2019年12月の読書記録

2020年01月04日(土) 20:56

本&映画の紹介

2020年の読書目標を定めるために、とりいそぎ12月分の記録をアップします。12ヶ月連続二桁読書を達成しました! 英語本とスウェーデン語絵本を1冊ずつというのも達成だぞ。がんばった。マジがんばった。読んでないで書け!と言われるかもしれないけど、がんばった。

「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』は2019年に読んだUX関連お勉強本の中ではダントツの1位です。まー、たいした冊数を読んでませんが笑。『ニューロテクノロジー ~最新脳科学が未来のビジネスを生み出す』は、自分の仕事とちょっと競合するマーケティングリサーチに脳科学がグイグイと関わってくるであろう近い未来をリアルに教えてくれるある意味コワイ一冊でした。

図書館から借りてきたスウェーデン語の絵本を返す前に一気読みしたことと、後半小説三昧になっていることは反省ですが、藤原伊織祭りが終わりまして、その遺作で2019年を締めようと思ったのに、つい木内一裕さんの『嘘ですけど、なにか?』に手を出したらおもしろ過ぎて止められなくて、一気読みしちゃいました。そんなわけで、2020年は木内一裕祭りからスタートすることに決定!


読んだ本の数:12
読んだページ数:2747
ナイス数:78

「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
「読書」という体験をこうやってデザインし、形にできるんだ!という驚きと喜びと学びに満ちた本でした。UX界隈にいる人には絶対にオススメ。今年いちばんと断言してしまおう。体験をデザインしようと思ったら「人間への理解が必要」ですよね、そうですよね。「共感」とはなにかという説明には目からウロコが落ちました。拝借させていただきます。「大切なのは…中略…石ころとユーザーがふれあう文脈です」ってところ、頷きすぎて首もげるかと思った笑。再読する暇あったら日常の中の体験を見つめるべしっていう最後のお達しにもしびれました。
読了日:12月01日 著者:玉樹 真一郎


ダナエ (文春文庫)ダナエ
ゴッホの次はレンブラントか……、ヤクザだけじゃなく、美術への造詣も深い人だったんですね笑。芸術家として名を成そうとする人の嫁はどうやら大変らしいことがわかりました。2作目にナイスヤクザ登場。ざっくり要約するとこじらせ気味の2つの家族が奇妙に絡まり合う物語。読後が意外にも清々しい。お勤めご苦労様です。3作目は変態の娘に生まれながらもがんばって生き抜こうとする女子を、かっこよく救おうとするオッサンの話。終わってみれば、こじれたりもつれたりしちゃった親子の物語集でした。いずれも短編なのはもったいないレベル。
読了日:12月04日 著者:藤原 伊織


FörvandlingenFörvandlingen
Lund市立図書館から借りてきたスウェーデン語の絵本です。日本のおとぎ話に「鬼」が出てくるのと同じように、こちらのおとぎ話には「巨人」が出てきます。巨人が女性っぽいイラストなのが、なおさらスウェーデンっぽかった。途中で傘屋のおばちゃんが出てくるんだけど、「なんでここで傘屋やねんっ!」と一人で突っ込んでいたら、傘が大切な役割を果たす物語でした。あと、かっこよく巨人退治にでかけたお父ちゃんがだらしなかった笑。カバーデザインが賞を取ったステキイラスト絵本です。
読了日:12月07日 著者:Anna Höglund


Bidde Det Då?Bidde Det Då?
Lund市立図書館から借りてきたスウェーデン語の絵本です。司書さんにオススメを聞いたら、この著者さんが学習絵本としては最高だよ!とのことだったので、読んでみたら、悲しくも笑える物語でした。ちっちゃいおじさん、とっておきの布地をお針子さんに持ち込んでとっておきの一着を作ってもらおうとしますが、お針子さんのチョイスが悪かったー笑。結末は残念だったけど、似たような文章を連続して読むことになるので、名詞や形容詞や定冠詞の変化の良い勉強になりました。なるほど、たしかに学習絵本として優れています。
読了日:12月11日 著者:Pija Lindenbaum


Glassens CafeGlassens Cafe
Lund市立図書館から借りてきたスウェーデン語の絵本です。スウェーデンもヨーロッパだから、「魔女」というのも定番のひとつっぽい。魔女親子はいたずら者で町の嫌われ者。カフェに来た動物客たちに次々と魔法をかけてとんでもないことにしちゃいます。とりあえず、魔法失敗しすぎ笑。子どもが母親にかける魔法だけは成功して、親子突如として良い魔法使いに変身。とりあえず、とんでもないことになっちゃってる動物たちが多すぎ。Smålandからも中国からも動物が集まる人気店になりましたとさちゃんちゃん。
読了日:12月13日 著者:Pija Lindenbaum


