ワークショップに潜入

2018年09月14日(金) 18:43

UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, Skåne, イベントの話, スウェーデン, リサーチャーの知恵袋
SNEAKED INTO WORKSHOPS
I was curious to know how and what design agencies in Malmö teach in the context of UX research, and it was great opportunities for me to sneak into workshops they offered during the Festival. The workshop at Zenit Design were surprisingly similar to the one I had organized in the past. The templates of customer journey mapping were both similar, and the questions from the audience sounded super similar too. I'm now comfortable to say that we are doing the similar things. It was also great to know a big company like IKEA is taking the similar process to create, launch, and keep providing a service sustainably.

Malmö(マルメ)を拠点とするデザイン事務所の会社訪問を兼ねて、ワークショップに潜入してみました。どんなワークショップをするのかにも興味あったので一石二鳥。主催者からしたら嫌な参加者でしかないが笑。

一件目は、Zenit Design という会社が主催した「Make empathy your superpower」というタイトルのワークショップで、“Explore methods and tools that you can use to gain a deeper understanding of the people for whom you are designing.”というふれ込み。ユーザーのことを深く理解するために使える手法とツールを体感するためのワークショップです。3人一組のグループを作り、役割分担(インタビュアー/インフォーマント/記録係)したうえでインタビューを行い、その結果をマッピング(Journey mapping/Empathy mapping)するという流れで、インタビューのお題は公共交通機関の利用経験でした。

えっと…、すごく馴染みのあるお題に、ワークショップの設計も…似てるな、わたしの授業に。酷似しておる笑。

終了後に会場から出た質問も、日本で出るものとそっくりでした。たとえば…、

Q. 何人くらいインタビューすれば十分なの?
A. 5人くらいインタビューすれば傾向やパターンが見えてくるはず

Q. インタビューじゃなくてただの質疑応答になってしまうのだけど…
A. インフォーマントがテストをパスするための回答を探すようにならないように“対話”を心がけるべし

Q. B2BのインタビューはB2Cの場合となにか違いはある?
A. 基本は一緒だが、エンドユーザーをインフォーマントとするリサーチを実施できるように根回しが大事。それがうまくいったとしても、その後のリクルーティングが大変だからB2Cよりも時間が余計にかかると思っておいたほうが良い

Q. 出来上がったマップからどうやってプロダクトやサービスのデザインにつなげるの?
A. 次はペルソナを作るのが王道。マップからすぐにデザイン案を決めるわけではない

[1] Zenit Designの様子 [2] カスタマージャーニー描くよ [3] 調査のときの五か条!

現場にいる人たちが同じようなことに悩んでいることがわかったし、マッピングするときのテンプレートも手に入ったし、一石二鳥どころじゃない収穫ありました。

二件目は、Service Design Network Skåneが主催し、Jayway を会場に開催された「Tackle Complexity – Service design as a toolbox for clients and professionals」というワークショップでした。セミナーとしての募集だったから申し込んだのに、やっぱりここでもカスタマージャーニーを描くというワークショップが密かに盛り込まれてた。喋る準備するより、参加者にワークさせるほうが楽だもんね…(とか意地悪な発言だが、たまに主催するほうに立つ人間としては正直な気持ちであります…)。ワーク部分は itch という会社の人が担当していて、そちらのテンプレートもいただきました。まー、だいたい同じ。当たり前だけど。ただし、こちらではジャーニーマップとサービスデザインブループリントをセットで使うことが多いという話だった。

[4] ビールサーバーが気になる… [5] またジャーニーを描く [6] 注意点もだいたい同じ

そして表題の「Tackle Complexity」というのはIKEAが各社の協力のもと実施してきた「The Sustainable Living Project」の成果を共有するのを骨子に企画されたセミナーだった模様。As-IsのB2BとB2Cインタビューを実施した後、サービスの設計をしてからインタビューの第二ラウンドを行い、サービスを改善してからローンチしたと。人間中心設計のお手本どおりにプロジェクトやりましたーって感じ笑。成果として稼働しているサービスは誰でもサインアップできて、目標設定すればそのために何ができるかを考えるワークショップに参加できるようになったり、その支援となるIKEA商品を紹介してもらえたり(紹介だけじゃなく実物もらえる的な話もしていたけどよくわからなかった)、そうやって家の中のものがIKEA商品一色になるのを後押しするプロジェクトってことじゃーないかぃ。わたしはターゲットではないということがわかった笑。それはともかく、IKEAみたいな大きな企業が、サービスを立案するためにみっちりリサーチして、さらに二回目まで行ってからローンチし、その経緯と成果を公に共有する場を持っているという事実を知り得たことがこのワークショップに参加した一番の収穫ですかね。