2020年4月の読書記録

2020年05月15日(金) 17:47

本&映画の紹介

読書ペースがまったく変化していない。つまり、わたしの生活はほとんど変わっていないということです笑。紙本の在庫が着々と減ってはきているけど。

年初からつづけてきた木内一裕祭りは「クサレ成宮vs.できる佐藤+成長株ノボル」構図の2冊でいったん終わり。どちらもすこぶるおもしろかった。いただきものの2冊は正直しんどかったけれど、自分で選んでいない本だからこそ先入観なしに読めるし、勉強になるところもある。特に『IT業界の病理学』で紹介されていた「DGWAサイクル」は今度からセミナーの締めに使わせてもらおうと思ってます。もったいないからここにその中身は書かない笑。

他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 』は、本気でインタビュー上手になりたい人にはオススメかもしれない。


読んだ本の数:11 読んだページ数:3371 ナイス数:64

デッドボール (講談社文庫)デッドボール 佐藤(ときどき田中)がトランクの中にいなかったときは成宮弁護士とともに目をパチクリさせてしまったぞ。クサレ弁護士が最後に「ちっぽけな存在」と自覚したのは良かったが、エピローグ1を読むかぎり反省は生かされていない笑。誘拐された少年からノボルに宛てられたメッセージやノボルの母に靴を届けるマナミなりの恩返しが軽く涙腺を揺さぶるステキなエンディングでした。 読了日:04月01日 著者:木内 一裕

物語北欧神話 上物語北欧神話 上 神と巨人と小人が小競り合いをつづける世界。神々が絶対的な力を持つわけではなく、神だからといって清廉潔白なわけでもない。日本の古事記と一緒で、とても人間くさい物語の数々でした。片目を捧げてまでして手に入れた「知恵」を持つ万物の父オーディンに、世界中で集めた情報や知識を運んでくるのは2羽のオオガラス(表紙にも描かれてる!)。スウェーデンでカラスがまったく忌み嫌われている感じがしないのは、神話に登場するこの2羽の影響なのだろうか?スウェーデンの人たちはどのくらい神話を知っているのだろう? 読了日:04月03日 著者:ニール・ゲイマン

リトル・ピープルの時代 (幻冬舎文庫)リトル・ピープルの時代 いただきもの。よくわからないまま読みはじめる。村上春樹…(ほとんど読んでない)からのウルトラマンからの仮面ライダー(40年前の記憶をたどる…)。そして平成「仮面ライダー」シリーズ(ひとつも見たことない)という展開でどうなることかと思ったが、この著者は要約が上手い(そこかいっ笑)。大きな敵を失って、内なる自己との闘いに挑まざるを得なくなった人類には適切に「想像力」を働かせる力が必要ってことで良いかな? 男の子たちはヒーローものでいろいろ刷り込まれるということもよくわかりました。 読了日:04月05日 著者:宇野 常寛

物語北欧神話 下物語北欧神話 下 『ヴィンランド・サガ』でへっぽこ戦士たちが口々に言う「ヴァルハラ」はオーディンの城だったのかー。北欧神話にも「三途の川」らしきものが登場するとは興味深い。ロキの末路は悲惨だが、妻シギュンの愛がまったく変わらないところに多少の情けを感じる。そしてラグナロク(神々の終焉)が訪れる。老いたものは滅び、暗黒の時代を経て、ふたたび緑の大地が現れ、新たな物語がはじまる。世界は延々とこれをくり返しているのかもしれない。ウイルスの脅威におののく今の人類の物語はどう語り継がれるのだろう…。 読了日:04月08日 著者:ニール・ゲイマン


タモリと戦後ニッポン (講談社現代新書)タモリと戦後ニッポン タモリさんの「今から俺、おもしろいこと言うぞ。笑う準備しとけよ」という雰囲気を醸し出しながらニヤけるところが好き。最近は博識を披露する前に「知ってますよもちろん」という顔もするようになりましたね笑。時代背景に合わせてスルリスルリと駆け抜けてきたタモリさんの歴史を勉強させていただきました。奥様どんな人なんだろ?という長年の謎は消えなかったけど、一瞬まとも風サラリーマンをされていたときに出会いがあったらしきことはわかりました。これからも元気に私を笑わせつづけてほしいです。ぜんぜん書評になってないが笑。 読了日:04月10日 著者:近藤 正高


