2018年6月の読書記録
2018年07月14日(土) 16:00
本&映画の紹介5月に続き、6月も四捨五入で20冊を達成です。スウェーデンへ引っ越したら日本語の本を入手しにくくなるやもしれない恐怖で最近は買いまくりの読みまくり(読んじゃダメじゃん笑)。前半で仕事がらみの小難しい本が続いた反動で後半は緩めの読書になりました。スウェーデン予習本も先月ゼロだった分を埋め合わせるべく何冊か。小説の中からのオススメは断トツで『カーテンコール!』でして、いわた書店がおススメする信頼のブランド笑。UXerには『仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方』を読んでもらいたい。そして、読書家さんには『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』かな。いや、ホント、スウェーデンへ行ってからの読書が心配。せめて本屋よ、あってくれ。
読んだ本の数:15
読んだページ数:3761
ナイス数:137
自由人3.0
月初にこんな本を読んで少し病んでる感じがする笑。自由に生きてきたつもりだけど、将来に不安がないわけではないし、十分に備えられているかと問われればNOだし、いろんなしがらみで苦痛を感じることも少なくないし、いや、そこから逃げることが必ずしも“自由”ではないのもわかっているつもりだけど、とりあえず自分にとっての“自由”ってなんだったっけ?と、原点に引っ張り戻してもらいました。思えば、人生のメンターには出会えていないのかもしれない。とりあえず、(また)旅に出よう。
読了日:06月01日 著者:林田 真一,田辺 洋平
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
仕事の予習で読み始めたのに、プロジェクトが終わってからの読了。Fintech1.0と2.0の違い、中央集権化から分散化への転換、資本主義に対する違和感と価値主義の出現など、つまり小難しい話が続々と出てきて、オバサンついていくのに必死。お金まわりの課題を解決したいと思うなら“お金に自らがくっつけている「感情」を切り離して考えなければ”ならないという最後の最後に出てきた一言が妙に染みました。今のあり方が当たり前と目を瞑っていたら置いていかれるのだと思います。そろそろ重い腰を上げるときかと…。にしても面倒笑。
読了日:06月02日 著者:佐藤 航陽
知っておきたい電子マネーと仮想通貨 (マイナビ新書)
こういう内容の“新書”が目立つ棚に並ぶようになっていることが日本でもそろそろキャッシュレスへ向かうための下地が出来つつあるということかと。レジで「カバーおつけしますか?」と聞かれないままにカバー付きで渡されたあたりに客の“世間体”に配慮する店員の日本人っぽさを見る。“日本では伝統的に(中略)カード側に価値を持たせたほうが受け入れられやすい”とか、アメリカのようにクレカが広まらないのは“信用”の捉え方が違うから、も確かに。クレカ払いは依然として“借金”と捉えられるというのも然り。ざっくり勉強になりましたー。
読了日:06月02日 著者:三菱総合研究所
長くつ下のピッピ (岩波少年文庫 (014))
予習⑧ – スウェーデンが誇る童話作家アストリッド・リンドグレーンの代表作。両親を失った悲しみをものともせず、自由な発想ととびきりの行動力でやりたいことをして、生きたいように生きる。子どもだから、ときには嘘もつくし、適当な話もするし、「きちんとしなければならない」大人からすると厄介この上ない存在。自由を夢見る子ども達や一部の大人には憧れの存在。馬と猿との三人暮らしなんて最高じゃない? 馬に乗って学校とか行きたいわー。ピッピの台詞に「老齢年金」出てきたときには吹いたけど笑。
読了日:06月05日 著者:アストリッド・リンドグレーン
小説 君の名は。 (角川文庫)
小説を読んでから映画を見ようと思っていたのに、うっかり先に映画に手を出してしまったことを激しく後悔しつつ読みました。やっぱり映像が頭にない状態で読みたかったなー。きっとそのほうが、時空を超えた二人のやり取りを、一人称で語る二人の気持ちを、二人を取り巻く人や景色を、より堪能できたのではないかと…。後の祭り。
読了日:06月06日 著者:新海 誠
北欧の神話 (ちくま学芸文庫)
予習⑨ – 神々と巨人の物語。ヨーロッパを一括りに語れないというのはいかにものお話ですが、そうか、北欧と呼ばれる地域は大昔、ローマ帝国に飲み込まれまいと闘っていたわけですよね。キリスト教が北の地に入り込むまではぜんぜん違ったわけで、そこに根付いていた神話も当然違う。けれど、キリスト教が入ってきた後に記録されたものが多くて、語り継がれている神話が歪んでいる可能性も大きいと。とは言え、かなり人間くさい神々の生活や争いが実に面白いです。とりあえずロキは困ったやつこの上ないわー笑。
読了日:06月07日 著者:山室 静
ニルスのふしぎな旅〈1〉[全訳版] (偕成社文庫)
予習⑩ – 冒頭のニルスが悪ガキすぎる笑。そしてトムテに小人にされてしまって、ガチョウのモルテンが勇気を出して飛び立った。旅のはじまりです。比較的すぐにリスの赤ん坊を助けるような善行をしたりして改心するのが早すぎるぞ!とか思う。が、またすぐ悪態をついてくれて妙に納得してみたり。一巻はスコーネ地方を西へ東へ行ったり来たりする程度だが、それでも地名がなかなか頭に入ってこないなー。そしてMalmöもLundも出てこない笑。もう少しスウェーデンの地理や各地方の特徴とかを予習してから読んだほうが楽しめるかも。
読了日:06月08日 著者:ラーゲルレーヴ
我々は 人間 なのか? – デザインと人間をめぐる考古学的覚書き
“デザインは、個人や集団が求めるものを与えるのではない。のちに求めていればと思うものを与え、我々はあたかもそれを求めていたかのようなふりをするのだ”とか、“もし、現在の「人間」の定義に疑問を投げかけるデザインだけがデザインであるとしたらどうだろうか?”とか、刺さりまくるデザイン史を論じながらの壮大な哲学の書…だと思う。きっちり書評を書くには再読が必要となる本でした。
読了日:06月10日 著者:ビアトリス・コロミーナ,マーク・ウィグリー
カーテンコール!
