家康公の観光客への配慮

2015年02月19日(木) 19:02

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 京都, サインやUIの話, モノ+コトの話

FUN READ DURING EXTRA WALKING: The usual main gate to Nijo Castle is now under refit, and guests need to walk a few hundred meters extra to get to a temporary gate. To dispel their frustration towards the extra walking, decent amount of fun reads is offered. I’m pretty sure that you will enjoy reading, which should make you find yourself at the gate to enter with no unfavorable impression even after an extra walking. It is such a great experience design, isn’t it?

二条城の案内も気が利いていました。通常、観光客の出入り口になっているのは東大手門ですが、そこが現在修復工事中で使えなくなっています。代わりに北大手門が開かれているのですが、多くの観光客はガイドブックを頼りに通常の東大手門を目指し、門前で「工事中じゃんっ」となる。そしてそこには家康公からの事情説明とお詫びがありました(写真[1])。

 

[1] 家康公から事情の説明 [2] 十代将軍家治の事情 [3] 十三代将軍家定の事情

北大手門までの道中には、家康公のご配慮により、二条城に足を踏み入れることのなかった徳川将軍たちの紹介と裏事情がおもしろおかしく書かれていました。たとえば十代将軍の家治は…

「二4桂馬で詰みだから…ん、二条城? 行かない。いま忙しい」(写真[2])

無類の将棋好きとして知られる家治は二条城までの旅よりもお座敷で将棋を差すほうを選んだに違いない…とか、開国の圧力にさらされて苦労した十三代将軍の家定は…

「えっと、二条城よりもディスイズ…ア…ペン…」(写真[3])

という感じで、二条城なんか行ってる場合じゃないわ!ってことだったのではなかろうかと。結局、徳川の世が盤石なものとなって以降は、京都まで赴いて朝廷から「征夷大将軍に任ずる」的なお達しを直々にいただく必要ないわ~と、朝廷に対する無礼(とは思わない世になっていたんでしょうね)を断行した四代将軍家綱から、先の十三代将軍家定までは誰一人として二条城に足を踏み入れていないらしい。それなのにこれだけの敷地や建物(ただし天守閣や本丸殿舎は焼失し、再建されていません)を維持し、今の世まで残しているのだから、やっぱり徳川家はスゴイのだ。

 

[4] 二条城の二の丸。豪華! [5] テイストはやはり日光と似てる [6] 庭も静かで地味でイイ感じ

と、それはさておき家康公の観光客への配慮の話でした。ほんの数百メートルとは言え、予定外に歩く羽目になりちょっと不満な観光客のために、道中にクスッと笑える読み物を、読むのが億劫にならない絶妙な量で点々と配置し、気づけばあっという間に目的地に到着してました、不満はありません、と思わせるデザインがよく出来ています。観光地としての京都は学びの宝庫。早くもまた行きたくなっている(笑)。