2021年7月の読書記録
2021年08月10日(火) 10:29
本&映画の紹介『ああ息子』と『ああ娘』の表紙インパクトが強く、楽勝本ばっかり読んでいるように見えないか心配な7月です笑。どっちもめちゃくちゃ笑える良書ですからおすすめですが、エンタメ系で一冊を選ぶなら断トツで『ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら』です。コロナ禍の政府の対応に不満をお感じの全日本国民に自信を持っておすすめできる笑える小説。「ビジネス小説」というカテゴリーはよくわからんかったけど、ラストのLagom(ラーゴム)推しも最高でした。
『ルポ川崎』や『国道16号線: 「日本」を創った道』でこれからしばらくお世話になる川崎近辺についての勉強も済ませました。後者は川崎住人以外にもおすすめです。
『進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」』は賛否両論あるようですが、イノベーションとか、新規事業開発とかに携わる人は読んでおいて損はないです。リサーチャーにも、分析や解釈をするときの視点や考え方の参考にきっとなります。かなりボリュームのある本なので、夏休みにじっくりどうぞ。
読んだ本の数:13
読んだページ数:4081
ナイス数:111
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新川崎の住人になりましたので読んでみました。わたし達と同じように知らずに川崎区や幸区のタワマンに越したら、子どもがグレる一方で……みたいに困ってる家族とかいそう笑。しかも川崎でグレると、泥沼にハマったが如く抜け出すがのが大変っぽい。BAD HOPに憧れて音楽(ラップ)に入れ込むようになる子が増えれば違っていくのかな? 川崎に限らず、子どもたちが生きづらい世の中をそのまま次の世代へ渡すことにならないよう、すこしずつでも変わっていかないとならない。その必要性を強く印象づけてくれる街が川崎なんですわ。
読了日:07月01日 著者:磯部 涼
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日本語を勉強しているというスウェーデン人にいきなり「は」と「が」の違いを聞かれて絶句しました。ぜんぜん説明できないダメ日本人を卒業するための読書。「は」は「旧情報」を、「が」は「新情報」を表す、つまり「は」は英語の定冠詞、「が」は不定冠詞の使い方とほぼ同じという説明が最高にしっくりきたので次は説明してあげられそうです(二度と会わないと思うけど笑)。「学校文法」しか知らずに外国人に日本語を教えられると思ってはならないこと、そして「日本語文法」のほうが今となっては遥かにわかりますいことがわかりましたとさ。
読了日:07月03日 著者:原沢 伊都夫
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国を率いる政治家にはこうあって欲しいという想いを綴ることで現政権への皮肉を並べるだけのエンタメを想像しちゃいけない。コロナ禍を乗り越え、子孫のためにより良い国や社会を作りたいと本気で思うならば、国民ひとり一人が「不自由を引き受ける」覚悟を持たなければならないという重たいメッセージの込められたマジメな物語でした。これを、龍馬や家康の姿かたちで言われたらたしかに響くだろうなー笑。そして「自由と不自由の折り合いをつける」というのは、まさにLagom(ラーゴム)のことではないか!と強烈な腹落ちで読了。楽しかった。
読了日:07月04日 著者:眞邊明人
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トイレで読書2冊目。再読だけど初登録。笑った。トイレでゲラゲラ笑った。耳と鼻にホックやらスナップやらを詰め込んで大変なことになりかけた息子がオジサンになり、500円玉を鼻の中に入れる一発芸を自信満々に見せてきたときに「人間は本質的に変わらないのだと変に感心した」と締めくくった大阪のお母さんの投稿が個人的には第1位でした。弟の子どもの頃を思い返し、たしかに「アホやなコイツ」と子ども心に思った経験がいくつかあったけれど、投稿の数々に勝るエピソードはないなー。まともな方だったってことか笑。
読了日:07月07日 著者:西原理恵子+母さんズ
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創造することは簡単じゃない。モノの溢れる現代ではなおさら、要らないモノがたくさん生み出されては捨てられるのくり返し。でも自然界の進化はまさにそれをくり返してきたわけで、そこにヒントを求めればたくさんの学びがあり、無駄の少ない創造を実現できるようになる……はず。ものづくりにかかわる人たちが、デザイナーだけではなく関係者すべてが、「変異」と「適応」のパターンを頭の片隅において考えながら解を模索できるようになれば、人びとの生活を潤すステキなモノでありつつも地球にやさしいイノベーションが実現されるにちがいない。
読了日:07月08日 著者:太刀川英輔
