2017年11月の読書記録

2017年12月21日(木) 18:06

本&映画の紹介

授業と調査の仕事の掛け持ちで死にそうになっていた12月ももう残り10日しかなくて焦る…。とりあえず11月の読書記録が消えてしまわないうちにアップして、そんで12月はまだ4冊しか読んでないんだけど、あと10日で6冊読める気がしないんだけど、とにかく11月の分の話。ラインアップを見ると、軽く病んでいる人のように見えるけど、大丈夫です。元気です。この中でのオススメはぶっちぎりで『大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)』ですわ。UXerな人たちには『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』かな。客も見られてます。


読んだ本の数:10
読んだページ数:2523
ナイス数:77



ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)
箱根のお宿でまさにひきこもりながらサラッと読了。「労働の対価として、賃金をきちんと受け取ることがすべての基本」だからボランティアは働くこととは違うって。気質的なひきこもりと病的なひきこもりを一緒にしちゃいけないよ、と。子どもの頃に「嫌だ嫌だと思いながらやってしまう悲しみを身につけた」という著者の話には共感するところ多数。戦前に生まれ、戦争を身近に育ち、戦後の変化に度肝を抜かれてきた人生の先輩が言ってくれる重みが、重いけどスルスルと心に入ってきました。これからも一人の時間を大切にしよー。
読了日:11月01日 著者:吉本 隆明


イリュージョン―悩める救世主の不思議な体験 (集英社文庫)イリュージョン―悩める救世主の不思議な体験 (集英社文庫)
どうして最初からできないと決めつけるの? 人間、やろうと思えば水面にも立てるし、壁だって通り抜けられる。救世主のハンドブックと非常勤の(笑)救世主ドナルド・シモダに導かれてリチャードが救世主になるべく、いや、なんとなく、頑張っちゃう物語。ハンドブックの内容が実に深イイのだけど、特に響いたのは「いちばんうまく教えられるのは、自分がいちばん知りたいと思っていることである」とな。イリュージョンはイノベーションに通ず。なんとなく。
読了日:11月02日 著者:リチャード バック


バン・マリーへの手紙 (中公文庫)バン・マリーへの手紙 (中公文庫)
とある書評に“小説”と記されていたおかげで、“小説”のつもりで読み始めてしまい導入に手こずる。程なくして“エッセイ”の類だと気づき、著者の生活や目線や想いをいろいろと想像しながら、この物書きさんは日常を丁寧に過ごし、奇妙な視点で変なところにこだわったりとかしながら、毎日を愉快に暮らしているんだな…と、羨ましいような真似できないような、そんな感じ。読者にもボンヤリといろいろなことを考えさせてくれる終わってみれば素敵な物語の数々でした。自分では選ばない本との出会いも楽しいですね。
読了日:11月03日 著者:堀江 敏幸


長女たち長女たち
うちの母も、わたしのことを“お姉ちゃん”って呼ぶんだよね…。呼ばれるたびに、弟あっての自分なんだなって思ってしまったりするけど、母におそらく悪気はないのであろう。と思う。自分の親も、旦那の親も、元気でいてくれるのは幸せなことですね。とりあえず、兄弟姉妹仲良くしていくことが肝心だ。なんでも長女に期待して、おっかぶせるのはダメだよ、うん。ちなみに中編三部作でしたが、真ん中の異色な『ミッション』が一番重苦しかったかな。逃げても仕方ないって思わされて…。逃げた先から逃げるのって大変だからねー。
読了日:11月06日 著者:篠田 節子


東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる (講談社+α新書)東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる (講談社+α新書)
正直すごく難しいのだけど、すごく勉強になります。まず根本的なところで空中爆発と地表爆発の違い。そもそも狙いが違えば、どこに、何を、何発飛ばすべきかが違ってくるのは当たり前だけど、そのあたり素人にもわかりやすくまとめてくださっています。北朝鮮が飛ばしているミサイルは、飛距離だけがクローズアップされるけれど、“核弾頭”の重さをはっきりさせない限り、何も証明したことにはならない、とバッサリ。北朝鮮にしても、中国にしても、彼らが終わりを覚悟したとき、日本は必ず道連れにされる…わけだ。備えなければならなーい。
読了日:11月08日 著者:兵頭 二十八


弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)
社会的排除に相対する概念、社会的包摂。言葉は違うけれど、いち早くそういう取り組みを始めた欧州の国々をモデルとして、日本でも国が舵取りをしながらいろいろと挑戦しているらしい。国が舵取りという段階で、進捗を期待していいのか悪いのかよくわからんくなるけども…笑。社会から物理的に追い出され、精神的に追い詰められた人たちを包み込み、戻ってこられるようにしてあげられる社会を作ろうという、煎じ詰めるとそういう理想を追求するってことですね。社会全体のユニバーサルデザイン。遅々として進まない予感しかしない…。
読了日:11月10日 著者:阿部 彩


神待ち少女 (双葉文庫)神待ち少女 (双葉文庫)
10代の頃の自分、平和だったなー、ホント。勉強ばっかしていたという感じではあるけど、それが普通で正しいことだと信じて疑いもしなかったし、それはつまり幼かったということでもあり、同時に親が確かに守ってくれていたということでもある。泊まるところを見返りを求めずに提供してくれる男が“神”って、神を信じる人たちからしたら、“神”という言葉を使ってくれるな…と思うレベル。そんな“神”は存在しないだろうしね。神待ちは“バーチャルな近親相姦ゲーム”と言い切った著者の見解は、たぶん正しい。
読了日:11月12日 著者:黒羽 幸宏


大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)
【自分で一万円選書⑪】いわた書店で買ってきた11/12冊目。刀自婆ちゃんスゴカッタ。税金の計算とか(そこかぃ笑)でも実は、くーちゃんもスゴイ。さらに言うと、犯人たちも分をわきまえた素直な良い子たちであった。誘拐犯だけど笑。とは言え、犯罪があれば警察は動かざるを得ないわけで、それがこの規模の犯罪となれば使われる税金の額も途方もないわけで、地道に働いている庶民からすると許せないわ…とか考えずに、ただただ楽しく読むのがオススメです。
読了日:11月15日 著者:天藤 真


ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由
オープン前から気になっていて、オープン後も何度か足を運ばせていただいています。どんな偏食も等しく扱いたいから食材の区分はなし、デフォルトで満足してもらえればカスタマイズの必要はなし、善い悪いを超えた本質を追求することこそが目標、とな。著者(&店長)の中にあるぶっとい芯と、そしてそれが揺らぎそうになることもあるという弱さ、そうなったときに逃げずに向き合う覚悟と想いなんかを見せてくれる一冊でした。お客さんも“見られている”ことに気づかせてくれる一冊でもある。インタビューに通じるなぁ。推薦図書に追加しようか…。
読了日:11月20日 著者:小林 せかい


「はたらく」の未来予想図-働く場所や働き方の過去・現在・未来「はたらく」の未来予想図-働く場所や働き方の過去・現在・未来
働き方改革…なる流行りに乗った本ではあるのですが、某授業のお題に直結するので“事前調査”の一環として読了。わたしは、会社員であることから逃げてフリーランスになった人なので、組織の中の“働き方”がどう移り変わってきたのか知りません。端から見てるとたいした変わってないように思うしね。未来の働き方にもそれほど興味ないし笑(なぜなら自分にそれほど未来はないからさ泣笑)、実際には未来予想図まではあまり語ってくれていないので、そこはみんなで考えていこう~ってことで、授業へのモチベーションも(少しだけ)上がりました。
読了日:11月24日 著者:鯨井 康志