名古屋セミナーの振り返り

2017年07月12日(水) 16:53

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INTERVIEW SEMINAR IN NAGOYA
Thanks to the operation team's efforts, we had about 30 novice to intermediate learners in Nagoya this year. It was great to have some students and a lot of females, as I believe females are good at creating a good raport within short period of time, probably because they have learned how to make a phony smiles and to pretend to play at the conversation with the person in front since they were little girls. Well, I'm not saying males are all inept in being an interviewer, though. They can learn from females how to be a better communicator. The biggest take-away from this seminar was the difficulty of making a list of questions for novices. And, novices tend to start considering the questions directly related to the research theme. More ideal approach is to start from the questions to learn about the picture of the informant's character and daily lives. I learned a lot, and thank to this teaching opportunity.

今年、第一回目のインタビューセミナーをHCD-Net主催で、名古屋にて実施させていただきました。30人も集まるかな…と当初すこし不安でしたが、運営の皆さん頑張ってくださったおかげでしっかり集まったうえに、欠席ゼロという快挙。天気の悪い日だったから、みんな遊びに行く気になれなかったんだな、きっと。理由はなんであれ、全員来ていただいて嬉しかったです。

数名学生さんが混ざっていたのも実に良い。例の如くグラレコに来てくれたのかと思ったら、普通に受講生でした。全員女子だし。インタビューのセミナー、女子比率が上がるととてもやりやすくなるんですよ、実は。おじさんばっかりだと、インタビューの演習が全然盛り上がらないのだ。おじさん達…というか男子、自分をさらけ出すの苦手だからね(一般的に…という話です)。放っておくと認知的不協和から逃げまくりって感じになる(笑)。そうなると講師もキツイのだよ。女子は年齢に関係なく、やはりコミュニケーション能力が高く、演技力もある人が多い。そう、男子のさして面白くない話にも愛想よく頷いたり、興味がある体で聞いてあげる術を、おそらく幼少の頃から培ってきているのだ(個人的な意見です笑)。セミナーでは冒頭でラポールの大切さを語るので、それを聞いた女子は「私の愛想笑いはまんざら間違ってないぞ!」と自信を強められるため、あっさりとラポール作れちゃう。一方の男子は、女子が素敵リアクション連発で話を聞いてくれることに気分をよくして口がいつもよりも滑らかに動くようになる。おまけに目の前の女子がラポール形成のお手本を示してくれる。男子は、そう、この目の前のお手本をいかに素直に吸収できるか、が鍵です。男子同士のペアになってしまった人は残念でした(笑)。

ということで、女子率が高かったおかげで、名古屋のセミナーは大変やりやすかったというのが講師の本音です。とは言え、そこは事前にどうこうできる話ではないし、男子の参加者ご遠慮くださいという意味では決してないので誤解のないように。受講生が全員男子でも楽しいセミナーにできるようにしないとな。これは私の前に立ちはだかる大きな課題です。

ちなみに今回一番の反省点は、“入門編”というご要望に対してかなり難易度を下げたつもりだったのに、「え~、難しい!」とか、「ダメだ、全然わからない…」とかいう声が会場から何度か挙がったこと。そうか…、そうなのか…、問いを書き出すことって入門者にはそこまで難しいのか…。現状の利用状況を確認したいんだから、今回のお題で言えば「何をしたいときに」「何を使って」「何を調べるのか」「そのときにどんな困り事に直面して」「どうやって困った状況を回避するのか」を徐々に聞いていけば良いだけだとインタビューガイドを作るのに慣れきった私なんかは思うのだけれど、そこまで分解して、道を作ってあげる必要があるということが今回はっきりしました。

あと、いきなり本題の質問を考え始める人が多いというのも私にとっては大切な気づきでした。どんな調査でも、まずはインフォーマントの生活実態を想像するのがスタートになる。日頃の通勤や通学はどうしているのかな? 慣れないところへ行くときはどうかな? どのくらい事前に準備をする人かな? 困ったとき人に聞くタイプかな、それとも自分でなんとかしようとするタイプかな? そんな風に人となりを探りながら、徐々に本題へ切り込んでいく…という私にとっては当たり前の流れが、入門者には当たり前じゃない。人は、知らなかったときのこと、初心者だった頃のことを忘れてしまう生き物なのだ…というのは言い訳です。そういう認知特性を自分が持っていることを思い出させていただく、貴重な機会でした。必ずや次に活かします。