2019年5月の読書記録
2019年06月14日(金) 16:16
本&映画の紹介今月からいよいよスウェーデン語の本を1冊ずつ読む目標を追加。辞書を引きながら幼児向け絵本をパラ見する段階ではありますが、住んでる間に多少は話せるくらいにまでなるんだ!(そして帰国してあっさり忘れるんだなコレ)
それはともかく、いろいろなジャンルの本を良い感じのバランスで読めた月でした。一見とてもくだらないのだけど、『大宮エリーの なんでコレ買ったぁ?!』のおかげでユーザーインタビュー中上級者向けの演習を思いついたのはデカイ収穫です。今のところ試す機会がないというのが残念ですが笑。小説は『土漠の花』が辛くて悲しいドンパチの連続だけど寝る間を惜しんで読んじゃうくらいの疾走感でした。月村良衛さん祭りはしばらく続きそう。
読んだ本の数:12
読んだページ数:3053
ナイス数:84
パレード (幻冬舎文庫)
『橋を渡る』を皮切りになんとなく吉田修一さん祭りスタート。そして評判をもとにまずこれを選んでみましたが、2002年の刊行ですか。どうりで出てくるドラマのタイトルが古い。でも全部わかるという笑。それにしても2002年の段階でルームシェアとは、未来を読んでる感がありますね。そしてそんな時代を先駆ける生き方している人たちの病んでる感もスゴイ。5人目で激しくひっくり返すのは、『橋を渡る』と同じだけど、吉田修一あるあるなのか?
読了日:05月01日 著者:吉田 修一
母さんごめん、もう無理だ きょうも傍聴席にいます
介護の調査の参考になるかな……と思って読んでみましたが、そういう話ばっかりじゃなかったのね笑。裁判の傍聴って一度も行ったことがないのだけど、興味本位で行くのは気が引けるんだよね。裁判にかかるような事をしてしまった人を裁く場ではあるけど、人ひとりの人生が決まる瞬間に立ち会うというのは心理的にかなりの負担だと思う。代わりに聞いてきてもらった感じで淡々と読みました。疲れた。
読了日:05月03日 著者:朝日新聞社会部
未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学
これは良い本。東大の先生が女子高生を相手に政治学を語っています。『ファクトフルネス』を読んだあとだったのでなおさら、間違えた考え方が蔓延していることについても触れて修正しながら、とにかく丁寧に教えてくれていて、受講生たちも程よい距離を保ちながらがんばってついていってる。もう少し臨場感も伝える編集をしてくれると良かったけど、とにかくたった5回の講義で、これだけの内容を学ぶのはさぞ大変だったことでしょう。彼らの中から大きく羽ばたく子が出てくるのが楽しみ。
読了日:05月05日 著者:宇野 重規
北欧流「ふつう」暮らしからよみとく環境デザイン
うちは子どもがいないので、学校に行くチャンスがないし、親はとうぜん日本にいるので高齢者福祉施設を見るチャンスもないし、健康体なので病院へ行くチャンスもないので、せっかく福祉大国に暮らしていても充実した福祉政策を体感することができないのであーる。ということで、研究者の方々が入り込んで見たり、聞いたりしてきたことをこういう形で世に出してくれるのはありがたいです。「北欧」と一括りにすることの危うさはあるけれど、それは自覚されているようなので、読者も歪んだ捉え方しないように気をつけたいですね。
読了日:05月07日 著者:
Sweden from Above
とても美しい写真集です。上空から見える、上空からでなければ見えないスウェーデンの街や大自然の様子を楽しませてもらいました。モルテンの背中に乗ってスウェーデンを旅したニルス・ホルゲルソンの目にも、こんな景色が映っていたにちがいありません。表紙に使われているVen島にはまだ行けてなくて、菜の花がこうして咲いているうちに行きたいよー(行きそびれました)。巻末にあるスウェーデンの地図を、できれば巻頭に配置してほしかった。地理や地名がまだ頭に入っていないのでね。
読了日:05月10日 著者:Lars Bydgemark
土漠の花
