雪国の家に見る特徴

2014年09月30日(火) 16:56

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CHARACTERISTICS OF HOUSES IN SNOWY REGIONS: To avoid the door covered by overnight snows, the second floor bulges outward, which is seldom seen in Sapporo, where I was born and bred. I also saw a lot of stilt houses in Echigo-Tsumari, but I once learned the space makes the room get colder or makes the water pipes frozon-up more easily. Isn’t it true in Echigo-Tsumari? It is common to have houses with gabled roof to let the snow automatically removed both in Sapporo and Niigata, but I seldom saw, in Sapporo, the sharply angled ridge as the houses in Echigo-Tsumari do. Is this help to remove snow off a roof even more easily? Storages seem to have a round roof, as it is okay to keep the snow piled up high, but the window needs to be set high above. The most interesting characteristics I found in Echigo-Tsumari was the window to cover by some boards as the last picture shows. Windows can be broken under the weight of snow if you leave the snow piled up, but it is a hard job to remove the snow once it’s piled up that much. What a courage to give up the window, if it’s gonna be covered by snow anyway! Sapporo and Niigata are believed to be a similar snowy region, but people seem to have slightly different wisdom of living.

札幌で生まれ育ったんです、わたし。で、雪国の家の作りはだいたいどこでも一緒だろうと思い込んでいました。が、越後妻有の町をあちこち見て回る中で見かけた建物たちに、札幌では見ない特徴がいろいろとあることに気づきました。

お泊まりした脱皮する家もそうでしたが、玄関の前に雪が積もるのを防ぐがごとく、2階部分が1階よりも遠慮なく突き出ている家(写真[1])が町中にたくさんありました。夜、寝ている間にしんしんと降り積もった雪が玄関を覆ってしまい、ドアを開けられず外に出られない…といった嘘みたいなホントの話が雪国ではあるのです。こうして2階を思い切って飛び出させてしまえば、確かに玄関前の積雪はかなり防げます。はて? 札幌ではどうしてそういう作りをあまり見かけないんでしょうね? 氷柱が下がりやすくなるからかえって危ないとか、同じ雪国でも雪質や気温などひっくるめた“気候”を同じと括ってはいけないということでしょうか?

機会があったら是非お泊まりしたいと思っている光の館は雪深いこの地域の特色に応えるべく高床式になっていて(写真[2])、町でもやはり高床式の家々を数多く見かけました。1階部分を駐車スペースにしているようなお宅です。北海道でも見かけますが、床下が空間になるために冷えやすいとか、そのせいもあって水道管が凍りやすいといった難点を併せ持つという話を水道屋さんから聞いたことがあります。越後妻有ではそんなことないのでしょうか?

 

[1] 飛び出た2階が玄関を守る [2] 高床式になってる家も多い [3] ぐしが尖ってる家がたくさん

三角屋根が多いのも雪国の特徴と言えるでしょうか? 屋根に降り積もった雪が、わざわざ昇って雪下ろししなくても下へ落ちるように結構な傾斜の屋根を採用している家は札幌にもありますが、越後妻有の家の屋根は、“ぐし”に相当する部分がより鋭角に尖っています(写真[3])。これでいっそう雪が落ちやすくなるとかかな? 今は絵本と木の実の美術館となっている元真田小学校の屋根も、ぐし部に後から尖ったものを付け足しているような作りでした(写真[4])。わざわざ後から付け足している風なのが気になりますね。少ない人手で美術館を管理していくために、雪下ろしの手間を減らす狙い? だとしたら先の、これでいっそう雪が落ちやすくなるという仮説が正しそうです。

 

[4] ぐし部分は付け足しっぽい [5] 倉庫は丸屋根。でも窓は高く [6] 板を張って諦めてしまう窓

家の屋根は尖っている場合が多いのですが、アートにも採用されていたかまぼこ型倉庫の屋根は、“かまぼこ型”と言うだけあって丸い(写真[5])。倉庫の場合は屋根から落ちた雪がそのまま回りに積もっても問題ないからでしょうかね…。三角屋根のように少し遠くへ飛ばすことを考える必要もなく、両脇に落ちてたまって、春が来たら溶けてくれればイイというデザインのように思います。換気のための窓がかなり高いところに一つというのも雪国ならではの特徴でしょう。

最後は、札幌では見たことのない窓の板張りです(写真[6])。左右の窓枠に鉄製の金具が取り付けてあって、そこにちょうどよく収まる大きさの木の板をスルッと装備できるようになっている家を見かけました。雪が窓を塞ぐほどに積もってしまうと、雪の重みで窓硝子が割れてしまう危険が増します。屋根から落ちる雪の勢いで割れることもあるし。我が実家にも一箇所、雪に覆われる危険のある窓があり、そこの雪掻きは屋根から落ちてくるかもしれない雪に気をつけながら、半ば命懸けで行う除雪作業の一つです。窓を覆うまで積雪が達することが当たり前ならば、そうか~、いっそのこと窓を覆い、なかったことにして冬を越すんですね。考えたことなかった。でも、ただでさえ暗い日の多い冬に窓を潰してしまう勇気を持てるかどうか…な気がする(笑)。

同じ雪国でも、生活の知恵はけっこう違いますね。町観察、とても有意義でした。