2019年3月の読書記録
2019年04月06日(土) 17:36
本&映画の紹介『ニルスのふしぎな旅』の2~4巻をほぼ一気読み。いまだ土地勘が足りないので旅を追いかけるのはしんどかったけど、森や森に生きる動物たちがスウェーデンの人たちにとってどれほど重要なのかが伝わってくるエピソードの数々でした。そして図書館で見つけた『スウェーデンの森の昔話』がなにげにすごく良かった。買いたいくらい。でも3月のベスト本は断トツで『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』です。本好き旅行好きにはたまらない一冊です。ニルスがあったので小説を控え目にしていましたが、『ガンルージュ』につづき月村良衛さんの『機龍警察』はおもしろかった。この著者にしばらくはまりそう。
読んだ本の数:13
読んだページ数:3350
ナイス数:63
悲劇的なデザイン ―あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?
ユーザビリティへの配慮に欠いたデザインがユーザーを死に追いやることさえある……のはあちこちで語られてきたけれど、これだけまとまってるとさすがに説得力がある。もっとも共感を得やすいのは3章の怒りをあおるデザインかな。日本語版ダークパターン収集サイトとか誰か作ってくれないかな(自分ではやらない笑)。“ユーザーはいつか必ず死ぬということを忘れない”のも大事だよね。今しかかりのプロジェクトにダイレクトに響く言葉だった。プルチックの感情の輪とか今度のレポートで使ってみようかな……などなど、学びの多い一冊であった。
読了日:03月02日 著者:ジョナサン・シャリアート,シンシア・サヴァール・ソシエ
ねみみにみみず
わっかるかなあ。わっかんねぇだろうなあ。ってのを松鶴家千とせ師匠がさまぁ~ずの二人にせがまれて実演するところをこないだ録画で見たばっかりなんすよねー。わっかるかなあ。わっかんねぇだろうなあ86ページ笑。数々の名訳書を世に残し、たくさんのお弟子さんを輩出し、惜しまれつつ他界した翻訳者によるオヤジギャク満載のエッセイを、まさに弟子のひとりが編集して完成させた本らしい。翻訳という仕事を生業にすることの難しさを軽やかに伝えてくれましたが、面白さでは米原万里さんの圧勝って感じでした。
読了日:03月03日 著者:東江 一紀
ニルスのふしぎな旅〈2〉[全訳版] (偕成社文庫)
かつて鉱物資源を求めて人が森を荒らした過去があることを思い出させ、同じ轍を踏まないようにと諭す力のある物語たちでした。森に生きる動物たちと触れ合い会心するカルルや森を守るために身を引く灰毛、助けてくれたニルスへの恩返しを忘れない熊のお父さんなど動物たちの態度が直球で潔くて気持ちが良い。主人と馬の再会の物語も深イイし、ガンの群れやモルテンの出番が少なくて、なんならニルスも脇役っぽかったけれど、主役を張れる動物がこんなにたくさんいる森がいっぱいのスウェーデンはやはり素敵なところだということになる笑。
読了日:03月06日 著者:ラーゲルレーヴ
モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語
日本の本屋大賞は、モンテレッジォ村に端を発した露店商賞の二番煎じだったのか(ホントのところは知らんけど笑)。1854年発行の証明書に記載された職業は<農業、歯科医および石売り。そして本も売る>って、どんだけ万能の人なのよ……。1858年当時の記録によれば、村の人口850人のうち71人の職業が<本売り>って、他に売るモノないんかぃって笑。山奥の小さな村から始まる本の行商と本屋の歴史を、著者が丹念に真剣に紐解いてくれています。村の広場の石碑を見に行きたいかも……。
読了日:03月08日 著者:内田 洋子
スウェーデンの森の昔話
Lundの図書館にて読了。おもしろかったー。何度も声を出して笑ってしまった。森に暮らすトロルたちはみんなかなり頭悪い笑。人間のほうが知恵があるって信じたいし、子どもたちに伝えたいのかもしれない。でも、『仕事を取りかえたおやじさんとおかみさん』のおやじさんはトロル以上にオトボケだった笑。家事を侮ったらダメですよってのは万国共通ですな。巨人が持ってる「ひとあし30キロの靴」ってスゴイよねー。でも、進み過ぎて追い越しちゃって捕まえ損ねるってアホか笑。あと、バターの登場頻度が高い。
読了日:03月11日 著者:
The Night Life of Trees
紙なのか、インクなのか、その組み合わせなのかわからないけれど、独特の香りもうれしい厳かな雰囲気の読書。インドのGond族が大切にする言い伝えを美しいイラストとともに楽しみます。日中、木々は生き物たちに影や食べ物を与えるのに忙しくしているけれど、夜になるとその魂を開放して本来の姿になるんだそうです。その本来の姿というのがあんなだったり、こんなだったり。夜の森にこっそりお邪魔してみたくなりました。
