2022年2月の読書記録

2022年03月04日(金) 16:37

本&映画の紹介

リサーチ仕事が始まると、特にレポートまで続く仕事をしていると、ブログを書く時間と気力がなくなるんですよねー。そして、ちょっと休憩の時間には読書。書いてるレポートとはぜんぜん別のことを考えたり、ちがう世界に没入したりできるので頭が休まるのだ。ということで、2月は28日しかなかったけど、難なく2桁達成です。

今年のノルマ本(オール小説)は26冊もあって、月2冊でも足りない上に、1月は1冊しか読めなかったから、2月に追い上げました。猟奇殺人事件を追う寝たきり鑑識官の物語『ボーン・コレクター』も良かったけど、名作と名高い『星を継ぐもの』が描く未来の世界は壮大だった。

デザインはどのように世界をつくるのか』は、書評にもしつこく書いたとおり、新しく得るものは少ないけれど、さらりと読める人間中心設計の教科書みたいな内容なので、『誰のためのデザイン?』は苦しい……という人にオススメです。


読んだ本の数:13
読んだページ数:3785
ナイス数:67

ボーン・コレクター 上ボーン・コレクター 上
2022年のノルマ本2/26冊目。『ウォッチメイカー』でお会いした鑑識官リンカーン・ライムが初登場する物語。四肢麻痺で寝たきりのライムが尊厳死を望みながらも捜査にのめり込んでいく。寝たきりでも仕事ができちゃうライムはやはり優秀だった。しかし犯人は、骨に届くまでナイフを刺して、キーキー音をたてるとかできちゃう奇人。被害者が直面した恐怖と痛みを想像しただけでブルッとくる。ライムの代わりに鑑識やらされる彼女も大変だった。でも、NYCはこういう警官に守られているんだなー(きっと)。NYC行きたい。
読了日:02月01日 著者:ジェフリー・ディーヴァー

共感という病共感という病
『思いがけず利他』に続いてこちら。良い流れだった。テロと紛争の解決を目指して働く著者が「共感」を押し付けてくる社会に対してモヤモヤ思っていることを整理しながら語ってくれていて、共感するのは簡単なことではないし、できない自分はあって良いし、人間同士そもそもわかりあえないを前提にしたうえでの対話があるべきで、目指すはWin-Winではなくて三方一両損だと、著者が内田樹さんに教えてもらっている最後の対談が本編以上に素晴らしかった。
読了日:02月05日 著者:永井 陽右

ボーン・コレクター 下ボーン・コレクター 下
2022年のノルマ本3/26冊目。ジワジワと犯人へ詰め寄っていくライムとサックス(と仲間たち)。結局犯人は、かなり唐突にお前かっ!て感じでしたが、過去に犯したミスの語りが伏線だったというですね。ふつうに読み流してました笑。ジョギング中に猟奇殺人犯に出くわしてしまうとか怖すぎるからNYCで走るときは気をつけよう(いつ行けるかなー笑)。シリーズ化されるのも納得の手に汗握る展開でしたが、『ウォッチメイカー』のほうが高評価なのも納得です。
読了日:02月06日 著者:ジェフリー・ディーヴァー

2010s2010s
無用之選書3/7冊目。CDを買わなくても音楽を聞けるようになった頃から音楽を聞かなくなった(選択肢ありすぎで選べなくなったから笑)りしてて前半の音楽の話ほとんどチンプンカンプン。『ブレイキング・バッド』をタイムリーに見てたので時代の流れに一度は乗ったようだけど、『ゲーム・オブ・スローンズ』をまだ見てないということは波から落っこちたってことか笑。ポップカルチャーを俯瞰すれば社会の有り様を把握できるというのは昔からそうなんだろうだけど、それにしても選択肢が増えすぎてオバサンにはもう追いかけられない笑。
読了日:02月09日 著者:宇野維正,田中宗一郎

世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100
1978年の論文も世界最先端ってことになっているのだが、それで良いのだろうか? そもそもの実験設計がどうかな?と疑問に思うものもあったりもしてモヤモヤする読後感です。自分はもうすこし「最先端」を期待していたんだろうな、きっと。まー、原著論文をたくさん読んで、日本人が読んで面白いと思いそうなものをピックアップして簡潔に要約してくれているから、ちょっと心理学勉強してみようかな~くらいの軽いノリの人には役立つ一冊になるやもしれない。最先端の深イイ研究成果を知りたい人はコレじゃない。
読了日:02月12日 著者:内藤 誼人

よけいなひと言を好かれるセリフに変える働く人のための言いかえ図鑑よけいなひと言を好かれるセリフに変える働く人のための言いかえ図鑑
「×よけいなひと言」と「◎好かれるひと言」を並べて紹介するのはわかりやすくて良さそう!内容よりも「書き方」を参考にしようと思って読んでみましたが、「“よけいな”ひと言」という表現に違和感ありまくりの読後感です。ひと言余分に付け足すべからず……という話ではなく、ごっそり言い換えてしまう例ばっかりでして、ふつうに「×嫌われるひと言」としてくれたほうがしっくりきたかもしれないな……。それはそうと、社会で働くって言葉尻ひとつも油断できなくて大変ですね。互いのうっかりを許し合える社会であってほしい。
読了日:02月14日 著者:大野萌子

