2012年2月の読書記録
2021年03月15日(月) 17:30
本&映画の紹介引越準備で本の整理をしていたら気になる本が見つかって再読してしまい、荷造りぜんぜん進まないという引越あるある実践中。再読の中でもいち押しは、ぶっちぎりで『人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか』です。良いリサーチャーになりたい人は絶対に読むべき一冊だと改めて言おう。
『砂戦争 知られざる資源争奪戦』は、地球温暖化と並ぶ大問題なのに知らずにいた自分が恥ずかしいレベルで目の覚める一冊でした。異常気象の裏には砂問題もあるぞと。
小説は、たまたま見つけたスウェーデン人作家さんの少し前の著作『砂男』。なにげに「砂」つながり笑(ぜんぜん関係ないけど)。舞台はストックホルムあたりだから、Skåneしか知らない田舎者には地の利もなく、むずかしかったけれど、スウェーデン版警察小説としてドキドキ止まりません。
読んだ本の数:13
読んだページ数:3013
ナイス数:99
祝祭と予感
天才3人組が仲良くお墓参りに行くところからはじめて、ホフマンと塵くんの出会いで締め。間で、若き日の審査員カップルがやはり天才だったことを伝え、「春と修羅」が生まれる経緯に触れ、マサルが狡猾に仕組んだ指導教授の変更と奏の元に運命のヴィオラが届くまでの不思議な物語を軽妙なリズムで放り込んでくる構成はさすが。『蜜蜂と遠雷』並みの重量感ある短編集を想像して読み始めたら、拍子抜けするほど気楽にあっという間の読了でした。もっといろいろ書いてくれればよかったのにー笑。
読了日:02月01日 著者:恩田陸
人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか
この本と出会ったのは読書メーターを始めるよりもずっと前のことだったのか……。某所でこれを紹介する前の復習的な再読。人間の認知機構に深く刻み込まれた傾向があれもこれも紹介されています。メディアに踊らされずに賢く生きていきたいと考える「知的な一般人」向けに書かれた著者曰く「教養書」の名に恥じない内容と読みやすい翻訳。大衆メディアのみならず、SNSを通じて出所の怪しい情報を受動しながら生活していくことが普通で避けがたいことと化した今だからこそ、本書の教えは価値を増します。
読了日:02月03日 著者:トーマス ギロビッチ
オバサンの経済学
2007年発行当初、つまり30代半ばに初読したものの再読。某政治家の問題発言に伴う炎上騒ぎを尻目にオバサン化開始年齢をとっくに過ぎた今読んでみたらいろいろウケた。「オバサンは健康志向が強いように思われがちだが(中略)健康のことをシリアスに考えるならば、そもそもオバサンにはなっていない」とか言われてる。最近増えてきた体重のことが気がかりな自分がいる笑。オバサンは皇室の話題が好きってさ(実は好き笑)。旦那のオジサン化を許すことは自分のオバサン化スイッチを押すことに他ならない……マジやばい笑。
読了日:02月09日 著者:中島 隆信
仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン
ほとんどヤマトの話なのでタイトル/副題には違和感を覚えるが、本気潜入取材に基づいているらしくかなり勉強になる。スウェーデンで暮らしていると、自宅まで荷物が届くなんて夢。有料で届けてくれるけど届けたフリするだけで結局窓口まで取りに行く羽目になることも多い。もはや「家まで届けてもらおう」と思う気持ちもなくなったし、それで良いとすら思うまでになった。日本の消費者は甘やかされてる。そして、値下げ競争の挙げ句、配達員が無理を強いられている現状をなんとかしないとならない。というのが2015年の話。どのくらい変わった?
