公衆衛生庁からのお達し
2020年03月18日(水) 17:02
UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, Skåne, スウェーデン, マチとヒトの観察- ANNOUNCEMENT BY SWEDISH PUBLIC HEALTH AGENCY
- We now have more than 1,000 infected individuals in Sweden, and its public health agency announced that people over 70 should limit social contacts for the time being. It sounds interesting that the time period is not clearly mentioned compared to the Danish government's decision to close the borders for a certain period of time. As Swedes love a family gathering, the announcement suggests avoiding meeting their old relatives, which also sounded interesting. In comparison with Japan, Swedes do not lose any paid time off even though they are absent from their jobs for a while because of this pandemic or any other diseases. But, what would happen if very many Swedes stop working? Do the companies keep paying their salary even though the employees exceed the limit?
新型コロナウイルスの感染者数がスウェーデンでもモリモリ増加しておりまして、 スウェーデン公衆衛生庁の3月17日の発表によりますと、累計で1,167名(前日+108名)の感染が確認されています。首都を含むStockholm県が410名、二番手はわたし達の暮らすSkåne県が207名で、人口第二位の都市Göteborg(イェーテボリ)を含むVästra Götaland県の179名を上回っています。デンマークの国境閉鎖に伴い、大陸から陸づたいにスウェーデンへ入ってくる人の流れがしばらく途絶えると思われるため、Skåne県の感染拡大スピードは若干ゆるやかになるのではないかと個人的には想像していますが、さて、どうなることやら……。
ちなみに、スウェーデン公衆衛生庁から出ているお達しの中で興味深いものは次のとおり。
- 70歳以上の高齢者は今後数週間、他者との接触をできる限り控えるようにすること(特に、公共交通機関、店舗や公共施設など人が集まる場所へのアクセスは避けること)
- どうしても必要な場合を除き、高齢の家族や親戚に会いに行くのを控えること
- 体調の悪い人は自宅にとどまり、他者との接触を避けること(在スウェーデン日本国大使館からの通達によれば「症状が治った後の2日間を含む期間は自宅に留まるべし」となっています)
高齢者への感染拡大を防ぐべく配慮して生活しましょうという方針のようです。なにせこの国の人たちは家族や親戚で集まるのが大好きらしく、夏の終わりのザリガニ祭りや年末のクリスマスだけではなく、ふつうの週末にもちょいちょい家族大集合とかをやっているので、その習慣をしばしの間は我慢するようにと呼びかけています。
デンマークが4月13日までと明確に期日を決めて、しかもいきなり一ヶ月!国境を閉鎖すると発表し、実行したのとはちがい、自粛の目安期間がぼんやり「in the coming weeks」となっているところも興味深いです。またデンマーク政府は3月17日付けで、10人以上の集会を禁止し、レストラン、美容院、スポーツ施設に対しては営業を一時停止するようにとのお達しを出した模様。スウェーデンはまだそこまでではありませんが、感染者数はスウェーデンのほうが若干多いくらいです。日本から見ると「北欧の国」として括られる2国の対応がけっこう違う……。
日本とのちがいという面では、コロナが理由で仕事を休んだ場合の給与補償がどうの……という騒ぎはスウェーデンでは起こらないと思われることでしょうか。「具合が悪いときに仕事を休む」のは労働者のとうぜんの権利として認められているので、理由は何であれ仕事を休むには有給休暇を使わなければならない日本とは大違いです。ちなみに、自分だけでなく家族が病気のときも同様で、労働者の権利を行使して仕事をお休みできます。そして、病気を理由にしたズル休みもとうぜん蔓延しているようですが、各自のモラルによってズルは適度な範囲に収まり、社会が回るようになっているという不思議な国、それがスウェーデン。しかし今回のコロナ騒ぎで、タガが外れて、労働者のほとんどが仕事をお休みしてしまったらどうなるのだろう? というのはちょっと気になるところです。
※ちょっと追記:病欠に対する補償は、企業ではなく行政の役割らしいです。しかも補償されるのは2日目からで、100%ではないらしい。手続きもけっこう煩雑で、それがめんどうだから「病欠」ではなく「テレワーク」という逃げ道を取る人もたくさんいるとか、いないとか笑。いずれにしても「病気ごときで大切な有給休暇を使ってしまっては夏休みが減るではないかぃ!」というのがスウェーデン人の本音(たぶん)。