心、「権威」にはつい従ってしまい、「好意」を持つ相手にはつい賛同してしまうという習性、やると言ったからには実行しないと気持ち悪いのは「一貫性」の法則が働くからで、「希少性」の高いものほど手に入れたくなる。そして無意識のところで他者の行動を指針とする「社会的証明」の6項目。これらを生活に活かす知恵が満載です。
読了日:04月07日 著者:ノア・J・ゴールドスタイン,スティーブ・マーティン,ロバート・B・チャルディーニ

土と内臓―微生物がつくる世界土と内臓―微生物がつくる世界
「根は腸であり腸は根なのだ!」という話。人類がそれに気づき、農業のあり方を見直し、糞便微生物移植にまでたどり着く歴史をかなり詳しく(そして長い!)まとめてくれています。胃が単純糖質を分解し、小腸が大部分の脂肪とタンパク質を吸収。大腸まで到達した複合糖質が大腸内の細菌(10の11乗個!)により発酵されて、さまざまな病気を防いでくれていると。これを適切に機能させるためにわたし達は繊維と複合糖質の多い食事を心がけるべきだということなので、白米に混ぜるための十六雑穀米を買ってきました。速攻影響されてる笑。
読了日:04月08日 著者:デイビッド・モントゴメリー,アン・ビクレー

保健所の「コロナ戦記」 TOKYO2020‐2021保健所の「コロナ戦記」 TOKYO2020‐2021
2021年春まで外国にいたため、日本の実態がどうだったのかよくわかっておらず(言葉は悪いが)興味本位で読んでみました。案の定という感じですが、マイナンバーカードの普及やDXの遅れが日本のコロナ対応を最悪たらしめた根本原因にしか思えない。FAXで報告とかあり得ないって。ま、コロナのおかげでそのあたりが多少なりとも改善されてきたのは歴然としていて、その流れを止めないことこそが今後の課題でしょうね。最前線&いろんな板挟みで苦労された保健所職員がこうして毒吐きできたことが嬉しい。いろんな人がいるもんだ。
読了日:04月11日 著者:関 なおみ

ランドマークランドマーク
Omiya-spiralのモデルは、MalmöにあるTurning Torsoだな絶対。それはそうと、九州から出てきて大宮で寮暮らしをしながら東北弁を習得していく作業員くんが貞操帯をつけて……と、主人公を紹介するだけだと意味不明すぎる物語。貞操帯をつけてる理由は最後までよくわからんが、周囲にバレないようにするドキドキ感と取ったときの開放感で、自らのおもしろくない人生に非日常感を!と考えていたかどうかは知らんけど、そんな彼の人生と交わったりすれ違ったりする人たちの人生も大変。みんな大変。そして切ないラスト。
読了日:04月11日 著者:吉田 修一

くらしのアナキズムくらしのアナキズム
「ぼくらは、国家が決定したことにみんなで従う社会契約モデル(中略)に想像力を制約されている」というメタ認知を促す書。有事に行政や警察を当てにするのは問題を他人任せにするのを「当然」と思うようになってしまっているからだという指摘も響く。引き受ける側の政治家や行政には、アマゾンの先住民ナンビクワラの首長のように「公の仕事の負担そのものが報酬」と考えるようなリーダーの資格を有する人が少ない(いない?)のが日本国家の現状。コロナ禍はそれを突きつけてきた。暮らしを見つめ直すチャンスをもらったと言っても良い。
読了日:04月13日 著者:松村圭一郎

現場の声から考える人間中心設計現場の声から考える人間中心設計
バリバリ学術系のお二人が現場の声?と思いましたが、実務者へのインタビュー書き起こしという荒業でした笑。ISO規格のJIS原案作成に関わってこられたお二人だからこそ知る日本語訳の背景がわかって腹落ち感が強めのPART 1。苦労してJIS化した規格が現場ではさほど意識されていないが共通言語としての価値はあるという結論に至るPART 2。「これは○○さんかな?」と知り合いの顔を思い浮かべながら読むと楽しい(違っ)。あと、「ISO 13407:1999が一番良かった」という黒須先生の最後の指摘には共感マックス。
読了日:04月16日 著者:橋爪 絢子,黒須 正明

一日江戸人一日江戸人
夏の必須アイテムとか、現代とあまり変わりないなぁー。江戸の銭湯事情はスウェーデンのサウナ事情とほとんど一緒だし笑。「未来記もの」という大衆小説で予言されていた主夫の登場やシルバー・パワーの出現、若者のレトロ趣味から簡易パックの流行など、未来が完全に見通されていたことにはマジ驚いた! 江戸前簡単特選肴のレシピ(というほどのものではないが)は再現めっちゃ簡単にできそうなので作ってみるぞ。ということで、かなりおもしろくて勉強になりました。
読了日:04月18日 著者:杉浦 日向子

