工場の祭典一軒目~洋食器の小林工業

2014年10月08日(水) 18:57

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FIRST VISIT TO A CUTLERY MANUFACTURER: First visit at this Factory Festival was a well-established cutlery manufacturer, Kobayashi industry, which has almost 100-year experience in the industry. The factory was huge, and its production was based on a complete division of labor. The former parts, which require heavy lifting like cutting and rolling, were operated by mostly male artisans, and the latter processes, which require patience like finishing and quality checking, were operated by mostly female artisans. It’s not gender bias, but most efficient division of labor! At the end of the tour, the President gave a lecture for us to learn how to judge the quality of cutlery. And, I was amazed by the set of cutlery with one set located a bit differently from the others. He made the set look very obvious to start with. His hospitality mind reaches out even for first-time learners.

一軒目の訪問は、1868年に創業し、1915年からおよそ100年カトラリーを作り続けているという小林工業さんでした。明治から大正に年号が代わり、洋食やそれを食べるための洋食器が一般家庭にも浸透しはじめた頃、燕市でも手作り生産が始まったとされています。その頃からの老舗。工場はものすごい広さと徹底した分業体制でした。

 

[1] カトラリーの材料の山 [2] 機械を使って切断します [3] 最初はこんな形から
[4] 圧を加えて薄く延ばします [5] 柄の裏にロゴの刻印を打つ [6] ジンワリ曲がりをつけます
[7] 切断面をキレイにする作業 [8] 磨き仕上げは機械と手と [9] 検品はかならず人の目で

ざっと工程を写真で追うと、板材(写真[1])を切断して、打ち抜き(写真[2][3])、圧を加えて薄く延ばします(写真[4])。その後、柄の裏にロゴ(商標?)を打ち(写真[5])、たぶんちょこっと工程とびまして、皿の部分をジンワリと起こす作業(写真[6])を経て(ここまで巨大なプレス機などを使う力仕事が中心なので男性作業員おおめ)、切断面を削って磨いてといった仕上げ作業(写真[7])に進みます(ここで女性作業員登場。社長曰く「根気のいる仕事なので女性のほうが向いている」とか(笑)。まー、そのくらいの区別(差別ではありません)は作業効率重視の工場にはあって当然。問題なし)。最後の磨き仕上げは機械を使って一斉に行う場合(写真[8])と職人さんが経験と勘を駆使して行う場合と両方あって、それは、そのぅ、商品の料金に反映されるわけです。最後の最後の検品はかならず人間の眼で(写真[9])。ここではねられてB級品となったものを見せていただきましたが、どこが問題なのか説明されても全然わからなかったです。プロの目はスゴイのだった。

白かったはずの軍手が見事に真っ黒になっていたり(写真[10])、磨きに使われるバフも使用前使用後を比べるとすごかった(写真[11])。達成感ありそうでした。

 

[10] 白かったはずの軍手は真っ黒 [11] バフの使用前使用後 [12] 右端のセットから解説します

工場内の見学を終えた後、ショールームへ移動して、カトラリーを持ち比べてみたり、品質の見分け方を教えていただいたり、生活に活きる知恵を授けていただきました。フォークの先端をよくよく見ると、安価なモノはただ真っ直ぐに切り落とされているけれど、ちょっと手の込んだ(つまり少し値の張る)商品は刃先の面積が刃よりも若干小さくなるように先端部分を斜めにカットしてあって、そのおかげで食べ物に指した後の安定感がぜんぜん違うのだそうですー。その違いを体感したかったら、絹ごし豆腐に指してみるとよく分かるって。へぇ~度たかい。ちなみに帰宅して我が家にあるフォークの刃先を片っ端から見てみましたが、ぜんぶ、ものの見事に全部、ただ真っ直ぐに切り落とされておりました。安物買いでした(笑)。

最後の写真[12]は、講義用にと事前に並べてくださっていたお値段いろいろなカトラリーたちです。「右端に、ちょっと飛び出てるフォークとナイフのセットがありますよね? まずはそれらを手に持ってみてください」ってな感じで講義が始まりました。右とか左とか苦手な人、います。そんな人にも迷わず、狙ったとおりのセットを手に持ってもらえるように、講義をする側のすばらしい配慮です。聞く人の身になって場を作る。老舗を支える社長の気持ちは、こんなところにも行き届いているのでした。と、妙なところに感心して一軒目終了。