2016年8月の読書記録
2016年09月01日(木) 17:00
本&映画の紹介北海道と岩手県に甚大な被害を及ぼした台風10号。今月はじめに読んだ『日本水没』にはまるでこの被害を予知するかのようなことが山盛り書かれていた。一昔前の基準に見合っているから安心…と思っていたら“想定外”の事態に対応できない。その“想定”が古い、現状に即していないことをそれこそ想定して前もって動かないと大変なことになる…と読んで感心してるだけじゃダメだー。皆さんも是非、台風10号の記憶が新しいうちにお読みください。
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2541ページ
ナイス数:25ナイス
となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代
以前オランダに住んでいたときにも思ったけれど、ヨーロッパを一括りに考えてはならないし、一枚岩と思ってもいけない。そこに中東諸国やアジアからの移民が入り込んで、とうぜん彼らには多くの苦労があって、それは現在進行形。そもそもイスラム多勢の国々が揉めることになった経緯は完全に欧米列強の横暴な振る舞いが根底にあるわけで、本書を読むとその辺の事情や歴史が判然とすると同時に、ここまで揉めたらどうにも歩み寄れないのではないかという不安も増すという…。それにしてもイスラム教でお酒が禁止されるようになった経緯にフイタ。
読了日:8月2日 著者:内藤正典
ふる (河出文庫)
とても難しい物語だった。確かになにかに引き込まれている自分がいるのだけど、それが何なのか、読後もぼんやりしたままではっきりしない。もう一度ページをたぐって確認したいようなモヤモヤがあるのに、なんだかどっぷり疲れてしまっていて手を出せない。評判の西加奈子さん初挑戦でしたが、いきなり撃沈された気分です。二冊目いけるかどうか、微妙。
読了日:8月3日 著者:西加奈子
Weird Things Customers Say in Bookshops
英語簡単ですし、街の本屋さんが日々遭遇する“変な客”を紹介する小話の連続なので取っ付きやすいことは間違いなし。ただし、文化や文脈が分からないと笑えない話も多いので、「期待したより笑えなかった」みたいな感想が多くなりそう。でも、読書好き、本屋好きには膝を打つような話が多いことでしょう。挿絵がカワイカッタ。
読了日:8月5日 著者:Jen Campbell
日本水没 (朝日新書)
帯にある「豪雨は大地震より恐ろしい!」というのがまさに本当なのかもしれない。最近のゲリラ豪雨やら台風やら堤防決壊やらを目の当たりにしているので読めばめちゃくちゃ煽られる。ビビる、ホント。津波と高潮の違い、説明できます? 東京湾は津波こないとか言って油断してると危ない。川のせせらぎが聞こえるところに住むのが夢だったけど、コレ読んだら、ソレないわ。とりあえず、江東デルタが水没して孤立して逃げ場を失ったときのための備蓄しないと。大災害が複数重なったり、立て続けに起こったり、そんな可能性も視野に入れとこう。
読了日:8月8日 著者:河田惠昭
ウイルスは生きている (講談社現代新書)
ぼくらはみんな生きている。の、“ぼくら”にウイルスも入れて考えよーや!と言う本。細胞性生物とは違うということで生命体の仲間として考えられてこなかったウイルスが、いかに“生命の鼓動”を奏でる存在であるかを、それをずーっと書いている。よって小難しい(笑)。なぜこれがノルウェーを旅しながら読む本として選ばれたのかは今年一番の謎かもしれない。
読了日:8月11日 著者:中屋敷均
解夏(げげ)
さださんの歌を聞きたくなりました。ありきたりな感想ですみません。どれもこれもイイ話すぎて、読んでいる途中で、いい人過ぎるな…とか嫌なツッコミを入れてしまっている真っ黒な自分に少し嫌気が差す。その割に、読み終わる頃には必ずうっすら涙が浮かんでいたりして、わたしはもしや病んでいるのでは?とか思った(笑)。普通にいつもの生活を送れていることに感謝しながら適度にガンバッテいこう。と読後前向きになれる短編集です。
読了日:8月14日 著者:さだまさし
日本人のしぐさ 70 Japanese Gestures – No Language Communication (日英対訳)
ひとつ二つ、ちょっと違う…と思うものがありましたが、総じてタメになる一冊です。表紙のイメージから、中は挿絵だろうと思っていたら、いかにもジャパニーズサラリーマンなオジサンがジェスチャーしてくれている写真が添えられていて、それが妙に良い。オジサンが“がちょーーん”とか“おしりペンペン”とかやってるの(笑)。いやしかし、そんなジェスチャーはビジネスシーンには登場しないよな。飲み会の想定か?どんな飲み会だよ…。
読了日:8月17日 著者:ハミル・アキ
本日は、お日柄もよく (徳間文庫)
政治の話がリアルとあまりにも容易に結びついてしまうので、その政権交代いらないわぁーとか思ってしまったのだが、ポイントはそこじゃない(笑)。“言葉”の大切さを教えてくれる物語です。そして恐ろしさも同時に。使い方を間違えれば聴衆はそっぽを向く。悪人だろうがなんだろうが言葉を紡ぐ力を持てば(またはそれを支える参謀を持てば)人を欺くことだって簡単にできる。人前で話をするときは、シャキッと背筋を伸ばして、大切に言葉を選んでいかねばです。
読了日:8月21日 著者:原田マハ
これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)
やはり会社員というのはツライ仕事である。ましてや経理部なんて無理だわ。ってか、一時期それが仕事の一部だったことがあったなー(遠い目)。領収書の裏に潜む事情や言い訳には目を向けず(悪く言うなら目を背け、かな)、淡々と経理の仕事をする森若さんは実はとても“イイ人”なので、それに目ざとく気づく人には必要以上に好かれたり、ときには利用されたりしてしまうのだった。いるわ、こういう人。わたしには務まらなかった会社員生活を想像しながら読んで、フリーになって良かったと心から思った。女子コワイ。
読了日:8月25日 著者:青木祐子
だから、そのデザインはダメなんだ。 WebサイトのUI設計・情報デザイン 良い・悪いが比べてわかる
ダメデザインをどう指摘するのか、名指しで来るのか、その辺りが気になっていたのですが、ダメデザインをコレ用にすべて描き起こしていてビツクリ。というところに、やる気みなぎる一冊でした。同じことをくどくどと書いている風なところと(チェックとポイントを三つずつに揃えるのに必死すぎる…)、ページデザインがあまり素敵ではないところ(笑)がちょっとアレでしたが、総論として、入門的には悪くない内容かと思います。あくまでも入門的にはってことでひとつ。
読了日:8月30日 著者:香西睦