Web業界を牽引してきた人たち

2021年11月25日(木) 11:24

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HISTORY OF "WEB ARCHITECTS"
This is a book to learn the history of "Japanese Web Architects" who have led the Web industry for a long time. Though they have accomplished a lot, those accomplishments have been invisible as things on the Web are mostly updated and overwritten time by time. The organizer believed they should be shared in a somewhat tangible way. Their messages to the younger generations are worth reading if you are thinking of achieving something in the Web industry. I also thank them to cheer me up to keep trying for a little more while.

1990年ころのインターネット黎明期から、Webサイトの構築が普及し、あたり前のものとして社会に定着するまでの時代を駆け抜けてきた強者たちの功績を見える形にして後世に残そう!というプロジェクトの成果物のひとつ『Era Web Architects』をご恵贈いただきました。読み終えて、こうしてご紹介するところまで2ヶ月もかかってしまいまして本当にスミマセン……。

装丁がものすごーく美しい本です。眺めているだけでうれしくなる。中身はインタビューの記録です。30人の猛者たちがどんな風にWebと出会い、業界の構築に貢献してきたのかが語られています。

「簡単にする易しくするということがユーザビリティだと勘違いし、結果、日本人の考える能力を低下させた」ことを後悔すると述べる中村 亘さん。「最近注目されているUXライターとかUXライティングとかも“何それ”って。昔から取り組んでいる業界もあったのに気づかなかっただけだよね」とつっこむ高山和也さん。ぜんぜん面識のないお二方ですが、同じようなことを感じていたので共感マックスでした。

「多様な登場人物がそれぞれの行動に至る背景や動機について自分なりに分析しながら(映画を)見たり(小説を)読んだりする」ことで「人間に対する想像力が鍛えられる」と若者たちに読書や映画鑑賞を勧める住 太陽さんのお言葉には、頷きすぎて肩こっちゃったし笑。

「ほとんどの一般の人は(中略)盲目的な消費サイクルに取り込まれていてまずい」と警鐘を鳴らし、デザイナーは考えなしに悪いスペクタクルを作る側にいるのではなく、そこにダメ出しをできるようにならなければならないと説く上野 学さん。素敵なメッセージ。「どんな学生だったか?」と聞かれているのに、先祖の話と自分の小学生時代から語り出していて、「あ~、このインタビュー長くなっただろうな……」とか想像して吹いてしまいました笑。面識のある方たちの過去が詳らかになるくだりは「へぇ~」とか「そうなんか!」とか言いながら楽しく読ませていただきました。

実はわたしもお声がけをいただいていて、中の人になるかもしれなかったのですが、コロナ禍で帰国できなかったので辞退しました。そして、できあがった本を見て改めて、辞退して良かったと安堵したりなんかして。彼らと並ぶほどの実績がないどころか、わたしは作る人ではなく、皆さんが作ったものにケチをつけるユーザビリティ屋だったのでねー笑。しかし、わたしもいろいろと反省することはあるので、昨今は自分で本を書いたり、セミナー講師を引き受けたりして、後に続く人たちになにか伝えられると良いなーと思っています。もう引退したいけど、この本を読んで「やっぱり私ももうすこし頑張ろう」って思いました。無理のない範囲で。