UXまとめのまとめの2

2015年12月22日(火) 18:18

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, イベントの話, リサーチャーの知恵袋

REMOTE RESEARCH BOOM COMING?: Second stage provided by Mr. Shinohara covered the current trends in the field of UX in the US, and he stressed the potentiality of a big boom of “Remote Research” coming to Japan in the next few years. The first remote usability testing I was involved in happened in 2006, the first digital diary study I experienced in 2009, and I recognized quite a few remote research platforms had been created in the US already in 2009. Remote research boom may be coming, and I do hope such a platform would appear from Japan, rather than introducing a localized one.

ソシオメディアさん(以下ソシオ)主催のイベント“UXまとめ 2015”の第2部、篠原さんが“UXとビジネス”と題して、主に米国のUX界隈の今がどうなっているのか、日本に届きそうな波はどんなものか、UXがんばりたい企業がお手本にすべきGEの取り組みがどんなものか、なんかを楽しそうに語ってくださいました。

 

以前から思っていましたが、篠原さんが壇上で話をするときの楽しそうな雰囲気がとても良いです。話したくて仕方がない感じ。聞いているほうも自然と笑顔になる。一方の上野さんは、真顔でシレっとジョークを放り込んできて、笑っていいのかどうか聴衆のほうが一瞬躊躇する感じ。この二人の真逆感が実に心地よい。

と、それはさておき中身の話。これから来そうな波…という話でリモートUXリサーチというのが出てきましたね。WebExやGoToMeetingといったオンラインミーティングシステムを使ったリモートユーザビリティテストを私がはじめて受注し、日本で実施したのは2006年でした。2009年に参加したUXPAでは、モデレーター不在のリモートユーザビリティテストを支援するソフトウェアの台頭に衝撃を受けたことを覚えています。モデレーターが不要になったら自分の仕事がなくなっちゃう…とか思って。その後、リモートユーザビリティテストの波が日本に押し寄せている感じはあまりありませんでしたが、2013年に大規模案件を受注。6サイトの比較調査。がっつり大変な思いをしました(笑)。モデレーター不在のリモートテストで信頼に足る調査結果を得るためには“言葉”の使い方に果てしなく気をつける必要があることを学びました。そう言う意味では、優秀なモデレーターの仕事はなくならない、と自信を持てた。

篠原さんが「これから来る」と仰っているリモートリサーチは、こうしたリモートユーザビリティテストの枠に収まるものではなく、日記調査のような定性調査から生理データを取るような定量調査まで幅広く視野に入れたものだと思います。スマホの普及とアプリの手軽さがもたらしてくれる可能性は大きいですね。ちなみに、今年久しぶりに参加したUXPAの発表の中にもスマホアプリを使って実施した日記調査のケーススタディがありました。『Learning from Users in their Natural Habitat』と題する発表で、gotomedia というSFに拠点のあるUXデザイン会社からの登壇です。スマホアプリを使って日記調査をすることの利点、難しさなどとてもよくまとまっていました。途中で日記調査のプラットフォーム紹介がありまして(写真)、値段が手頃で使い勝手も悪くないものとして Dscout というのがオススメされてた。

 

篠原さん曰く、こうしたプラットフォームが昨今アメリカではガンガン作られているらしいです。それらが日本向けにローカライズされるのが先か、日本から独自のプラットフォームがガンガン出てくるようになるのが先か、さて? ローカライズ言うのはモノコト何にしてもかなり大変なので、日本発のプラットフォームが生まれるほうが利用させてもらう立場としては嬉しいです。ローカライズ版プラットフォームを使った日記調査を2009年に初受注しましたが、UIやマニュアルの日本語直すところから関わる羽目になってすごく大変だったもんな…。やはり、日本独自のプラットフォームが必要だ。誰か作って。

リモートリサーチの第一人者として篠原さんのトークに何度か登場したNate Bolt氏ですが、2009年に創業8年目の Bolt | Peters を訪問してました、私。彼がFBとかInstgramのUXに絡む前の話。当時から良い仕事している雰囲気ムンムンだった、確かに。

ということでまとめますと、私のアンテナは昔から結構感度良好でして、面白いヒトモノコトカイシャをキャッチして発信しているのだけど、なにせケースが少ないのと、影響力が微弱なのと、タイムリーさに欠けるってことで、業界の役に立ってる感じがまったくしない(笑)。かと言って、もっと発信したいか、もっと影響力を強めたいかと言うと、そこまでのモチベーションはない。スミマセン。篠原さんのように情勢を読んで、それを確認すべく自ら行動を起こし、積極的に発信して社会を変えていこうという人にたまに会って情報提供するくらいが自分にはちょうど良いような気がしているところ。たとえば12月初旬に実施したあんな調査や、先週見積依頼の入ったこんな調査は、もしかしたら数年後に日本でブレイクするやもしれない何かの前兆かもしれませんぞ…という話を守秘義務を犯さない程度に上手に発信していけると良いのだけどね。