読了日:02月10日 著者:横田 増生
小野寺の弟・小野寺の姉
手放す前になんとなく再読。一章ずつ語りが交代するのがとても良い。お互いに内緒にしているつもりのことが、実はバッチリ気づかれていて、そんなくだりが出てくるたびにニマニマしてしまう。ワンデーの人の気持ちがわかったところでは絶対に頭に来るし、弟の畳貯金のお目当てが判明するラストでは絶対に泣く。わたしも女子でお姉ちゃんなので、どうしても小野寺の姉ちゃんに共感してしまうのだった。弟との二人暮らしか……ちょっと試してみたい気もする(がたぶん無理笑)。でも一緒に富士急ハイランドへは行きたい(花やしきは嫌)。
読了日:02月12日 著者:西田征史
最新 ヨーロッパの人気世界遺産めぐり
本を整理していたら出てきたので読んでしもた。何ヶ所に行ったかな?と数えてみたら16/50でした。それほどでもない笑。とりあえず、キージ島の木造教会とグリーンランドはバケットリストに追加だな。サンクトペテルブルクとモスクワも行きたいけど、キージ島とあわせて一気に行けるかな? アルベロベッロとマテーラとヴァチカンも一気に回れるか? あとバルセロナね。いっそアレが完成するまでそこは取っておくほうが良いかな? いや、どれもコレもコロナ禍が終息しないことには話にならない。妄想旅おわり。
読了日:02月14日 著者:富井 義夫
異類婚姻譚
『ニッポンの文学』からの抜粋2冊目。2話目と4話目に出てくるトモ子は同一人物なのか?ねー。ちょうど某政治家による男女差別発言で炎上してたので、そっちにも打算があっただろ?と旦那が詰め寄るあたりはいろいろと考えさせられたわ。夫婦ってたしかに似てくるし、そもそも似た人に親近感を持って選んでしまっているのだろうからどっちもどっちなんだよなーたぶん。猫を山に捨てる(逃がす)くだりも意味深すぎてコワイ。センタとハコネのカップルもいろいろあるようだしね。あちこちに含みがあって吐きそうになるけどギリギリ吐かない。そんな読後感でした。
読了日:02月15日 著者:本谷有希子
砂戦争 知られざる資源争奪戦
砂マフィア……コワイ。しかし、言われてみれば砂がないとビルが立たない。そうだよね。地球温暖化というバズワードにばかり気を取られていたけれど、異常気象の裏に砂問題があるし、ツバルは沈んでなくてむしろ拡大しているとか、どれだけ歪んだ情報に踊らされてるんだ>自分。日本の森林面積は過去50年間でほとんど変わっていないし、森林蓄積はむしろ増えている。そのせいで川に流れ込む土砂の量が減り、砂浜は減少する。自然がぜんぶ繋がっているということをもう一度しっかり頭に叩き込まないとならない。反省しきりの読書でした。
読了日:02月18日 著者:石 弘之
かわいいきのこ
キノコ王国スウェーデン暮らしをしています。日本ではまあまあ値のはるマッシュルームが年中無休で大安売りしている状況ですが、それよりも嬉しいのは肉厚シイタケが案外手に入ること。結局食べ慣れているキノコが一番美味しい笑。でも、森でキノコ探しをするのはとても楽しいです。著者も言ってましたが、見ようと思って見れば日比谷公園でだって見つかるのがキノコ。日本に帰ってからもあちこちでキノコ探ししたいです。それを口実に白神山地や富士山や北海道や和歌山や長野に行くぞー。
読了日:02月21日 著者:うつろあきこ
ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(下)
下巻は、他の動物たちが人類と同じように見せる社会性についての議論から。自分たちの生存の見込みを高められるように社会環境を構築するのは、菌類や昆虫から人類にいたるまでに共通する遺伝的プログラムなのだと。全人類のDNAの99%以上が完全に一致する事実をあわせて考えると、遺伝子が導くまま社会的に生きていれば合理的で善い社会が生まれるはず。つまり、本能が導くままに前進し続けることを諦めず、謙虚さを忘れなければ、事態は善い方向へと向かう。遺伝子の力を信じて前を向こう。そうすればコロナ禍の終わりもきっと来る。
読了日:02月23日 著者:ニコラス・クリスタキス
砂男(上)
スウェーデン人作家によるミステリー小説。子どもの失踪で崩壊する家族、その捜査に関わったことで破滅する家族、それを逃れるために家族を手放す別の捜査官、恋の終わりから逃げるように潜入捜査へ乗り出す女刑事、どうしてこんなことになるのかわからない話がこの後どうやって一本にまとまっていくのか……。先が読めなさ過ぎて止まらない。速攻下巻へ。
読了日:02月26日 著者:ラーシュ・ケプレル
砂男(下)
潜入捜査は地獄だな。医者が変態すぎてドン引き。最後、徹底的に利用されて死ぬのでスカッとはするが、後味は悪い。それにしても双子か……。ちょっとズルい。でも、サーガが手に入れたヒントを頼りにヨーナがロシアへ赴き、情報を手に入れつつも捕まり探られ、あわや!のあたりは興奮した。ロシアコワイ。スウェーデンとロシアがご近所だということを思い出した。そして、移民難民問題が事件の背後にあるというのを予想するのは日本人には難しい。さて、ヨーナとサーガのこれまでやこれからを追いかけるべきかどうか、悩もう。
読了日:02月28日 著者:ラーシュ・ケプレル
Sweden for beginnersの感想
さすがに3年近く住んでいるので、Languageの章以外に書かれていることはだいたいわかるし、説明が足りないと思うところもあるけれど、初心者向けなので妥当な内容とも思う。来た当初に読みたかったけど、良い復習にもなりました。Languageの章は、ことわざよりも言語の特徴を書いてあげればもっと初心者の参考になると思う。祖父母やオジオバは母方か父方かがわかる単語になっているとか、子どもはbarnで孫はbarnbarnみたいな単純でわかりやすい作りとか、複数の単語をつなげて単語を作ってしまう仕組みとか。
読了日:02月28日 著者:Gunnar Jägberg