プレゼン資料作成にダイレクトに役立つ一冊

2015年10月14日(水) 15:54

UXいろいろ, 本&映画の紹介, リサーチャーの知恵袋

NON-DESIGNERS PRESENTATION BOOK: I am not a designer, so the slides and documents I create are not aesthetically brilliant, but I always try to spend enough time and effort on making them easy to understand. The Non-Designer’s Presentation Book, which Japanese translated version was released lately, is to be a bible for me to design an effective presentation with a well-organized and well-outlined slides.

今年は、人前で話をする機会をたくさんいただいてきました。あまり得意ではないので本音としては断りたい。が、本の宣伝になるし(笑)、自分の持っている知識や経験を次の世代に少しずつ渡していくべきではないかという使命感を帯びる?お年頃になってきたというのもあるかもしれない。まー、つまり歳とったという一言に尽きるわけですが…。

という現状に加えて、ユーザビリティ屋がつくるレポートだのスライドだのは、見やすくて、読みやすくて、分かりやすくないとダメ!という別の使命感は以前ブログに書いたとおりなのですが、調査レポートとセミナーのプレゼン資料は似て非なるもの。そう分かってはいてもつい…レポート並に情報を盛り込んで押し込んでぎゅうぎゅう詰めにして、一応プリントアウトして「よし読める」とか自分を誤魔化して、なんてことをうっかりしてしまいかねないのがプレゼン資料というヤツです。そんなプレゼン不慣れな私にとってのバイブルとなる一冊が刊行されました。『シンプルでよく効く資料作成の原則 – コンテンツとデザインからプレゼンを変える』です。

自分が喋るつもりの内容をスライドに書くんじゃない!とか、要らん背景や冴えないクリップアートは削除!とか、スライドの枚数は好きなだけ増やして良し!とか、ほどほどのアニメーションでコンテンツが伝わりやすくなるなら遠慮なく使うべし!とか、基本的な話ばかりだからこそぐうの音も出ない教えのオンパレードです。つい、ね、喋ることを覚える手間と労力を惜しんでスライドに書いておいたりとかして…、文字だけだと淋しい、なんて要らんこと考えて余計な絵を置いてみたり、話しやすさを優先して一枚のスライドに大量の情報を詰め込んだり、アニメーション使いすぎたり、使わなすぎたり。それにしても、耳が痛い(笑)。

全体のストーリーを意識して流れを作り、最後にQ&Aの時間も忘れずに取っておきましょーというのも大事です。そうしたうえで、同著者が2008年に出版したロングセラー『ノンデザイナーズ・デザインブック』で彼女がデザイン理論の広大な迷路から選りすぐったと言う4つのデザイン原則、コントラスト、反復、整列、近接のルールをスライドにも適用します。そうして、スライドを“キレイにする”のではなく、“情報に一貫性を持たせ、シンプルで分かりやすくする”ことを目指して仕上げれば、そのプレゼン資料は見違える…はずなのです。もちろん、言うほど簡単なことではないですけどねー。

そして最後に配付資料の話。スライドをそのまま2in1とか、6in1とかでプリントして配るのが確かに楽。でも、その手間を惜しまず配付資料は配付資料として作る。そんなちょっとした味付けがプレゼンのクオリティをあげ、聴衆の満足度をあげる、と、まさに人間中心設計なお話も登場する良本です。皆さんの本棚にも是非。