ユーザビリティとUXの違い

2015年07月10日(金) 17:44

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, サンディエゴ, リサーチャーの知恵袋

DIFFERENCE BETWEEN USABILITY AND USER EXPERIENCE: One of my demanding clients asked me the difference between usability test and user experience test, and I explained … usability test is to test the effectiveness, efficiency, and satisfaction of the user interface, and UX test is supposed to cover more, like broader context of use, longer time period, kansei and more. People lately tend to use the term “UX” without considering its proper meaning. Once the client learned the term “UX,” they keep using it, even if they intended to conduct usability test at first. They keep asking me to add questions to learn about users’ further experience, which doesn’t work. Letting them focus on usability turns out to be really hard, once they learn the term “UX” without learning the meaning of “UX.” Usability and user experience are similar, but not the same. We really need to know that.

最近請け負っている(そして軽く後悔している)とあるクライアントの案件で、ユーザビリティテスト(以下UT)とユーザーエクスペリエンステスト(以下UXテスト)の違いについて聞かれました。で、UXテストという表現はそもそもあまり使わない気がするけども…と思いつつ、その場で絞り出した私の回答は…、

UTは、ユーザーインターフェイスのユーザビリティ(効果・効率・満足度)を調べることを目的として実施するテストで、UXテストと言うときには効果・効率・満足度の三指標に加えて、利用文脈を幅広く捉えたり、時間軸を長く見据えたり、感性や感情の話にまで踏み込んだり、UIとのインタラクションに留まらず、どこまでも広義に捉え得る“エクスペリエンス”のどの部分について、どんな手法を使って調査するかを調査の目的に照らしてじっくり考えたうえで実施するテストです。

ってな感じ、でどうでしょうか>業界の皆さん。その後の紆余曲折を経て、回答に自信を失いつつあったところで、業界の重鎮アーロンじーさんとお話する機会があったので、私が受けた質問をそっくりそのまま彼にぶつけてみたら私の答えとほぼ一緒だった。大丈夫。私は自信を持って良い(笑)。

「どうしてそんなことを聞くんだ?」とアーロンじーさんから逆質問。彼にしてみたら「そんな基本的なことを聞かれるとは思わなかった」というのが本音だったのではないかと思う。もう何度もUXPAに来てるくせに未だにそんなことを聞くレベルなのか?と疑われてはかなわないので、クライアントとのやり取りを簡単に伝えたら、UXという言葉が巷に氾濫するようになってから、そこのところを適当に考えて、きちんと理解や説明をすることなく、流行りの“UX”という言葉を使う人たちが増えているから我々は十分に気を付けなければならないよ、とご指導をいただきました。そう、私たちはここのところ十分に気を付けないといけない。

UXPAの会場で、同じ質問を他の(若い)参加者にしてみたら、案の定「ユーザビリティとUXはほとんど同じ。違いを考える必要はない」という衝撃的な反応だったので、いやいやそこはきちんと別物として捉えないとダメだよ、と老婆心ながら軽く説教(笑)。アーロンじーさんのおかげで自信を取り戻した強気なわたし。

とりあえず、Webサイトのユーザビリティ評価をするという枠組みで無闇に“UX”という表現を使うと無駄な混乱を生むし、説明するの面倒になるし、ユーザビリティよりもUXのほうが“なんかすごい”感じに聞こえるからクライアントもUX、UX言い出すし、そうなるとユーザビリティオンリーの話に戻すの大変だからやめて欲しいんだよね。というのが最近の不満です。

UXPA(User Experience Professionals’ Association)はもともとUPA(Usability Professionals’ Association)と名乗っていただけあって、UXではなくユーザビリティの話に焦点を絞った発表が多いし、UXとユーザビリティを混同せずに語れている人が多いように思うけれど、中には、残念ながら混同しちゃってる発表もあるし、言葉の使い方が雑な人もいる。そういう残念な発表をそのまま拾って持ち帰ってしまう人も少なからずいるのではないかな。そして混乱が広がるという悪循環。何とかしないとね、と思うだけで自分では何もしなくてゴメンナサイ。