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読みはじめたら止まらない面白さでした! 源頼朝が関東武士たちを味方につけていった道筋が16号線エリアと重なってるってー話は特に興味津々。三浦氏にこれほど助けられていたとは!(ポイントそこじゃない笑)。山と谷と湿原と水辺がセットで手に入る小流域地形を好む人間の特性は、文明の発達するずっと以前から共通しているし、これからも変わらないのだろう。小網代の森へ生物多様性を確認しに行きたい。近所の暗渠探しをしてみよう。武蔵野線を使って16号線沿線の町にも行ってみようか。と、なんとなくワクワクする読後感です。
読了日:07月10日 著者:柳瀬 博一
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素敵な物語でした。学校でのいじめから逃げるために辿りついた図書館で「へびおとこ」と「スタビンズ」、そしてたくさんの本に出会うほのかちゃん。へびおとこが織田先生に説教を垂れる…つもりじゃなかったのに結果的にそうなってしまっているくだりで落涙。へびおとこも、かつて通った道なのだろうな……と思いながら読んでいった先で「ぼくがハンサムだったら、君は同じようにプロポーズしてくれたかな?」という台詞を浴びせられてハッとする。上から目線の同情は共感とはちがうし、愛情ともちがう。深イイ学びが埋め込まれていました。
読了日:07月12日 著者:櫻井とりお

またしても認知バイアス本を発見したので勢いで購入。良く言えば「とっつきやすい」、悪く言えば「軽い」内容で、一見かなり「うさんくさい」というのが初読の印象です。著者は脳科学者らしいし、引用元の研究も添えて説明してくれているから信じて良いはずなのに、どうもうさんくさい笑。イラストの素人臭さがそう思わせるのかなー? 専門書ではなく一般書として広く読者層を想定した内容や編集の影響か? これは何バイアスだろう笑。
読了日:07月15日 著者:西 剛志
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『ニッポンの文学』からの抜粋7冊目。京極夏彦さんのデビュー作にしてスゴイ本くらいの認識だけで読み始め、京極堂の薀蓄に認知科学の知識を垣間見ながらいまいち入り込めないまま進むが、木場刑事登場の中盤から加速がすごかった。「ツキが回ってきた」の「ツキ」は憑物から来てるとか知らなかったし……。探偵榎木津はどこ行った?とか思いながら、このままでは関口氏は救われないのではないだろうか?と心配しつつ、最後は静かに幕を閉じるところまで持っていく京極堂の温かさにうっとりしての読了です。
読了日:07月18日 著者:京極 夏彦
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トイレで読書3冊目。再読だけど初登録は『ああ息子』と同じ。男の子に比べると笑える要素は少ない。むしろコワイ。女の子はいったどこでこれらのあざとさを学ぶのだろう? 遺伝子に刷り込まれているのだろうか?持って生まれた観察力を 男子が虫に注いでいる間に、女子は大人たちを鋭く観察し、一足も二足も先に成長の階段をのぼりはじめ、瞬く間に話術を磨くという感じの男女差?を感じた次第です。自分の幼少期はどうだったのだろう?と一瞬思うがコワくて聞けない笑。
読了日:07月22日 著者:西原理恵子+父さん母さんズ

トイレで読書4冊目。著者のマネー・ヘッタ・チャンはプロの投資家らしい。うまい儲け話なんてないから素人は手を出すんじゃないよ!という戒めの書(なのか?)。銀行の言うこと信じて土地とか保険とか買っちゃダメ。ねずみ講とかなんちゃらNPOとか街頭の募金活動とか、あらゆる活動にはそれを成り立たせるからくりがあって、それは真っ黒な場合がほとんどで、関わる前にきちんと調べましょうねってことを楽しく教えてくれる気軽な本です。お子さんにも良いかも。
読了日:07月24日 著者:マネー・ヘッタ・チャン
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とある本屋による選書6/6冊目。結構しあわせ者なのにそれに気づいていない著者が、世界10カ国を巡り、町を観察し、人々と対話しながら「しあわせとはなにか?」の答えを探し歩く紀行文。元気をもらうべく赴いた「不幸な土地」代表のモルドバがいちばん面白かった。部屋を貸してくれた老婆ルーバの口癖「フィヴティ・フィヴティ」は、スウェーデン人が言うLagomに近いかもしれない。極端を求めず、ほどほどで満足するのがしあわせへの近道で、著者もあとがきでそれに気づいちゃったっぽいことを書いてました。やっぱLagomですよ笑。
読了日:07月25日 著者:エリック・ワイナー
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著者が医師だからこそ、データや研究結果に紐付いた説得力のある具体的な指摘がたくさん登場します。「患者会ビジネス」が日本では難しそうなこと、コミュニケーションスキルの高い女性医師とAI医師とのコンビが望まれるであろうこと、なによりも医師法の改正を急がねばならない(けどきっと進まないであろう)ことなど、納得感を持って読めます。死にたくても死ねない日は遠からずやってきて、伴って安楽死や尊厳死の議論と法整備も必要とされる……はずと。著者の予想+10年くらいな感じで進んでいく未来を想像して読了です。
読了日:07月31日 著者:奥 真也