2018年8月の読書記録

2018年09月18日(火) 20:12

本&映画の紹介

スウェーデンに来てからも楽しく読書しております。電子書籍のおかげです。持参した紙本も含まれていますが、小説のうちの4冊は電子で読みました。まさかスウェーデンで関ヶ原合戦に夢中になるとは思っていませんでしたが、つい手を出してしまいました『影武者徳川家康〈上〉』に。そして完全に虜になっています。寝る間を惜しんで影武者の応援中。『これからの本屋読本』は、読書を愛する人なら一度は夢見る本屋の自分が現実的かどうか、やるとしたらどうやるか、これからの時代を生き抜く本屋はあり得るか、そんなことを真面目に考えるきっかけをくれる読み応えのある一冊でした。読書体験に関する自主リサーチをそろそろ真剣に考えるかな…。


読んだ本の数:11
読んだページ数:2861
ナイス数:65


フーテンのマハ (集英社文庫 は 44-3)フーテンのマハ (集英社文庫 は 44-3)
苦労した時代も長かったようですが、自身で決めて突き進んできた道にゆるぎない自信を持っていて、だからこそキュレーターとしての仕事も、書く仕事も、そして“ぼよグル”も、いつも全力で楽しんでおられる。やはり人生は自分で決めてなんぼだ。わたしも早く取材旅行とかなんとか称して旅行ばっかりの生活を実現したい。とりあえず次にパリへ行ったときには前回行きそびれたオランジュリー美術館へ朝いちばんに行き、モネの『睡蓮』を堪能する。ちなみに一番わらえたのはマハさんの“やってしまったヘンな買い物目録”でした。腹よじれます。
読了日:08月02日 著者:原田 マハ


加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)
『教誨師』からの流れで本書へ。マスコミとそれに煽られる世間やご近所さんと、最近はそれに加えて匿名でいられることをいいことに好き放題できてしまうインターネット上の完全なら部外者によって、死を選ばざるを得なくなるまで叩かれる加害者家族の実情を、書くことで食べているプロが、丹念な取材の結果まとめてくれている良書です。被害者の家族のほうが比べものにならないくらいに辛いと頭ではわかっていても、加害者の家族をもう少し労わってあげたいと思った。塀の向こうへ逃げられる加害者自身よりも辛い生活を強いられる現実が切ない。
読了日:08月04日 著者:鈴木 伸元


慟哭の家 (講談社文庫)慟哭の家 (講談社文庫)
『教誨師』から『加害者家族』を経ての本書。うちには子どもがいない。だから子育てを頑張っているお母さんお父さんのことは諸手をあげて応援するし、尊敬してる。障碍児を抱えているとなればなおさら。人に言えない苦労があるのは間違いない。支え合える家族や仲間がいるから頑張れるであろうことも想像に難くない。一人死にきれず、同情の余地なしと同じく障碍児を抱える親たちに切り捨てられた彼がもし望むとおりに死刑を宣告されていたら、教誨師は彼とどんな話をするのだろうか? なんて思いながら私的三部作を読了。次は明るい物語を読むぞ。
読了日:08月06日 著者:江上 剛


Xenophobe's Guide to the SwedesXenophobe’s Guide to the Swedes
スウェーデン人は子どもの頃から一度にひとつのことに集中するよう、それが片付いてから次へ進むべしと厳しくしつけられるらしい。だからマルチタスクが苦手だそうな。歴史に名を残す犯罪者が放免になったり、そもそも捕まっていないとかなのに飲酒運転についてはおそろしく厳しいとか。あの美しい国旗は青空と黄金に輝く太陽を表していて、スウェーデン人はそれが大好き(決して愛国心が強いわけではない)とか。ニッチで眉唾っぽい情報も多いですが、総じて勉強になりました。Japaneseも読めば、どのくらい信じて良い情報かわかるかな?
読了日:08月09日 著者:Peter Berlin


これからの本屋読本これからの本屋読本
本と本屋の将来を真剣に考えている本屋側の人が、プロとして知っていること、現段階で見えている可能性とハードル、これらを一冊にギュッとまとめてくれた素晴らしい本でした。しかし、いつか本屋やりたいとかって夢を見ていたけど、これは夢で終わりそうだな…とも思わされた笑。とりあえず、本と本屋を楽しむ側にいる人たちの調査をみっちりやって、この本の内容をビジネス側の要件と捉えて掛け合わせたりしてみたら面白いサービスデザインにつながるのではないかとやはり夢を見てしまったりなんかもした。さて、どうするか。
読了日:08月11日 著者:内沼 晋太郎


