2019年4月の読書記録

2019年05月09日(木) 18:09

本&映画の紹介

4月のオススメは断トツで『FACTFULNESS』です。先入観やメディアの扇動に負けずにデータを正しく読み、解釈することの大切さを教えてくれる良書。著者がすでにお亡くなりになっているとはとても残念です。同じく他界されてしまった恩師の著書『教育心理学概論』をやっと読み終えまして、すごく大事なヒントをもらった気分。小説はやはり『ハロー・ワールド』ですかね。藤井大洋さんはスゴイと読むたびに思う。

スウェーデンについての勉強も順調だし、月に2桁の読書も英語本を混ぜるのも達成だし、うん、良い感じ。が、読んでばかりいないで書かないとならなかったりもする。そっちの進捗いまいちなのは反省してます。



読んだ本の数:11
読んだページ数:3104
ナイス数:83


人格転移の殺人 (講談社文庫)人格転移の殺人 (講談社文庫)
東京からの帰りのフライトで一気読み。とにかく、人格転移を追っかけて、今、どの身体が誰よ?を考えるのが大変すぎた。設定をアメリカにして、登場人物にも人種をいろいろ混ぜて、そのおかげでスケール感が増すと同時に目もくらむという仕掛けかな。そして最後に明かされる、この素っ頓狂な実験施設がつくられたそもそもの理由……が笑えた。イグノーベル賞ねらいだな、きっと笑。
読了日:04月02日 著者:西澤 保彦


デザイン思考の先を行くものデザイン思考の先を行くもの
デザイン思考は仮説検証のための道具であって、即イノベーションを!と期待するときに使うものではそもそもないという話。結局は、人間中心設計のプロセスをしっかり回していけるようになることが大事なんだな、うん。“「なりきり」に慣れていくことで、結果、自分の人格を分断し行き来する”という思考法はリサーチャーも同じで、ユーザーの頭の中と自分の中とデザイナーの心の内とを行ったり来たりしつつ「なにか」に気づく瞬間に向かっていく感じ……を自分でどうやっているのかをなんとか外化したい。と、コレを読んで思いました。
読了日:04月04日 著者:各務 太郎


Lund In PicturesLund In Pictures
大聖堂を中心とするLundの町のあちこちにどんな景色が佇んでいるのかを教えてくれる素敵な写真集でした。人口の増加に耐えきれなくて、どんどん集合住宅が建っているから、何年もしないうちに違う景色も広がるようになるだろうけれど、町の人たちが大切に守っている中心部の歴史と景観がこのとおりに、これからもずっと長く維持されることを期待しています。早く花と緑でいっぱいの季節にならないかなー。
読了日:04月06日 著者:Martin Borg


教育心理学概論 (放送大学教材)教育心理学概論 (放送大学教材)
恩師の本。なほみ先生が語っている様子を想像しながら読んでいたら、いろいろと脱線してなかなか読み進みませんでした。メタ認知を鍛える方法をずっと探していて、ここに答えがあることを期待していたけれど、残念でしたー。直接的な方法は紹介されてなかった。でも、建設的相互作用。インタビューしているときにわたしの頭の中で起きているのはコレか?でも、「相互」作用であってはならないような気もする……。すごく大事ななにかを掴みかけているような、まだまだ遠いような。
読了日:04月13日 著者:三宅 芳雄,三宅 なほみ


北欧の小さな大国「スウェーデン」の魅力150北欧の小さな大国「スウェーデン」の魅力150
すごく気の利いた読み物でした。地名をはじめとする固有名詞は日本語読みとスウェーデン語のスペルを併記。どちらかひとつだと、現地ではお役立ち度が半減してしまうからね。あと、こんな残念なところも実はあるよ……という話をちょいちょい入れ込んでいることも大事。万事がミラクルに整っているわけではないですスウェーデンだって。ストックホルムの情報が中心になるのは仕方ないし、6月に行くときにガッツリ参考にさせてもらいますが、南の方にフォーカスした続編(北の方でもいいよ)がほしいです。なんなら私が書きたい笑。
読了日:04月14日 著者:西田孝広