女も男も生きやすい国、スウェーデン (岩波ジュニア新書)女も男も生きやすい国、スウェーデン
たしかな資料をあたって経緯を抑えているし、データの見方もまちがいないし、スウェーデンの女性たちが、男女平等があたり前の今の状態に行き着くまでにどんな苦労を重ねてきたかがしっかりわかる一冊でした。たくさんの女性へのインタビュー記録を写真とともに載せてくれているので信憑性も高いです。ただしそのインタビューが、決めつけ感の強いクローズドクエスチョン中心の聞き方になっているのが残念すぎる。IKEA勤めの日本人に対するインタビューは悪くないので、言語の問題だったのかもしれません。ほんと惜しい。
読了日:12月14日 著者:三瓶 恵子


ニューロテクノロジー ~最新脳科学が未来のビジネスを生み出すニューロテクノロジー ~最新脳科学が未来のビジネスを生み出す
どんなにテクノロジーが発展しても、わたし達が「人間」であるかぎりは関わり合いをゼロにすることはできないはずで、だからこそ「脳科学(神経科学)」を学び、科学的価値観を身につけ、それを正しい形でビジネスに応用していけるようになれば生活はより豊かになるはずだ……というのが本書の論旨で、その小難しい話を素人が読んでもわかるように配慮に配慮を重ねて書いてくれたものだと推察します。仕事柄、3章はとても参考になりました。でも4章以降はほぼお手上げ。これからの世の中についていけるかどうかむしろ自信がなくなりました笑。
読了日:12月17日 著者:茨木 拓也


SDGs入門 (日経文庫)SDGs入門
まず「SDGs」の読み方から……ってところでちょっと吹いたけど、なにげに大事なところだわ、うん。サステナビリティへの日本の取り組みや真剣みが、欧州に比べると後手に回っている感は否めないけれど、カルビーやセイコーエプソンの事例はとても良い。後者開発のペーパーラボなんてめちゃくちゃスゴイ! わたしは企業人でも投資家でもなくてただの生活人ですが、こうしてしっかり取り組みをしてくれている企業の製品を積極的に買うとか、一般消費者もそんなふうに関わっていくようにならないとダメだよホント。
読了日:12月19日 著者:村上 芽,渡辺珠子


世にも奇妙な君物語 (講談社文庫)世にも奇妙な君物語
前情報ほとんどないままに、いつなにをきっかけに買ったのかも思い出せない感じで読み始めたら、一話目のラストでビビった。二話目からは多少物足りなさを感じながらだったけれど、最終話ですっきり回収してくれて読後感は悪くない。最終話のモチーフになっているリアル脇役俳優さんたちはコレを読んでどう思うのかな? ドラマじゃなくて舞台にしたら面白そうだけで、彼らは出演してくれるかな? それにしても天才子役に全部もってかれるの、切ない……笑。
読了日:12月22日 著者:朝井 リョウ


Hans Christian Andersen Tales (Word Cloud Classics) (English Edition)Hans Christian Andersen Tales (Word Cloud Classics) (English Edition)
1820年代に書かれたとされる『The Tallow Candle』を含む64話をまとめたぶ厚い一冊です。毎日チビチビ読んでいたら半年もかかってしまった…。日本人にもなじみ深い物語の数々は、初期1830年代に書かれたものがほとんどなんですね。後半は知らない物語がつづくので、減速したのも無理ないかもしれません。最後のお話が1872年の著作なので、アンデルセンは50年近くの長きにわたり物語を紡ぎ続けたということになります。スゴイ。彼の性格を反映してか悲しいエンディングが多いのがなんとも悲しい。
読了日:12月26日 著者:Hans Christian Andersen


遊戯 (講談社文庫)遊戯
藤原伊織祭りを締めくくるべく遺作に手を出してしまいました。まさか自転車オッサンの正体すらわからないままになろうとは……。父親による変態チックな虐待を乗り越えて大人になった男と天が二物を与えたと思しき女の恋の行方も気になるけれど、とにかく自転車オッサンよ、あんた誰なん?という読者の問いに、著者は永遠に答えをくれないわけですね。これが2019年の締めくくりの一冊になりそうです。続きも次もないのが本当に残念な締めくくりになりました。でも来年も読書たくさん楽しみます。
読了日:12月29日 著者:藤原伊織


嘘ですけど、なにか? (講談社文庫)嘘ですけど、なにか?
藤原伊織祭りの次は木内一裕祭りにしようかなー、どうしっよかな~と思いながら気軽に読み始めて、「意外にも恋愛ものか?」という出だしですこし緩く構えていたら、主人公女史が軽快に、しかし嫌味なく嘘をつきまくっていくのが気分爽快でやめられなくなった。良い男に見えていたオッサンがあっさりクズに転落し、気づいて速攻しかるべき行動に出る主人公がホントスゴイ。ミステリー作家の編集担当しているうちにめっちゃ知識を蓄えていてそれもスゴイ。そしてなにより八郎兵衛が天才すぎて、彼の登場以降ずっと笑いが止まらない。死ぬな少年!
読了日:12月30日 著者:木内 一裕