金沢ひがし茶屋街
2015年11月18日(水) 18:24
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 石川, モノ+コトの話OCHAYA IN KANAZAWA: Kanazawa is now a popular destination, as Hokuriku Shinkansen opened this spring. There are some areas which used to provide teahouse entertainments for elite traders in the region. The teahouse building seemed to be naive with slim joists and posts, but looked beautiful with various designs of transoms and grids. Those who are interested in architecture must visit Ochaya Shima.
金沢初日、マラソン前日。ひがし茶屋街をまったりお散歩です。
箔座ひかり藏で“黄金の蔵”というのを拝見し(写真[1])、普通の女子ならここで金箔入りのあぶらとり紙あたりを買ったりするのだと思いますが、それよりも、とある建物の壁に備え付けられている持ち手の長いシャベルは何に使うものなのだろうかとか(写真[2])、軒先に乾いたトウモロコシがぶら下がっているのはなぜだろう?とか(写真[3])、旅先では、いかにも観光客向けなお店で買い物するよりも、そんな街や人の観察こそが楽しい。と思う。
で、シャベルの答は確認できなかったのですが、冬になったら軒にぶら下がる氷柱を落とすためのものではないかと予想。金沢でそこまで冷え込むのかどうかは定かではありませんが。それに、シャベルの柄にほぼ等間隔で空いている穴(しかも四角い…)の使い方がよく分からない。何か支えになるような別の棒を一緒に使ったりするのかな? これはもう利用状況を確認するために真冬に再訪しなければならないような気さえしてくる(行かないけど…笑)。
トウモロコシの謎について、とあるお店の店員さんに突撃インタビューしましたところ、トウモロコシのヒゲからの連想で「もう毛がある」が転じて「儲けがある」とか、「茂を刈る」が転じて「儲かる」とか、まーそんな感じの語呂合わせでひがし茶屋街界隈に古くから伝わる縁起物だそうです。少なくとも人目を引くことには成功していますし、立ち止まったついでにちょっとこのお店へ入ってみようか…という流れもおおいにあり得るので、縁起は担いで損はなさそうです。
さてひがし茶屋街ですが、国指定重要文化財の志摩がとてもステキでした。お茶屋の建物が江戸時代のままに保存・公開されているのです。お茶屋の建物には太い梁や柱は使わないというのが習わしらしく、ゆえにそもそもあまり頑丈な作りにはなり得ないため、当然木造ですし、昔ながらの姿で保存するのは大変難しいことなのだそうです。その建物の中を見せてくださるのですよ。かつてお茶屋として機能していた頃は、一見さんは当然お断り。武士の立ち入りも厳しく制限されていたらしく、商いをする家の男衆が、儲けたお金をここで使う、そうして町や国に還元するための場所、それがお茶屋さんだったとのこと。儲けたからといってため込むばかりではなく、こうしたお茶屋で“遊ぶ”ことがお金のある家の当然の振る舞いと考えられたということでしょうね。
障子の引き手(写真[4])や照明のしつらえ(写真[5])が部屋によってさまざまだったり、欄間の縁取りも場所によって異なっていました(写真[6][7])。窓の格子や柵のデザイン(写真[8][9])も、とにかくオシャレ。贔屓のお客様をおもてなしするための空間づくりに寸分の手抜きもありません。そういう仕事の仕方をしたいものですねー。