ハイライン散歩@NYC

2015年10月09日(金) 17:42

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, ニューヨーク, モノ+コトの話

NEW WEE OASIS FOR NEW YORKERS: Joined a tour organized by SDN Japan chapter, and enjoyed a “High Line” walk. The High Line used to be an elevated railroad for logistics. It had died out completely by the end of 1970s, but sprang back to life after a long discussion to destroy it or not. Great decision made to transmit the areal history to posterity, and/or to keep some green in the area.

NYCでは、ハイライン(写真[1])散歩も楽しみました。SDN Japanチャプターが主催してくださったツアーの一部です。

ハイラインというのは…、2009年に着工し、工事の進捗に応じて逐次一般に開放されながら、2014年ついに最終ポイントまでの完成に漕ぎつけた足掛け5年におよぶ一大公共サービスプロジェクトの成果物です。

ハドソン川を西に抱えるマンハッタン西岸はニューヨークの胃袋を支える貴重な物流拠点として発展を始めました。河岸には多くの工場や冷蔵庫設備などが配され、そこから、あるいはそこへ運ばれる荷物の運搬を担ったのが当時は馬車や貨物列車だったそうです。そしてニューヨークの経済発展とともに交通量は増え、住民との諍いや事故が多発するようになったところで線路が底上げされて高架になりました。それが文字どおり“High Line / ハイライン”と称されたのが名の由来のようです。その後、1970年代後半には貨物需要が減ったことで廃線となり、荒れるがままにしばらく放置されていたものを、市や一部の住民が治安の改善や地域再興の意味もあって撤去しようとしたり、一方でパブリック・スペースとして再利用することを提案するNPOが現れたりとハイラインの行く末を巡って多くの議論が繰り返されてきたそうですが、2004年に市の予算が充てられることが決まり、どう再開発するかでまたもめて…もとい、議論を重ねて、最終的には緑あふれる市民のための“空中公園”としての今の形に落ち着いたのだとか。

 

[1] ハイラインへの入り口です [2] 線路の名残があちこちに [3] 滑車のついたデイベッドも

ハイラインの歴史を後世に伝えるという目的に即して、線路があちこちに残されていました(写真[2])。滑車のついたデイベッド(写真[3])なんかもあって、晴れた日に寝転んでまったりしたり、読書したりできたらさぞ気持ちいいことでしょうね。物流に使われていた頃には、線路の一部がそのままビルの中に通じていて、荷の積み下ろしを効率よく行えるようにもなっていたそうです。そのビルに突っ込む線路の跡は、季節ごとに違う表情を見せてくれるお花畑として保存されています(写真[4])。線路を通すための空間を確保する形で建設されたビルもいくつかほぼそのままの形で残されていて、コーヒースタンドやアイスの露店などが並ぶ場所に生まれ変わっています(写真[5])。日本では長蛇の列のブルーボトルコーヒーも、ここならすぐに手に入りそう(ただし好天の場合は分かりません)。

 

[4] ビルに突っ込む線路の跡 [5] かつて線路が通っていた空間 [6] かすかに見える自由の女神

ハイラインを散歩しながら周辺にある奇妙奇天烈な形のビルや由緒正しい建物、遠くにかすかに見える自由の女神(写真[6] )などを眺めるのも楽しいかもしれません。しかし小雨が降る中でもお昼近くには相当な人出でしたし、天気が良くて、過ごしやすい季節とかになったら人口密度が上がりすぎて憩いの場にはなり得ないのではないだろうかという疑問は残った。曇天くらいで良かったのかもしれませーん。