日曜日たち日曜日たち
2022年のノルマ本4/26冊目。短編集なのでサクサク。家出兄弟たちが2回目に登場したあたりで、吉田修一作品らしさに気づく。いろいろな形の日常生活が、思いがけない形でつながっていたり、交差していたり。すべてのことが「偶然」に絡まり合って、わたしにとっての日常の一部が誰かにとっての非日常になることだってあるんだよなーと、ぼんやり思う。兄弟は結局離ればなれになってしまったけれど、思い出のピアスを分け合って大切にしてくれててうれしい。
読了日:02月16日 著者:吉田 修一

BANK4.0 未来の銀行BANK4.0 未来の銀行
旧態依然とした銀行は変わらなければ潰れる。自前でやることにこだわっていれば遅れこそが加速する。とにかく急いでテクノロジーに強い社員をゲットせよ。そのためにレガシーを捨てよ。…ってな感じで「銀行」を叱咤激励?する話でした笑。500ページは必要なかったように思います。日本でもやっとすべてがスマホで完結する「みんなの銀行」が現れましたが、これまでの銀行の姿から劇的な変化を遂げたというほどではなかったな…。そして、日本の事例が欠片も出てこないあたりに日本の手遅れ感を強く覚えてしまいました。
読了日:02月19日 著者:ブレット キング

あえるよ! 山と森の動物たちあえるよ! 山と森の動物たち
豚は野に放すと3世代くらいでイノシシに戻るとか、ムササビは葉っぱを折りたたんで食べるとか、カモは上空を警戒するために下から上にまぶたを閉じるとか、へぇ~の連続でした。山や森を走り回っているときに野生動物に遭遇するのはむしろ怖いので会いたいと思ったことはありませんが、今度からはすこし周囲を観察して、動物の痕跡を探してみたいなぁって思わせてくれるすてきなガイドブックでした。まずは足跡ですかね。キツネの足跡は一直線!覚えておこう。
読了日:02月20日 著者:今泉忠明,帆

デザインはどのように世界をつくるのかデザインはどのように世界をつくるのか
どういう人が、どういう文脈で利用するモノコトをデザインしようとしているのかを常に意識すべし。という新しくない話を新しい事例で解説してくれています。新しくないけど(しつこい笑)良書。我々のバイブル『誰のためのデザイン?』は実はけっこう小難しいし、事例も古い。だから、入門書としてはむしろこっちのほうが良いかもしれないとさえ思った。軽いタッチで読みやすいし。ノートルダム大聖堂が燃えてしまったのは、火災報知器のエラーメッセージが根本原因ってもう本当に悲しいし、この事実を世界中の人が知るべきだと思う。
読了日:02月22日 著者:スコット・バークン

暮らしの図鑑 木のもの 楽しむ工夫×木工作家・ブランド27× 基礎知識暮らしの図鑑 木のもの 楽しむ工夫×木工作家・ブランド27× 基礎知識
木のものは、大切にすればずーっと使えるもので、使うほどに味が出てくるはずで、しかし、いや、だからこそまあまあのお値段するから思い切りよく買うこともなかなかできなかったりする。工房もたくさん紹介されていたので行ってみたいが、栃木、秋田、京都……って遠いなしかし。大久保ハウス木工舎さんの木べら、ほしいなー。長野県松本市って、こないだ行ったところやないかーい。会いたかった。
読了日:02月23日 著者:

大宮エリーの なんでコレ買ったぁ?!大宮エリーの なんでコレ買ったぁ?!
トイレで再読なり笑。柳宗理の片手鍋がめっちゃ良さそうなのでわたしも買いたい。と、それは、エリーさんが買ったことを後悔していない数少ないもののひとつだから、わたしも買って良し。最後に出てくる「土に埋めるお守り」って実はわたしも昔、持っていた笑。『100均フリーダム』に通じるゴミ(しつれいっ)の紹介がつづく本書はなにげに断捨離を後押しする力がありそうだ。そして、演習に活用させてもらおうという思惑はまったく果たせていないことを思い出したし、どんな思惑だったかを思い出せないという悲劇に震えた笑。
読了日:02月24日 著者:大宮 エリー

星を継ぐもの星を継ぐもの
2022年のノルマ本5/26冊目。旦那が勧めてくるのをスルーしてきた一冊ついに読了。おもしろかった。1977年に出版された著者のデビュー作。当時からおよそ50年後の未来(つまり今から5年後くらい)に、5万年以上前に死んだ人類クリソツな生物の死体が月で発見されるというプロローグ。木星でも、その地中深くに別の生命体の痕跡と宇宙船の残骸が発見されたりなんかもしちゃう。宇宙と人類の歴史に迫る学者たちの本気を追いかけていった末に、コリエルが地球に到達していた証を川に放るアホ学者が登場して終わり。悲しすぎる。
読了日:02月28日 著者:ジェイムズ・P・ホーガン