内と外の境目

2017年11月04日(土) 16:32

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OBVIOUS BOUNDARY LINE?!
The room was a western style with beds, and there was an obvious boundary line for Japanese between the room and the entrance, which was telling that we should take our shoes off to enter the room. The bathroom including toilet was located on the side of entrance. A pair of slippers was prepared to use in the room, not in the bathroom, though. This could be pretty hard for guests from foreign countries without a culture of taking shoes off at home, to understand the necessity of precise partition between inside and outside. I guess many, including Japanese guests, keep wearing the slippers when they go to the toilet, and me too. And, I had to give up relaxing with my bare feet in the room instead.

箱根でお世話になりました NEST INN HAKONE ですが、他と違うトンガッたことをしたい社長の意気込みで、ガンガンいろいろ挑戦予定らしいです。確かに、所謂箱根の温泉旅館ではない空間でした。平日だったこともあり、宿泊客の半分以上は外国人。わたし、ぼちぼちグローバルな感じで仕事してますし(笑)、外国人ばっかりでも全然構わないんですけど、一つだけ気になることがないわけではない、実は。今日はその話。

お宿では、特に温泉を設えているお宿のお部屋では、靴を脱ぎ、靴下を脱いで、素足で過ごすのが自然というか、当然というか、そうじゃないと温泉の醍醐味が半減どころか、ほぼゼロだろ…とか思う。“温泉旅館”であれば、畳のお部屋であって欲しいとも思う。これは、自分がすでに結構オバサンであることの証かもしれない…。とは言え、NEST INN HAKONE はそういう従来の当たり前からは積極的に逸脱していこうというところ。お部屋はカーペット敷きにベッドがドカンと並んだ洋間でした。洋間という表現も、古いなしかし…笑。

[1] 入り口から部屋の方向 [2] 部屋の奥から入り口を見る [3] 上がり口にはスリッパ

部屋に入ると、上がり口にはいきなり洗面所があって、手前の扉の奥にはシャワーブースとトイレがありました。洗面所と部屋の仕切り戸はなし。その代わり、水回り側の床は玄関と一体になったタイル張り?と言うのかな、素足ではさぞヒンヤリするでしょうね、という感じです。洗面所から飛び散る水でカーペットが勢いよく経年劣化していくのを防ぐ意味では理想的なデザインかもしれません。境目には段差もなし。バリアフリーですことよ。

しかしこのバリアフリーが、外と内の境目をボンヤリしたものにしていることもまた事実。この境目より奥には靴を脱いで上がるようにと、日本人の目にはごく当たり前に映る仕切りのデザインが、靴を脱いで家に上がるという文化と感覚を持たない外国人の目にどう映るのだろう? 上がり口にはスリッパが用意されていて、ご丁寧に(写真には写っていませんが)部屋の中で使うためのものだというお触れまで添えてありました。さすがにこれ履いて部屋の外までは行かないだろ?と思いましたが、このお触れ、よくよく考えてみると、トイレへ行くときには外履きに履き替えてくださいね、というメッセージだったのかもしれません。スリッパのままトイレへ行って、カーペットの上へ戻ってくれば、それは土足で上がり込んだということになってしまうわけでして、そこの仕切りの意味がなくなるわけで、郷に入りては郷に従いたまえ、ここで中履きと外履きを履き替えるのです!とな。

しかしそれは面倒である。そしてそれは、日本人にも面倒であった………。スリッパでトイレに行ってました。ごめんなさい。

このボンヤリとした境目を無視して、靴のまんまカーペットの上をドカドカ歩いているお客さんいるだろうな…と、思ってしまったが最後、カーペットの上を裸足で歩くのが嫌になり、必ず靴下を履いている自分がいたのだった。ま、足を冷やさずに済んでよかったけども。欲しかった開放感が若干薄くなったことも間違いない。

それにしても、スリッパが白黒二色用意されていたことには良い意味で驚きました。そんな話へつづく。