あひる (角川文庫)あひる 「しんだの三びき目でしょ」という女の子の問いかけのところでブルっときてしまった……。両親と姉を正座させて説教たれる弟が父になり、同居をはじめるってマジ? インキョ暮らしのおばあちゃんは死んだひいおじいちゃんの奥さん。でも家族の誰とも血がつながっていない。けどバースデーパーティとかしちゃうのか……。そして、おばあちゃんに元気を与える「ぼくちゃん」が最終話に出てくるモリオ……。漫画を全巻手に入れたら二度と行かなくなるけどね。「やさしさ」とは何かを考えさせられる物語の連続でした。『危険な読書』からの選抜4冊目。 読了日:04月11日 著者:今村 夏子


Lund In PicturesLund In Pictures 一年ぶりに再読。今回は英語を参照しながらスウェーデン語のほうも読んでみた。Lund暮らし1.5年を過ぎたので、地理がだいぶわかるようになって、写真を見ればどこのことかだいたいわかります。良い季節のきれいな写真ばかりなので「冬はこんなじゃないぞ……」とかつっこみたくなったけど笑。人口増加に伴う町の変化はこれからも続きそうですし、ルンド駅前とかリアルに今ぜんぜん風景かわってますけども、古き良き面影も大事に残していってほしいですほんと。 読了日:04月12日 著者:Martin Borg


不愉快犯 (講談社文庫)不愉快犯 また成宮か……とか思いながら読み始めるや気づいたけど、クサレ成宮vs.できる佐藤+成長株ノボルという構図はまんま『デッドボール』と一緒ではないかぃ! おもしろい!! それをたまたま連続で読んだわたしエライ。全国の成宮さんには申し訳ないけれど、今後はたぶん「悪」にしか見えない。「佐藤」が正義の側の切れ者設定、ありがたいです(どうでもいー笑)。それにしても、一時不再理をくつがえすとかスゴイよノボル。すこし成長が早すぎて現実味に欠けるけどね。 読了日:04月14日 著者:木内 一裕


他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 「対話とは(中略)新しい関係性を構築すること」ですまさに。初対面のユーザーと瞬時にその関係性を構築するのが「ラポールをつくる」ということ(とは書いてないが)。「ナラティブ」という日本人に馴染まなそうなカタカナ語はちょっと嫌だけど、これは「相手が持っている解釈の枠組み」のことで意訳すると「その人なりの視点」ということになる。「相手の立場で見る=エンパシー」の大切さ、つまり「共感」できなければ橋は架からない。ということで、実は新しいことはさほど言っていないけれど、社会人にとって大切な教養レベルの話かもしれん。 読了日:04月19日 著者:宇田川 元一


IT業界の病理学IT業界の病理学 いただきもの。システム開発ベンダーに開発や運用を依頼する側のことを「ユーザー」と呼ぶんですか!そうなんですか?と、冒頭でいきなりエンジニアの人たちと言葉が通じないはずだと思った笑。つくる側とそれを管理する人たちの苦労や葛藤がとても勉強になりました。細かい話はまったくわからんかったけども。しかし「DGWAサイクル」はツボった笑。別の文脈で転用させていただくべく記憶の箱に入れましたとさ。 読了日:04月24日 著者:司馬 紅太郎,秋山 浩一,森 龍二,鈴木 昭吾,都築 将夫,堀 明広,佐々木 誠,鈴木 準一


小説 琉球処分(上) (講談社文庫)小説 琉球処分(上) 『熱源』で樺太とアイヌの物語に触れたのを機に、次は南の琉球王国について思いを巡らそう。「琉球が日本より清国を貴し」としていた当時、日本の国土防衛の要とすべく琉球を取り込もうとしていた日本政府には、なあなあに事を運ぼうとする琉球人たちに煙に巻かれることのないよう一切の賄賂を断る気概を持った役人がいた。現政府のアレコレとつい比べてしまったが、弁当ひとつ受け取らないとはスゴイ。そういうわけで、上巻では話がなかなか進まなかった笑。沖縄の歴史をあまり知らない道産子なので(言い訳)どう決着がつくのか楽しみ。 読了日:04月26日 著者:大城 立裕