工場の祭典四軒目~相場紙器製作所

2014年10月17日(金) 16:00

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A PAPER FACTORY WITH FLEXIBILITY: The factory, Aiba Shiki Seisakusho, was full of tips and tricks to make the process efficient and the communication precise, like an arrangement of the base to be sure of stapling to the right position, an additional paper slope from the machine to a trash bin to make the couped paper getting into the bin automatically, or the use of a polyurethane sponge for kitchen to eliminate static electricity. The mix of Arabic and Chinese numerals, or the mix of vertical and horizontal writing, which can be seen on a written directive, should be other tips to avoid confusion which must have been created in the long history of the factory. There are so many pliable idea for desk workers to learn.

町工場には、作業を効率よく間違いなく進めるための場づくりや工員同士の情報共有を確実なものにするための工夫などが、随所にひっそりと根付いていて、ユーザビリティやエクスペリエンスを生業とする自分にとっては貴重な学びの宝庫でした。

そんな中でも特に感心することが多かったのは、燕三条地域で隆盛を極める鍛冶工場が目立つ中での変わり種、部品や製品を入れて運搬するのに使われる、いかにも黒子な存在の“紙器”つまり“箱”を作っている相場紙器製作所です。

 

[1] 簡易箱を作る工程を習います [2] これは“押す”工程 [3] 使い込まれた機械

紙を裁ち、折り目を押して(“付ける”のではなく“押す”っていうのがポイント!)、折りやすくするために一部を切り落とし、最後に留める。ステッチャー留めの簡易箱を作る工程を丁寧にご紹介いただきました(写真[1])。押しの工程で使われる機械はものすごい年代物…(写真[2])。(たぶん)奥行きを調整するためのネジは、握って回しての繰り返しで丸みを帯びるほどになっていました(写真[3])。切る工程は、ほんのちょっとの油断で指がパツンっと簡単に逝ってしまいそうで、見てるだけで怖かった(写真[4])。最後の留める作業も、針が箱じゃなくて指に刺さることを想像すると背筋がゾワっとしますね(写真[5])。

 

[4] 切る工程は油断しちゃダメ [5] 留めるときも慎重に… [6] 指示書の書き方に工夫満載

寸法など箱を作るときに工員さんたちが作業内容を確認するための指示書はこんな感じで(写真[6])、いまだに単位は尺寸を使ってます!と工場の歴史を感じさせてくれる一コマも。しかし個人的には、単位よりも、算用数字と漢数字の混在や横書きと縦書きの混在などのほうが気になりました。これはきっと読み間違いを防ぐための工夫ですね~。他にも箱の寸法にあわせてちょうど良いところに針金が刺さるようにと台に細工をしてあったり(写真[7])、切り取られた部分がスルスルと滑り落ちてゴミ箱に入るよう滑り台を後付けしていたり(写真[8]~実はゴミ箱の位置がずれてしまっていてきちんと中に落ちていませんでしたけども…笑)、型を使って紙を裁断する機械には、静電気で紙が型に吸い付くのを防ぐためにとスポンジたわしの不織布を切って貼り付けたり(写真[9])、本当にいろんなところに様々な工夫がみられて、工場の方々の頭の柔らかさに感心しきりでした。柔軟な発想ができなくなっている自分にお悩みのデスクワーカーたちはぜひ、工場の見学に行ってみるとイイでしょう。

 

[7] 後付けのステープル台 [8] 後付けのゴミ用すべり台 [9] たわし活用で静電気除去