自治体がとるべき戦略は…

2015年12月15日(火) 16:30

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, モノ+コトの話

STRATEGY OF LOCAL GOVERNMENTS: What local governments want to achieve is to create a way to be connected with as many as donators, as long as possible. Once donators are satisfied with the interaction with the local and the products/services to receive in return, they might keep donating to the same local year after year. One local government in Miyazaki prefecture has done well by providing various marketing gimmicks. The strategy may sound a bit tricky and cheap, but it could be evaluated well as ideal measures and policies for the local administration.

あくまでも我が家のふるさと納税体験のみに基づくお話ですが、納税手続きとお礼品申込みのフローは大きく次の二つに分かれていました。

 

[1] 申込みの途中でお礼を選ぶ [2] 小林市専用ポータルサイト [3] パンフレットが届くケースも

納税の手続きをする途中でお礼の品を選び(写真[1])、あとは届くのを待つばかり…というフロー。たとえば北海道根室市や神奈川県鎌倉市です。

もう一つは、納税手続き完了後に送られてくるパンフレット/メールを待ってからお礼の品を選び、改めて申し込むフローで、長崎県吉野ヶ里町や宮崎県小林市がこれにあたります。

前者は手続きが一度で済むので楽チンです。こっちのほうが納税者としては有り難い。でも後者には税収アップを狙う自治体の狙いが隠れている…んだと思います。

宮崎県小林市は専用のポータルサイト(写真[2])を作っていて、納税手続き完了後、メールが届き、そこからポータルサイトへアクセスしてお礼の品を選び、申し込む流れになっていました。できる限り専用サイトを利用してもらえるようにと、クレカ決済を受け付けたり、寄付申請時点でポータルサイトを利用してくれた人には特典として200ポイントを進呈したり、巧妙な仕掛けが施されています。

仕掛けその1は、ポイント制度。寄付金は“ポイント換算”したうえで3年間有効な仕組みです。積み立てたうえ、まとめてドカンとお礼品を依頼することもできるのです。一瞬、ステキ!とか思う人がいるかもしれないけれど、これは絶対に忘れる人が出てくる。寄付はしたけど、お礼品を依頼するの忘れちゃったという人が必ず出てくる。実際、私は納税手続きを完了してから、このブログを書こうというそのときまで、忘れてました。まー、あっちこっちへの寄付をまとめて手続きしたので、という別の事情もあったかもしれませんが、1ヶ月と経たないうちに忘れていたという…。期限切れ直前にはメールか何かで連絡をくれるのだとは思いますが、そうなってくると3年って随分と先ですね。完全に忘れる自信がある(笑)。忘れ去られることを期待しているとまでは言いませんが、そういう可能性は少なからず視野に入れた作戦だと考えるのは、私の性根が腐っているからでしょうか…。

仕掛けその2は、ポータルサイト利用特典の200ポイント。この端数が実にあざとい(笑)。端数があると惜しいと思う。持っているポイントを1ポイントも余すことなく使いたいと思う。それは庶民の性である。そういう消費者心理を巧みに読んだ絶妙な端数特典です。余った端数を使い切ろうと思ったら、再度寄付をしてポイントを追加することになる。そうして、今年だけではなく来年も、再来年も、継続して小林市へふるさと納税することになる。うーん、実に巧妙。感心します。

ちなみに吉野ヶ里町は、お礼品のパンフレット(写真[3])と申込ハガキを郵送してきてくれました。ウェブからでも申込みできますが、それが無理な高齢者などへの配慮と考えられます。が、うちのようにウェブ申込当然という家庭も多いと思うので、納税手続きの段階でパンフレットを受け取るか受け取らないかを選べるようになっていても良いかもしれません。郵便物が良いリマインドになるというユーザーにとっての利点もありますけどね。

とにもかくにも、納税手続き完了後のフローにはまだ見直しやイノベーションの余地がありそうです。小林市の戦略は穿ってみるとズルイけれど、税収を上げるための施策としては実によく出来ていてお手本になります。

次回はいよいよお礼品が届く話。ドキドキ。