自然のとびら自然のとびら
姪っ子への誕生日プレゼント。渡す前に自分でも読んでみた。思った以上に文字数が多く(しかも小さい)読み聞かせをせがまれる親に嫌われるヤツやコレ笑。著者がイギリスにいる人なので、登場する鳥や植物が日本とはちょっと違う。誤訳やタイポもあって、じっくり読むとすこし引っかかるところがあるけれど、それらネガティブをぜんぶなかったことにしてくれるくらい可愛くて美しいイラストです。小さいうちはイラストを見て楽しもう。四季が移ろうたびにこの本を開き、自力で読めるところが増えることを体感しながら成長しておくれ。
読了日:04月22日 著者:ケイ・マグワイア

新装版 雪明かり 新装版 雪明かり
2022年のノルマ本9/26冊目。『一日江戸人』からの流れで時代物。切ないエンディングがつづく短編集。一話目の『恐喝』であっさり涙腺崩壊。果たし合いの末に自害するまで愛した女に憎まれる潮田伝五郎、淫売に落ちた妻を斬る塚本伊織と、女に人生を狂わされる男たちの話のあとだからこそ『冤罪』のラスト、“頭隠して尻隠さず”のくだりでホッコリする。イカサマを教える伊八、恩着せがましく居座る曾我平九郎など、嫌な奴らもたくさん登場するからこそ菊四郎が由乃を追うラストが美しい。
読了日:04月24日 著者:藤沢 周平

CupOfTherapy いっしょに越えよう ~フィンランドから届いた疲れたこころをときほぐす112のヒント~CupOfTherapy いっしょに越えよう ~フィンランドから届いた疲れたこころをときほぐす112のヒント~
ポンチ絵に魅了されて購入。心を病んでいることに気づかず頑張りすぎてしまう傾向の強い日本人に向けた応援歌という感じ。わたしはまあまあ気楽に生きられているので刺さるものは少なかった笑。こういう内容の本がフィンランドから届くということは、幸せ指数の高いフィンランドで生きる人たちも同じように悩み、支えを必要としているということですね。まー、おおむね万国共通のお悩みってことなんだろう。抱え込まず、毎日吐き出してから寝よう。大丈夫。できてる。
読了日:04月24日 著者:マッティ・ピックヤムサ,アンッティ・エルヴァスティ

一汁一菜でよいという提案一汁一菜でよいという提案
“ウェルネス”とはなんぞ?を探る調査に向けての予習1冊目。と思って手にしたものが、料理をストレスにしか感じない自分の心を解きほぐす魔法を持っていた!「汁物は一品にカウントされない」と、昔、旦那に言われたことがあって「そうなの?」とずーっとモヤモヤしてましたが、著者はむしろ、味噌汁だけでも良いと、おかず作るの面倒だったら味噌汁に具材大量に放り込むがよろしー!と言ってくれていて爽快。味噌汁つくる回数を増やそう。具もなめこオンリーが多かったけど、増やそう。味噌をもっと使おう。勉強になりました。
読了日:04月25日 著者:土井 善晴

むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチむかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ
『絵物語古事記』を読んで思った「3人目はどこいった?」という気づきは間違ってなかった。「3人組のうち1人はただいるだけ」というパターンは「中空構造」と河合隼雄先生により名付けられているらしい。と、かなり逸れた話からはじまりましたが、つまりなにかに「なる」ことや、なにかを「する」ことで評価されることを目指すのも大事だけど、ただそこに「いる」だけで(自分には)価値があると思える状態になれたら幸せだよね。元気に毎日を過ごせればそれで十分だけど、迷ったら旅に出ようぜ。そういう話(超訳)。
読了日:04月27日 著者:石川 善樹,吉田 尚記

の
姪っ子への誕生日プレゼント2冊目。すでに1冊買ってあるから迷ったけれど、素敵すぎて買わずにはいられなかった。姪っ子のキライなピエロも登場するけど、それを差し引いても楽しめる!と思う。「の」の連続がスゴイの。イラストを見て、どんな展開になるか想像してからページをめくるときっとさらに楽しい。そして、junaidaのイラストはとにかく美しい。物語の終わり……と見せかけてふりだしに戻るエンドレス読書のススメ。
読了日:04月30日 著者:junaida