2016年10月の読書記録

2016年11月11日(金) 17:37

本&映画の紹介

ずいぶんと意味不明のラインナップですが、わたしと似たようなお仕事されている方々には『機会発見――生活者起点で市場をつくる』がスーパーオススメです。定性調査=UX調査 って勘違いしているマーケ界隈の方々には特に読んでいただきたい一冊です。読み物としましては『誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち』が良いでしょう。今年は、Spotifyの日本上陸がありましたね。私たちエンドユーザーが気楽に音楽を楽しめるようになるまでには数々のドラマと闘いがあったのです、というドキュメンタリーです。映画化が決まっているとかいないとか。

 

読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2671ページ
ナイス数:46ナイス


本物の英語力 (講談社現代新書)
本物の英語力 (講談社現代新書)
“人間としてまっとうに育つこと、…話す内容を持っている人間になることとどちらが重要か…”なんてことを第一人者が言ってくれると助かりますね。“コンテクストの中で生き生きと使われている言葉を学ぶこと”を可能たらしめるのは“読むこと”に他ならないとか、もうコレ英語に限らない。最近、日本語すらも雑な社会人が大勢いるから、鳥飼先生の仰るとおり“毎日が学び”と戒めて、言葉と接してもらいたい。なんか、ババクサイこと書いてしまったが、かなりの本音です。
読了日:10月1日 著者:鳥飼玖美子


はつみみ植物園
はつみみ植物園
銀座で開催していたアレコレを見に行った勢いで購入。熱帯で育つ樹木には年輪がないとか、野菜が不味くて果物が美味しい理由とか、森と林はもともとは盛りと生やしだとか、サクラが愛される歴史とか、いや実に勉強になりました。写真やイラストが美しいのも素敵です。文字数すくなくてスラスラ読めますしね。前作のほうが評判よいみたいなので、そっちも機会を見つけて手に取ろう。植物に癒されたいヒト向け。
読了日:10月3日 著者:西畠清順


オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ (角川文庫)
オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ (角川文庫)
なにげに重たい読書となってしまった…。認知科学の勉強をしてから、こうした類の現象は何かしらの説明がつく、というか、人間の脳が経験や文脈や願望を踏まえて見たいものを見るだけなんだよな…と合理的に物事を解釈しようとするようになったので、基本的にはすべて信じない。でもこの本を手にとっているということは信じたい自分もいるってことなのか?とか思わなくもない笑。著者のスタンスもたぶん同じ。そして超マジメに取材を積み重ねていて頭が下がります。取材を超えて、研究に近い生真面目さを感じる。そういう意味でも良書。
読了日:10月7日 著者:森達也


あなたが愛した記憶 (集英社文庫)
あなたが愛した記憶 (集英社文庫)
森達也さんの『オカルト』から絶妙なパスであった…笑。狙ったわけではないのだが。親指切断されたら逃げる気うせるかな?そこに強姦が続いたら、もうどうでもよくなったりするかな?とか、比較的どうでもいいところに前半で疑問を持ってしまったが、表情なく大人と対峙できる赤ん坊とか想像したらやっぱりコワイわね~。秋の夜長にブルッと震える物語でした。
読了日:10月9日 著者:誉田哲也


伝説のホテルマンが教える 大人のためのホテルの使い方 (SB新書)
伝説のホテルマンが教える 大人のためのホテルの使い方 (SB新書)
読者の想定が誰なのかがよく分からない本だったな…。裏技ってほどの話も少ない、と感じたのはある程度のレベルのホテルにぼちぼち泊まったりしているからなのかな?そんな高級ホテルに泊まり歩いているつもりはないのだけども。定宿を持ちたいと思ったことはないので、どんな素敵なホテルもサービスもホテルマンも、出会えれば嬉しいし、都度いろいろと勉強させていただけて有り難い存在です。という感じだから、想定読者に入っていないということか? まーつまり、新たな学びはそれほどありませんでした。ゴメンナサイ。
読了日:10月12日 著者:窪山哲雄


誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち
誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち
ちょうど音楽業界にちょろっと関係する調査をしていたこともあり、参考書として深く考えずに手を出してみたら、ものすごく面白くてドはまり。純粋にテクノロジーの発展を追求した技術者、レコード会社の頂点に立ち続けたエライ人、闇の世界で暗躍する工場労働者、なんの繋がりもなかった人たちが意図せず繋がっていく。まるで見えない大きな力が働いていたと、音楽がタダになることはもはや必然だったのだと、そう思わせてくれるくらいのドラマ。それを伝える筆致も素晴らしい。読み物として、普通にオススメ。
読了日:10月14日 著者:スティーヴン・ウィット


機会発見――生活者起点で市場をつくる
機会発見――生活者起点で市場をつくる
「良い参考書はないですか?」と聞かれて、とりあえず自著をオススメするのは当然として(笑)、ただ私の本はインタビュー一本槍なので、ニーズに合わない面もあり、そうなったときに胸を張ってオススメできる本がなかなか現れないなぁ…というのが正直なところだったのですが、流行りのUXという言葉を封印し、ユーザーではなく“生活者”という言葉を採用し、とてもシンプルで美しい装丁で現れたこの本は、リサーチをきちんと行ったうえで素敵なモノコトを世に送り出したいと考えている人たちにとっては必読です。参考書が美しいって幸せ。
読了日:10月18日 著者:岩嵜博論


ふしぎの国のアリス (新装版) (講談社青い鳥文庫)
ふしぎの国のアリス (新装版) (講談社青い鳥文庫)
小学校高学年くらいをターゲットにすると、そうか、こういう文体になるのか…ふむふむ。でもなー、アリスの言葉づかいが必要以上にお上品で(言っていること自体はどす黒いことが多いけど笑)、最近の子ども達はこれをどんな気分で読むのかなぁ~? 英語のジョークや嫌味を日本語にして、その面白さを伝えるのって難しいですよね。本書では訳注でかなり補足されてましたが、注を読んで笑えるかっていうと、それも無理。うーん、悩ましい(何がだ?笑)。
読了日:10月18日 著者:ルイス=キャロル


泥酔懺悔 (ちくま文庫)
泥酔懺悔 (ちくま文庫)
タイトル買い(笑)。しかし前半、懺悔するほどではなかろぅという話が続いて少し残念な気分だったが、三浦しをんさんあたりから急加速。角田光代さんに倣い、「好きというより、必要」とお酒の必然性を前面に出すか、藤野可織さんのように「お酒はすきでもきらいでもない。ただ、飲める」とシレっと言ってのけるか、どっちがいいかな? とか変な悩み。わたしも酔って周囲に迷惑をかけたこと一度や二度ではありませんが、懺悔するほどの人たちと比べればカワイイものだ…、という主張にできれば旦那には同意してもらいたい(希望)。
読了日:10月22日 著者:朝倉かすみ,中島たい子,瀧波ユカリ,平松洋子,室井滋,中野翠,西加奈子,山崎ナオコーラ,三浦しをん,大道珠貴,角田光代,藤野可織


普及版 考える練習をしよう
普及版 考える練習をしよう
とても良い本でした。“ぶらぶら歩くこともだいじだ”とか、“ものの見かたは1つきりじゃない”とか、“どんな考えも書きだしてみること”とか、“べつの人になったつもりで考えてみよう”とか、まさに考える練習になる。考える頭と心をつくるための練習問題がほどよい量とペースで紹介されているので、凝り固まった頭と心に悩む大人こそが読むべき一冊。お子さんと一緒に読んだら、きっと大人のほうが答えにたどり着けない問題ばかりです。親子で挑戦、たのしそう。
読了日:10月25日 著者:マリリンバーンズ


ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング
ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング
子ども達がプログラミングを学ぶ時代がやってくるのですね。勉強しなくちゃならないことが山盛りでたいへんだけれど、何ごとも、問題を的確に捉えて、適切な解決方法を探ることがその根本にあるのだよね。好奇心旺盛なルビィにパパから冒険への招待状が届きます。知恵を絞ったり、仲間に助けてもらったり、状況をよくよく観察して問題に取り組みます。失敗しても焦らず状態を見直して、改善を図ります。練習問題をくり返すことで少しずつプログラミング思考を学んでいける仕組み。よくできています。
読了日:10月27日 著者:リンダ・リウカス