いろんな事情。傍目には「なんで?」と思うような言動や態度にも本人なりの事情や気持ちがあるということ、そしてそれに自身が気づいていない場合もあり得るということ、うっかり忘れがちだけど大切なことを思い出させてくれる物語でした。自傷行為を繰り返す玲奈の両親って、あれ? うちの親にクリソツではないか?と思ったら、なんか笑って泣けた。自傷に逃げずそれなりの大人になった“私は素晴らしい”。玲奈も頑張ってくれ(生きる方を)! 理事長の昔語りと式辞で二度泣き必至です。
読了日:06月10日 著者:加納 朋子
絶滅生物図誌
ヘリコプリオンの渦巻く歯がスゴイ。いったいどんな仕組みよ? イブクロコモリガエルは卵を胃袋の中でふ化させるって、その間なにも食べないの? 半身シマウマのクアッガは再生プロジェクト進行中らしい。いつかお会いしてみたい。とまー、こんな感じで奇妙な動物たちが続々と登場して面白かった。ただ、人間の営みが6番目の大絶滅を誘引するかもしれないという現状に警鐘を鳴らしたかったのなら、絶滅生物の料理レシピとか、ファッション雑貨とかは要らないわ。こういう行いを戒めたかったんじゃないの?と、腑に落ちない読後感でございました。
読了日:06月12日 著者:チョーヒカル
教場
警察学校を舞台とする物語。適性のない人材を篩にかけて落としつつ、見込みのある人材を発掘し、確保するための場…らしい。とりあえず、風間教官の篩にかけられて、見事に落ちていく人材があり得ないレベル。嫌いな奴を巻き添えに自殺しようとするとか、先輩に薬を流してましたとか、脅迫状を出したり、その相手に復讐したり、いやいや、こんな輩は警察学校に入校しようとする時点で落っことしてるべきでしょ笑。ホントかどうかはさておき、警察学校という潜入不可能な場所の様子を垣間見させていただいて興味深かったです。
読了日:06月14日 著者:長岡 弘樹
多読術 (ちくまプリマー新書)
“読書は「鳥瞰力と微視力」が交互に試される(中略)著者と読者のあいだに交差する「鳥瞰力と微視力」が描くものこそがおもしろい”のくだりが、ダイレクトに刺さった。私はこれを小説の楽しみ方だと思っていたのだけれど、松岡さんにとってはどんな本でも同じなのだな。なるほど。“読書というのは、読む前に何かが始まっている”というのもUXに通じて興味深い。ただ一冊との出会いや向き合いに終始するのではなく、生活や環境や人生と照らし合わせて“混ぜる”ことが大事と。刺さりまくりですが、引用される本が高尚すぎて私の知らない世界笑。
読了日:06月17日 著者:松岡 正剛
仕事の問題地図 ~「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方
「だって、人間だもの」の連発なり笑。結局、どんな仕事をするにしても対人関係は避けて通れないわけで、ヒトの認知特性を理解すればリサーチの質も上がるけど、仕事もしやすくなるよ、と各所で説いて回っている私の話と通じるところ満載でした。本書で言っている“仕事”を“リサーチプロジェクト”に言い換えれば、“UXリサーチの問題地図”にほぼほぼなるですよ。有識者不在とか、抵抗勢力の壁とか、身につまされるUXerが後を絶たないはず。問題の本質が自分も相手も「人間」であることだと気付くところがスタートですね。
読了日:06月23日 著者:沢渡 あまね
探してるものはそう遠くはないのかもしれない
“韻を踏んだ仮名”とか、腹よじれたわー。確かに、神様へのお願いは、具体的なほうが親切”だ。同意。“会社に向いてない”と言いつつ、しっかり会社員しているし、“生きるのに向いてない”と言いつつ死んでないし、ツライことや腹立つことや悲しいことを笑い話に変えて、これからも書店員がんばってください。いつか会いに行きます…とか思わせるに十二分な楽しい読書でした。最近ちょっと、若い頃に書店員バイトをしておかなかったことを悔やんでいたりするんだよなー。今からでもできるかな?
読了日:06月27日 著者:新井見枝香
雪が降る (講談社文庫)
泣けなかった…。やはり小説というのは、先入観なしに没入していくのが良いな。それにしても、イイ男たちが続々登場する短編集でした。表題作に登場する“息子”が、中でも一番のイイ男。父のことも、母のことも、しっかりと受け止めていてスゴイな~って。結構、爽やかな読後感の物語が多かった印象です。
読了日:06月29日 著者:藤原 伊織