Lagomな近所づきあい

2021年06月09日(水) 13:27

UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, Skåne, スウェーデン, マチとヒトの観察
LAGOM SOCIALIZATION WITH NEIGHBORS
In the Swedish LAGOM society, they take care of their individual needs first and make sure of not aggravating their neighbors in the process. Here is my own experience with my neighbor. The family in the back and the owner of the house we were living decided upon rebuilding the fence in-between. Okay, but I thought when the old fence would be down should be discussed with us, otherwise we have to live with no fence in-between. And that actually happened. I now guess the neighbor decided when the work should be done and feared the date was denied by us. Then his lagom battles undue stress at all cost, which resulted on just starting the work without telling it to us. I totally understood then that lagom allows Swedes to be selfish about making sure of thier individual lagom ideals are met.

自分の家(あるいは自分という個人)のニーズを満たすことが先決。ただし、その過程でご近所さんをイラ立たせることのないように注意する。コレがLagom(ラーゴム)規範に則ったスウェーデンでのご近所づきあいです。見かければ手をふり合って挨拶もするし、時には立ち話もするけれど、ご近所に必要以上に干渉しない(なぜなら干渉されたくないから)のがあたり前。マンションなんかでは、ご近所と顔を合わせないで済むよう、玄関を出る前に外の様子をチェックするとかしないとか笑。

ここで体験談をひとつ。

わたし達が暮らした家と裏の家との境界にあったフェンスは、経年劣化し、苔むしていてお世辞にも見栄えのする状態ではありませんでした。うちの大家と裏の住人が話し合った結果、代金は折半して、裏の住人にフェンスを新調してもらうことになったのです。うちとしてはもう帰国直前だったし、「好きにすれば~」って感じでさほど気に留めていませんでした。

ところがある日。帰宅したら、うちの裏庭をオッサン2人がうろついているではありませんか! 帰国直前になっていよいよ侵入者か!とビビりましたが、よく見るとフェンスもなくなっている……。というか、すでに新しいフェンスの一部が建ちはじめておりました↓。

おまけにバーコードの貼り付いた面がしっかりこちら側に向いている笑。

「ぶち壊す前に日程の相談くらいはするだろう……」と思っていましたが、ちがいました。彼らが工事を予定している日程を事前にうちに伝えて「その日は都合が悪い」と言われたら、工事の予定を変えなければならなくなって困る。そんなストレスはごめんだ。事前には伝えず、留守の間に工事を始めてしまおうじゃーないか!という感じだったのではないかと勘ぐっています。でも、わたし達が帰宅したことに気づいたら「Hej, Hej!」と言いながら笑顔で挨拶に来ました。もちろんうちの裏庭をつっ切って笑。

整理します。つまり「自分から余計なことを言って、自分のストレスレベルを上げるようなことはしない」という意思決定が無意識に行われるのがLagomを暗黙の行動指針とするスウェーデン人にとって「ふつう」のことなのだと思います。対するこちらは「あ~、それがお隣にとってLagomなのね」と思えばさして腹も立たないという不思議。「なんか変だな……」と思っても「まぁ、そう考える人もいるよね」と受け流す「スルー力」をLagomは要求してきます。幼少の頃から「自分にとってのLagom」と「他人にとってのLagom」を切り分けて考えることを暗黙のうちに身につけているスウェーデン人にとってはさほど難しいことではないのでしょう(たぶん)。