午後の恐竜 (新潮文庫)午後の恐竜 (新潮文庫)
何を隠そう星新一さんの著作はお初である。短編集だから入りやすいかな…と思って。昭和50年代に書かれた物語の中に、“立体テレビ”や“ワイド版の放送”という言葉が出てきたりしてSF作家の先見の明に感嘆する。人間から記憶を消し去り本能と反射神経だけにするとエライことになるってことを描いた『戦う人』がいちばん印象的だった。人の記憶は人類が狂気に走るのを抑える重要なブレーキなのだと、なんかものすごく大切なことを教えてもらった気がする。“狂気”は『午後の恐竜』にも出てきますね。なんと奥深い物語たちでしょう。
読了日:08月13日 著者:星 新一


Things SwedishThings Swedish
古くから受け継がれるデザインへのこだわり、Fikaの大切さ、ミッドサマーとザリガニにかける想い、冬の厳しさ、ヴァイキングに遡る歴史、ミートボールがどうしてスウェーデンを代表する料理になったのか、ノーベル賞とダイナマイトの生みの親の私生活などなど、他にもスウェーデンと言えばというモノコトや生活が美しい写真とともに綴られていました。いつか、コケモモのソースを添えたミートボールを作ってみたいとですよー。
読了日:08月14日 著者:Mari Hemming


スウェーデンが見えてくる: 「ヨーロッパの中の日本」スウェーデンが見えてくる: 「ヨーロッパの中の日本」
2013年10月から15年11月までのおよそ2年間、在スウェーデン日本国特命全権大使としてストックホルムの公邸で暮らした方の著書。日瑞の橋渡しをすべく国を代表して異国に暮らす方ですもの、それは当然庶民目線とは違うわけで、この国の政治に選挙、福祉に税金など気楽に暮らす赴任妻ではここまで把握できないわ、と白旗を挙げざるを得ない充実の内容が続きました。ありがたい情報が満載です。前半は。後半は、ハイソな人間関係をご披露(というか自慢)されていて庶民にはあまり関係ない笑。むしろ庶民でいたいと思いましたとさ。
読了日:08月21日 著者:森元 誠二


さがしもの (新潮文庫)さがしもの (新潮文庫)
『さがしもの』のおばあちゃんが素敵だった。見つかってよかった。9人の主人公たちの、9様の本との関わり方。どれも深イイ。万引きを許し続けた…というか、そんなことより自分の読書を大事とする本屋のおばあちゃんも素敵だったな。そんな本屋になりたい…とか一瞬おもうが、現実的ではないか。手放せど手放せど出会ってしまう不思議な縁のある本とかになるとコワイ。わたしと本の物語はなにかあるかな? パッと出てこないということは、ないんだな笑。そういう視点で本棚を眺めてみたくなった。本たちよ、早く来い。
読了日:08月23日 著者:角田 光代


デジタル時代の基礎知識 『リサーチ』 多彩なデータから顧客の「すべて」を知る新しいルール(MarkeZine BOOKS)デジタル時代の基礎知識 『リサーチ』 多彩なデータから顧客の「すべて」を知る新しいルール(MarkeZine BOOKS)
マーケティングリサーチの話。そういう意味ではよくまとまってる。デプスインタビューや行動観察のような定性調査の手法も出てきて、マーケでも定性やりますよってそれとなく書いてあるけれど、リサーチ結果の分析の章には定性データの話が欠片も出てこず、マーケティングリサーチはほぼほぼ定量調査だってことが再確認できました。うまいこと仲良くやっていければ良いんですけどね、マーケの皆さん予算持ってるから笑。
読了日:08月27日 著者:石渡 佑矢


影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)
二郎三郎がスゴイのなんのって。そして秀忠はダメすぎる。そして家康臣下の家康に対する忠義が、知っていはいても感動ものだった。石田三成側も同じく。それにしても史実をしっかり辿りながら、もしもの話でここまで読ませるとは著者もスゴイ。家康が本当は暗殺されて影武者にすり替わっていたという設定が、最初は無謀だろぅっと思うのだが、読んでいくうちにこっちが真実なのではないか?と思ってしまうくらいに説得力のある物語に仕上がっています。と三分の一で言い切ってしまえるくらいに。二郎三郎がんばれー。
読了日:08月29日 著者:隆 慶一郎