読了日:03月11日 著者:Bhajju Shyam, Durga Bai, Ramsingh Urveti
ニルスのふしぎな旅〈3〉[全訳版] (偕成社文庫)
3巻の終わりでやっとスンズヴァルかー、なかなか北へ行かないな笑。キツネの<ずる>からやっと逃げおおせて、ワシのゴルゴと旅をするニルス。ゴルゴを育てたアッカ、その恩返しをしようとするゴルゴ、ゴルゴに食べるものを恵んでくれるおかみさん、いろいろな共存の形を考えさせてくれます。人間も含めて、だまし合いや裏切りだってある。それがあまりうれしい結果を生まないこともちょいちょい絡めてくれてます。そういうさまざまな出会いからたくさんの教訓を得て成長するニルスとのお別れが近づいています。
読了日:03月12日 著者:ラーゲルレーヴ
自分の小さな「箱」から脱出する方法
認知科学で言うところの認知的不協和とその回避行動とそれをメタ認知することの大切さについて、そんな小難しい話を物語仕立てでわかりやすく教えようと頑張ってくれた本……という感じ。決してわかりやすくはない笑。この物語をしっかりと理解するのは実にむずかしいと思う。会社の業績が伸びないのも、家族関係がうまくいかないのも、もとをたどれば箱の中から外を見ているのが原因ですよ、と。たぶんすごく良い本なのだけど、読むだけでは箱の外に出て、出続けているのは無理だな、たぶん。認知的不協和は手強いのだ実に。
読了日:03月17日 著者:アービンジャー インスティチュート,金森 重樹,冨永 星
土屋耕一のガラクタ箱 (ちくま文庫)
“安全無事。この四文字は、ビジネスマンにとって、しばしば麻薬のように魅力的です”からの、“~ブレーンストーミングという、またの名を「脱線ごっこ」ともいう不思議な儀式”のあたりが面白かったな……、50年前に書かれた社長さんへの手紙①より。コピーライターに、なんかよくわからないけどなっちゃって、そんな展開なのに良い仕事をしまくっちゃって、後世に名を残した広告マンによるいろんな話。ビキニデハダカ型なんか、今もあちこちの会社で自然発生していて地団駄踏んでる若い人とかいるんだろうなー笑。
読了日:03月19日 著者:土屋 耕一
Sweden – inside out
Lundの図書館で借りてみた本。イギリスからスウェーデンへ移り住んだ著者が、夏に向けて気分を盛り上げていくコツや長い冬を乗り越えるヒントなどを授けてくれました。法律の話にも触れてくれているので生活の足しになります。スウェーデン人なら絶対に知っている著名人の話や観光地の話なんかも話のネタに良いですね。せっかくキレイな写真が添えられているのに、前に借りた誰かがページ番号書き足してて台なし。ま、図書館本だから仕方ないかー。
読了日:03月20日 著者:Anita Shenoi
DESIGN MY 100 YEARS 100のチャートで見る人生100年時代、「幸せな老後」を自分でデザインするためのデータブック
介護関係の調査に備えた予習その2。ヨーロッパに比べて遅れているというのはよく聞く話だけれど、ヨーロッパ関係のデータが少し古かったのが気になった。現状と比べた場合にその遅れがさらに開いているのかどうか…。それでも、桜新町アーバンクリニックや世田谷中町プロジェクトの取り組みなど、日本もたしかに動き出していることを知られて良かった。まだまだ現役という今のうちからの備えが絶対に必要で大切だということははっきりしたので、とりあえず週に二回のジョギング継続を目標にする。
読了日:03月21日 著者:大石 佳能子
ニルスのふしぎな旅〈4〉[全訳版] (偕成社文庫)
「ぼくがことし、あんたがたのところで教わったことは、お金や品物よりももっとねうちのあることと思うよ」とはニルスの言葉。まさかねー、そんなことを言えるまでに成長したとはスゴイよ、ニルス。人間に戻ることを諦めてモルテンとの友情を取り、ガンたちとの旅を続ける覚悟を決めたのも偉かったねー。元の姿にもどり、両親のもとへ帰れた喜びと、動物たちとの会話が成り立たなくなったさみしさと、いろんな気持ちが混ざり合うラストでした。さて、わたし達ももう少しスウェーデン国内の旅を楽しまなくちゃ。
読了日:03月22日 著者:ラーゲルレーヴ
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
東京行きのフライトで一気読み。警察に雇われた傭兵がメカ?!的なのを着て、テロと闘うけど、警察内部で嫌われまくっててツライぜ…な話(いや、ちょっと違う笑)。近未来のテロとの闘いはこんなんなっていくのかもな…と思いつつ、メカやテクノロジーまわりの用語がむずかしくて想像するのが大変オバサンには特に。しかしそんな近未来でも、警察官たちは自販機に小銭を投入して缶コーヒーを買うというあたりが残念だなとか思った(そこどうでもよいところ笑)。つづきをとっても読みたいけど、エンドレスになりそうでコワイです。
読了日:03月25日 著者:月村 了衛