『ガンルージュ』からはじまった月村良衛さん祭り。苦しい物語でした。ガンのほうは、ドンパチやっていてもフィクション臭が消えないので笑えたけれど、これは笑いの要素なし。謝辞にある「諸事情によりお名前を記すことのできない方」のことが気になって仕方ないけど、ノンフィクション臭を醸し出すための仕掛けのようにも読める。色恋はないほうが良かったな…と思いつつ、でも愛する家族を持っていることが生きのびるための大きな力になることを示したかったのかもしれない。いやもうマジで戦争反対。
読了日:05月13日 著者:月村 了衛
認知症になった私が伝えたいこと
著者の「今までどおりに」生きようとする力がスゴイ。若年性だからこそ、発症してからがとにかく長い。でも、すべてをいっぺんにできなくなるわけではないから、精神的にも物理的にも準備をしておくことで乗り越えられることがたくさんある。そんな言われてみれば当たり前のことをたくさん教えてもらいました。認知症の親を介護している人たちがかならず言う台詞「終わりが見えないから苦しい……」とは、認知症本人にとっても同じこと。彼らの声が、もっと広く認知される世の中をつくっていかなければなりません。
読了日:05月17日 著者:佐藤 雅彦
RE:THINK(リ・シンク):答えは過去にある
いやー、これは時間がかかった。単純に長いというのもあるが、内容が思った以上に真面目だった。時間軸も長い。コンマリから汎神論に遡ったりするのとかついていくのマジ大変。過去にはボロクソ否定された発明や考え方が時を経て180度ちがう受け止められ方をしたり、それがまたひっくり返ったりという例をこれでもかというくらいに紹介して、いまは当たり前のことも将来どうなるかわからんぞマジで…という脅しで終わる。そうねー、祖先は動物の肉とか食ってたらしいぞ信じられねーとか言われる未来はふつうにありそう。勉強になりました。
読了日:05月20日 著者:スティーヴン プール
大宮エリーの なんでコレ買ったぁ?!
いろいろ笑える買い物ではありましたが、そんなことより、“小さいエリーちゃんが見つけたものを大人のエリーさんがお金を出して買った”というあとがきでの自己分析が実に良い。すばらしいメタ認知。おかげさまで、ものすごい演習ネタを思いついてしまったぞ。これを使えば、認知的不協和と確証バイアスとメタ認知を体感しながら仮説検証と機会探索のインタビュー練習をする枠組みが完成する。試したい。どこかで試したい。が、セミナーの予定なし。大宮エリーさんって東大卒だったのか。地アタマの良い人なのだな、うん。
読了日:05月22日 著者:大宮 エリー
あいにくの雨で (集英社文庫)
登場人物たちの名前がキラキラしているような、してないような笑。田舎の高校生も大変だな……というのが総合的な感想かな。親とかの世代の人間関係をそのままあたり前のように引き継いで幸せなことなんてない。多くが田舎を飛び出したくなるのはやはりあの閉塞感がゆえか。とりあえず、あまり入り込めなかった。キラキラネームのせいか笑?。それに電子書籍で読んだので、出だしの13章が意味不明すぎて、なにか買い方を間違えたのではないかと思って焦ったわ。
読了日:05月24日 著者:麻耶 雄嵩
世界のビジネスリーダーがいまアートから学んでいること
想像力の大切さが繰り返し出てくる。共感しまくり。「アーティスティック・マインドセット」として紹介されているもののうち、観察、質問、関連づけはリサーチャーにも共通する。アーティストが作品をつくるためにやっていることを、わたし達はリサーチの現場で、脊髄反射的にできるようにならないとならないってことだ。とりあえず、アーティストとデザイナーのちがい、アートとデザインのちがいが語られていなくて、定義されていないので、そのへんがいまだにモヤモヤ。アーティストをデザイナーに置き換えてはダメですか?なぜですか?
読了日:05月27日 著者:ニール・ヒンディ
ABC Boken
いよいよスウェーデン語の本が登場ですよ。絵本ですけども。いや、絵本と呼ぶのもはばかられる幼児向けABC本です。スウェーデンのイラストレーターと言えばこの人!というくらいの人気作家さんらしい。スウェーデンの子ども達がアルファベットを習うのと同じように、まずはわたしもここに出てくる単語を覚えよう。A för Apa(さる)! ですぞ。Kamel(ラクダ)が出てくるのは意外でした。
読了日:05月29日 著者:Jan Lööf