Lagom – そもそもの意味

2021年06月07日(月) 13:18

UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, Skåne, スウェーデン, マチとヒトの観察
LAGOM, MY UNDERSTANDING
From today, I try to explain what LAGOM is. This Swedish term is usually explained like "Not too much, not too little, but just right," but I don't think it's that simple. It means the most comfortable, effortless state from your own point view in various settings. Let's see some administrative services. In that context, not the administration's, but the actual workers' lagom is prioritized. Minimizing the stress they may feel is first, and trying to meet the citizens' lagom is second. Balancing their lagoms is ideal, but the former is prioritized to society work. And lagom expexts citizens to understand it. That's why we got surprised to find a road construction suddenly started without notice or received a note telling us that we missed a chimney sweeping service. Right after the pandemic situation started, the direct communication with bus drivers were banned to make sure of not providing extra stress on the bus drivers. This is one of my understandings how lagom is handled in the Swedish society. Next article is to be about how to handle the consumers' stress on the other side.

スウェーデンから日本へ戻るときには「Lagom(ラーゴム)」についてしっかり説明できるくらいになっていたい。密かに自分に課していた宿題です。森を駆け回っている間に3年の月日があっという間に流れ、あっさり帰ってきてしまったので、記憶がまだ新しいうちに自分の解釈をまとめておきたいと思います。一筋縄ではいかない概念なので、何回かに分けてお届けします。『Lagom: The Swedish Secret of Living Well』をはじめとするたくさんの書籍で学んだことに日常生活からの体験で感じたことや発見したことを交えて少しずつ紐解いていきます。

ではまず「定義」の話。

「ちょうどよい」とか「多すぎず少なすぎず」みたいに量的、あるいは感覚的なほど良さを指すと説明されることが多いですが、それだと単純化し過ぎのようです。

集団最適を目指すための概念でもないので「中間」や「平均」、「中立」も違います。「わたしのLagomとあなたのLagomは必ずしも一致しない」という大前提がけっこう大事。他者に配慮しつつも、目指すは自分がいちばん心地よくて、無理のない状態です。「自分がストレスを感じずに済むと同時に、相手や周囲にも過度のストレスを感じさせないちょうど良いレベル」というのがLagomにもっとも近い定義ではないかと思います。

たとえば、行政サービスの仕組みを例に考えてみます。

社会を円滑に機能させるべく、基本的にはサービスを提供する労働者のストレスを最小化することが優先されています。サービスを受ける側、つまり市民の都合二の次で、「お客様は神様」みたいに考える日本とはかなり違います。婦人科健診の通知が日時指定で自動的に届き、都合の悪い人だけが日時変更の手続きを取る仕組みの他にも、事前の通達なくある朝とつぜん家の前の道路工事が始まって車を出せなくなり旦那が会社に行けないとかありました笑。

「煙突掃除に行ったけど留守だったからできなかったよ。日程変更の手続きしてね」みたいな通知↑がポストに入っていたりとかもありました。「先に連絡してから来いよー」とサービスの受け手としては思うのだけど、そんな日程調整をしていたら作業員の仕事の予定が立ちにくくなるし、作業員が日程調整にあくせくするのはそもそもLagomじゃないから、行政主導でグイグイ行くぜという感じです。

コロナ禍が本格化し始めてすぐの頃、バスの運転手さん達が安心して働けるようにと前の乗車口と運転席へのアクセスを完全に塞ぎ、乗客が後ろのドアから乗り降りできるようにしたのもサービス提供側のストレスを下げるための素早い施策でした。

では、サービスの受け手はストレスフルなまま、我慢を強いられるのでしょうか? 明日はそのあたりを紐解きます。