2020年10月の読書記録

2020年11月06日(金) 18:42

本&映画の紹介

テキスト少なめ、漫画多めの本が2冊ほど混ざっているのですこしズルっぽいですが、10月も楽勝で2桁を達成です。積読本の片付けも着々と進行中。いつどこで、どこに惹かれて購入したかわからない本が多くなってきてちょっとツライ笑。

今月のオススメはぶっちぎりで『完全教祖マニュアル』です。無宗教の人にはかならずツボる一冊となるでしょう。平田オリザさんの『22世紀を見る君たちへ これからを生きるための「練習問題」』もさりげないつっこみが満載でして、超マジメな内容ですが、個人的にはかなり笑えました。お子さんお持ちの方は読んでおくといつかどこかできっと役に立ちます。

小説は『月の裏側』ですね。コロナ禍の混乱に通じるところがあって引き込まれました。


読んだ本の数:13
読んだページ数:2911
ナイス数:51

完全教祖マニュアル (ちくま新書)完全教祖マニュアル
長い歴史を誇るキリスト教も仏教も、最初は等しく新興宗教だったわけで、それは「ヤバイ宗教」ではなく「ナウい宗教」だというくだりで最初の吹き出し。その後、笑いが止まらなかったー。仏僧はニート以下。そうです、一般人は科学の検証なんかしないのです。悟りとは「乱暴に言えば脳みその錯覚現象です」と、矢継ぎ早にツボを押してくる笑。無宗教の人には、既存の宗教をひっくるめて全否定しているように読めるし、宗教大事にしている人には「なるほどそう説明すれば良いのか」と思わせるであろう不思議な力に満ちた書でありました。
読了日:10月01日 著者:架神恭介,辰巳一世

ウォーターゲーム (幻冬舎文庫)ウォーターゲーム
まとめ買いしたので一気に読んだけれど、間違えて最初に読んだシリーズ2作目が一番だったなー。なんか、鷹野と田岡にキャスティングされた俳優の顔が浮かびすぎて邪魔だった。しかもどちらもしっくり来ないし笑。AN通信がぶっ潰される終わりを期待していたけど、そこはなんかボンヤリしたまんまか……。鷹野も田岡も人生けっこう満足しちゃってるのかな?どうかな?AYAKOには徹底的に嫌な女でいてほしかった。いちばん残念だったのは、リーの正体がわかりやすすぎて伏線になっていないところ。吉田修一祭りはしばらくお休みだなこれは。
読了日:10月03日 著者:吉田 修一

発想法―創造性開発のために (中公新書 (136))発想法―創造性開発のために
分析に入る前の予習。久しぶりなもので。1967年初版の本書には、自分の頭の中の「内部探検」とフィールドに出て観察する「外部探検」の相互作用こそが大事だということ、外部探検するときの7視点、都合よくデータを見ないようにするための秘訣、叙述と解釈の区別、図解と文章化を順番にくり返すことの意義など、あれ?わたしが本に書こうとしていることのほとんどがきっちりここに述べられていてビツクリしたなーもう。離れザルが自然に収まったときの快感を記憶に刻めば分析はきっと楽しくなります。
読了日:10月04日 著者:川喜田 二郎

カサうしろに振るやつ絶滅しろ! ~絶滅してほしい!?迷惑生物図鑑~カサうしろに振るやつ絶滅しろ! ~絶滅してほしい!?迷惑生物図鑑~
わたしもずっと思ってました。カサうしろに振るやつ死ねって笑。タイトルを見て、速攻買ってしまったわぃ。他に死んでほしいのは、ナラバンゾウとオトモレックスかな。ウワサウロロフスが高校の同級生にいたなーとか、思い出してしまった。もう中年オバサンなので、ワカモノワ細菌やシカルシカにならないように気をつけて生きていかないとならない。社会で生きるって大変だよね。
読了日:10月10日 著者:氏田雄介

22世紀を見る君たちへ これからを生きるための「練習問題」 (講談社現代新書)22世紀を見る君たちへ これからを生きるための「練習問題」
これからの時代、「知識・技能」が備えた上で「思考力・判断力・表現力」を培い、「主体性・多様性・協働性」を持って学んでいけるようにならないとダメだよねっていう国の方針を踏まえて、著者がどっぷり関わる大学の現状を俯瞰しながら、ちょいちょい毒を吐いて笑わせつつもきっちり現状認識させてくれるという、さすがな一冊でした。特に新井先生の主張に対し、慎重に言葉を選びつつもバッチリくさすところが痛快。身体的文化資本の格差を埋めるべく移住までして実践を続ける著者の姿勢と行動力がとにかくスゴイ。尊敬してます。
読了日:10月11日 著者:平田 オリザ

ほめるのをやめよう リーダーシップの誤解ほめるのをやめよう リーダーシップの誤解
現状では力や経験の浅い部下もいつか力を発揮する日が来ると思えば「全員に居場所がある」わけで、視野を広く長く持って、対等な人間として接することが大事ってことですかね。叱られて育った人は叱られないように、ほめられて育った人はほめられるために自分の行動を決めるようになる。だから、叱ってもほめてもダメ。それはどちらも、他人を上から評価する態度だから。存在に対して「ありがとう」と言えるようになろうって、なんか宗教チックだけど笑、「ありがとう」が上司と部下に限らず、すべての人間関係の基本なのだろう。たぶん。
読了日:10月11日 著者:岸見一郎

ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]
講義用のスライドをアップデートしようと思い立ち、先立ってデザインの基本をこれで復習です。整列と反復はマスターしてると思うのだけど、近接とコントラストを大胆にやるのがまだ苦手なんですよねー。というのを再確認し、実際に手を動かして実践してみる。あと、フォントについては何度読んでも頭に入らない苦手分野。いつも旦那に助けてもらっちゃうから頭に入らないっていう理由もわかってるんだけどさ笑。
読了日:10月14日 著者:Robin Williams

自動車と建築---モータリゼーション時代の環境デザイン (河出ブックス)自動車と建築—モータリゼーション時代の環境デザイン
積読本の中でもっとも謎だったのがコレ。どういう意図でどこで買ったのかまったく思い出せない。自動車が庶民にも手の届くものになり、それまでの距離と時間の概念を一変させはじめた頃、伴って新しく建築物が生み出されてきた。ハイウェイ、サービスエリア、ガソリンスタンド、国民宿舎、ターミナルビルなど、後世に名を残す建築家たちが手掛けたそれらの多くはほとんど残っていないらしい。地震の多い国だから、安全を考えると仕方がないけど残念な話ですね。とか言いつつ、さほど興味を持てなかったのでがんばっての読了。
読了日:10月16日 著者:堀田 典裕

有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。 (トーチコミックス)有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。
『危険な読書』からの選抜10冊目。未読の人が「読んだ気になれる」くらいを目指したらしいけど、ぜんぜん読んだ気になれませんでした笑。逆にきちんと読んでみたいと思わせられた感じ。『注文の多い料理店』『イワンのばか』『モルグ街の殺人』あたりは読んでみよう。宮沢賢治を実はぜんぜん読んでいないことに気づきましたとさ。それにしても、衝撃的な誤植を見つけてしまって心がざわつきました。『ラプンツェル』の著者はアンデルセンじゃなくてグリム兄弟だよ。
読了日:10月20日 著者:ドリヤス工場

Simply Swedish : flavours for every seasonSimply Swedish : flavours for every season
スウェーデン料理のレシピ本。英語だし、半額だったので飛びついて買ってしまったけれど、半分くらいがお菓子だった。お菓子の中でつくる気になったのはセムラくらいかな。一晩寝かして……みたいなレシピも多くてやる気が出ない笑。でも、自然享受権はベリーやキノコには適用されるけど、ナッツ類には適用されないから勝手に収穫しちゃダメ!みたいなプチ知識も手に入ったので読んで良かった。ミートボール、塩漬けサーモンのマリネ、アンズタケのサラダあたりは作ってみる!かもしれない。
読了日:10月21日 著者:Anita Shenoi Christina Uhlin Margareta Schildt Landgren

月の裏側月の裏側
恩田陸さんは振り幅が広いなー。こんなホラーっぽいのも書いちゃうんですね。町の人たちがゴッソリ持っていかれて、別人(というか何というか…)になって帰ってくるけど、それを自覚していないからふつうに生活しちゃうと。コイツは本物か?という疑問を持ったら、自然と自分は?となるし、それを確かめずにはいられない気持ちが沸き起こるのもわかる。空白の一週間を終えた町には「伝染病が蔓延している」と報道され、隔離され始めるラストのくだりといい、コロナ禍の状況とうっすら被って背筋がゾワッとしちゃいました。
読了日:10月22日 著者:恩田陸

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)その可能性はすでに考えた
『完全教祖マニュアル』からの流れでコレ(なんでやねん笑)。とんでもないことをやらかす教祖(と信者たち)という先入観から抜け出せるか?みたいな展開でラストは華麗な着地。そして読後いちばんの印象は、クセが強すぎるキャラたちを誰も好きになれない感じ。ただでさえ追いかけるのがむずかしいのに、この濃いキャラたちを次々と放り込むことで読者を煙に巻こうとしているようにしか思えなかった。長らく積読してたが、読み終えてもまだなぜコレを買ったのかは謎。『完全教祖マニュアル』からの流れは絶妙だったがね(しつこい笑)。
読了日:10月27日 著者:井上 真偽

Ovanliga YrkenOvanliga Yrken
子どもたちに「こんな変わった仕事もあるよ」ってことを教えてあげるための絵本。ネイチャーガイド、ドッグトレーナー、ヘリコプターパイロット、ガラス工芸家など、変わった職業とは言え、選ばれているものがスウェーデンっぽくて興味深い。お金に困ってはじめたテニスの審判とか、おしゃべりをする必要のないところが魅力の深海ダイバーとか、その職業を選んだ理由や仕事の大変なところをインタビュー形式で紹介する構成もすてき。そして何より、スウェーデン語レベルがかなりちょうど良かった。6~9歳向けの絵本で勉強してます笑。
読了日:10月29日 著者:Joel Berglund