情熱でたどるスペイン史 (岩波ジュニア新書)情熱でたどるスペイン史 (岩波ジュニア新書)
今月末にスペインはアンダルシア地方をぐるりと回る予定です。で、予習と思って買ったのだけど、著者の「情熱」がわたしのものとは桁違いなうえに方向性も違った笑。これを旅の参考書とするには、本気で読み込まないとダメです。あと現地訪問も一度や二度じゃ足りません。そんなに何度も行く予定や余裕はないので、わたしらはもう少し気楽に、スペインの人たちが長い歴史をかけて培ってきた文化と景色をざっくり見させていただきますねー。あー、たのしみ。
読了日:04月14日 著者:池上 俊一


絵物語 古事記絵物語 古事記
日本の神様について、いつ聞かれても良いように復習しておきました。スウェーデンに伝わる巨人とかもそうだったけど、日本の神様たちもめちゃくちゃ人間味あふれるね。怖くなったら逃げるし、やばくなったら誤魔化すし、好奇心には勝てずに覗いちゃうし、兄弟げんかするし、親子げんかするし、あー、人間味あふれてるんじゃなくて人間なんすよ笑。とりあえず最後に気になったのは、コノハナサクヤビメの二番目の息子ホスセリはどこ行ったん? そして山村浩二さんに挿絵が素敵すぎて好きすぎる。
読了日:04月16日 著者:富安 陽子


ハロー・ワールドハロー・ワールド
最近はまっている藤井大洋さんの新作で、とうぜんガッツリSFだろうと思いながら読み始めたら「今」の話で、いつもの未来スゴイぜヤバイぜ感が少ないな……と思いながら読んだのだけど、よくよく考えたら、すでに存在するテクノロジーと今すぐにでもあり得るこんな事件やあんな事件を書くほうが、ぶっ飛んだ近未来を書くよりも凄腕が必要なのではないかということに気づいた次第です。“十九年後、いまよりもずっと機械は「生きて」いるだろう”って、そうですよね。ワクワクしつつもコワイ。そんな現代人の気持ちがたくさん描かれていました。
読了日:04月20日 著者:藤井 太洋


FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
直近に読んだスウェーデン本でも紹介されていて、よーし、どこかで講演会に潜り込めないかを探ってみよう……と企みはじめたところですでに他界されていることを知るという。残念すぎる。所詮西欧人が上から目線で突きつけるビジョンに過ぎないではないか!とアフリカ人女性に指摘されたときの衝撃と反省がもっとも印象的でした。認知的不協和から逃げず、それをここに書き記したこともスゴイ。メタ認知を上げて、データと現状を正しく見られるようになるための教本。同時に著者が人生をふり返り、許しを請う旅にも近い、そんな読書でした。
読了日:04月23日 著者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド


Sail in on a shrimp sandwich ...and other curious Swedish sayingsSail in on a shrimp sandwich …and other curious Swedish sayings
ことわざに手を出すのはまだ少し早かった……。直訳と意訳、背景の説明と使用例をスウェーデン語と英語の両方で、それぞれのことわざについて添えてくれているのだけど(かわいいイラストも)、英語であっても使えるようになる気がしない言い回しの数々。ただ、スウェーデン人の生活様式や食に対するこだわりみたいなものがチラリと垣間見えたので、今後じわじわ分かっていくことを期待しよう。
読了日:04月25日 著者:Anita Shenoi


希望荘希望荘
探偵業はユーザーリサーチ業に通じるものがある。ただし、もっとずっと危険と隣り合わせだけどね。そういうわけで、杉村三郎名探偵の仕事っぷりを楽しみました。表題作は介護の現場が舞台なので、仕掛かりの仕事ともリンクして興味深かった。名探偵誕生秘話的な『砂男』がいちばんだったかな。秘密を抱えて生きていくのは大変すぎるけど、広樹さんにはどこかで小さな幸せを見つけていてほしい。竹中家の間取りが知りたい。トニー最高。そんな感じ。
読了日:04月26日 著者:宮部 みゆき