商魂丸出しの日光東照宮

2014年10月31日(金) 21:01

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NIKKO TOSHOGU IS A SMART BUSINESSMAN: After visiting some shrines and temples in Kyoto, I went to Nikko Toshogu, which is the final resting place of Ieyasu Tokugawa, the founder of the Tokugawa Shougunate. He is now enshrined at Toshogu as the deity Tosho Daigongen, though it could be hard to understand for monotheists. Aside from such a difficulty, Toshogu contains a lot of must-sees, like many colorful and elaborate wood carvings including  “see no evil, speak no evil and hear no evil” monkeys and sleeping cat, or the Honjido Hall with the “Crying Dragon.” And, you would be amazed to see the 108 dragon drawings on the ceiling of Hondo (main hall) with an amazing fan system to protect the drawings from moisture. What I was surprised to find was that lots of advertisements to earn money everywhere in the grounds, which looked lack style at first, but I now guess it could cost a lot to hand down such a lot to posterity. The shrines and temples in Kyoto may be facing to the same difficulty, but they try to fake it. Toshogu is more open. What an interesting contrast between east and west.

9月にさんざん京都を楽しんだ後、10月はじめに日光へ行きました。日光東照宮へのお詣りはかれこれ三度目になります。鳥居をくぐり(写真[1])、拝観受付へ行って、陽明門が工事中!という残念な情報を伝えられてガツカリするも、ここまで来てそれを理由に拝観しないという選択肢はない…とする観光客ばかりであることを知っている神社側の強気な物言いに軽く気圧されました、わたし。

 

[1] 日光東照宮へ三度目の参拝 [2] 説明不要の三猿 [3] スゴイ人なので覚悟が必要

日光東照宮は徳川家康公を御祭神としてお祀りする神社です。戦国乱世を平定し、世の中に秩序を生み出された大殿様は、今でこそ、その後260年もの長きに及ぶ江戸時代の礎を築き、近代日本の発展に貢献されたスゴイ人だと分かっていますが、東照宮が建った頃は江戸時代がそんなに長く続くことなど誰も想定していなかったでしょうに(願っている人はいたかもしれませんが…)、それでも家康公を“神”としてお祀りしましょうぞ!となったわけです、スゴイです。キリスト教徒さんやイスラム教徒さんたちは、この地のこうした由緒を聞いてどう思うんでしょうね? そもそも理解できるのでしょうか?

それはともかく東照宮には見所がいっぱいです。表門をくぐるとすぐに有名すぎて知らない人はいないと思われる三猿(写真[2])のお姿を拝見することになりますが、すごい人だかり(写真[3])なので覚悟が必要です。その後、確かに工事中の陽明門(写真[4])をすぐにくぐりたくなりますが、そこはグッと我慢して廻廊の彫刻を見てからにしましょう。鐘楼の裏まで行けば、上神庫の高いところの装飾を間近に見られるという特典があります(写真[5])。

 

[4] 陽明門は修復中でした… [5] 高いところの装飾を間近に [6] 唐門の白と金のコントラスト
[7] 眠り猫は流れに乗って見る [8] 発泡スチロールは美的にどうよ? [9] 奥宮に家康公のお墓あります

いよいよ陽明門を抜けますと、真正面に本殿へと通じる唐門があって、神社仏閣ではあまり見かけない“白”と“金”のコントラスト(写真[6])にヒェ~となった後、流れに乗って眠り猫を観に行きます(写真[7])。ここまでですでに結構つかれます。何に疲れるって…人です。めげずに負けずに本殿へと向かいましょう。その動線上に、確かに危ないけど発泡スチロールでくるむって美的にどうよ?とつっこみたくなる箇所を発見(写真[8])。本殿の中は写真撮影禁止なので写真ありませんが、天井に描かれた108頭の龍(ぜんぶお顔が違うんですってよ~)と四つ角の換気口のデザインが素敵すぎて発泡スチロールのことは許してしまいそうになったけれど、本殿から出るときに必ず売店の前を通るように誘導していたり、家康公が眠る墓所(写真[9])のある奥宮に、カレンダーやらお守りやら御朱印やらをこれでもか!と売りつけようとする広告がべたべた貼られていたり(写真[10])して、興醒め…というか、京都の、商魂すさまじいけど、それをもろに見せるのは控えたいという見てくれ優先の地と、何をするにも金じゃ!金がないと何も成さん!!払いたまえ!!!という言ってみれば潔い武家(というか徳川?)の態度を比較してみられたのは面白い体験でした。

 

[10] ところ構わず広告ベタベタ [11] でも維持にはお金がかかる [12] この美しさを後世に残そう

お金をかけて豪奢につくった宮も手入れをしなければ痛んでいきます。唐門を支える透塀の角まで歩いてみれば、修復をして囲みをして(つまりお金をかけて)保存した場合の色合いと風雨に晒した場合の色合いを比べられます(写真[11])。これだけの規模で“文化”を継承していくにはお金がかかるんですよね。だから、商魂たくましくないと神社務めなんてできないんです、きっと。というわけで、何も買わずに帰ってきてゴメンなさい。