越後妻有に息づくアート~その1

2014年09月25日(木) 16:41

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 新潟, モノ+コトの話

ARTS IN ECHIGO-TSUMARI VOL.1: Some staffs from Echigo-Tsumari Art Field kindly escorted us to look around the arts, and here are some pictures of impressive ones from my point of view. KINARE, Echigo-Tsumari Satoyama Museum of Contemporary Art, provides an opportunity for artists and guests to share the work in progress for next year. The ceilings of Pavilion by Dominique Perrault are made of mirrors which should create a sense of depth for audiences, and they are amazingly foldable to survive snowy winters. Ubusuna House was filled with potteries, but what amazed me the most was that the naturally bended timbers were professionally used to build the house. The last one is Hachi & Seizo Tashima Museum of Picture Book Art which was created by taking advantage of an abolished school to create 3D picture book for kids who once left the school. And, all the objects were made of driftwoods from the sea and nuts from forests.

越後妻有に滞在中、“大地の芸術祭”のスタッフの皆さんにご案内をいただきながら、1泊2日で回れる限りの作品を鑑賞してきました。運営サイドにいる方々の解説付きという贅沢はなかなか味わえるものではありません。解説があったからこそ分かったことやそれを踏まえて感じたことを作品ごとに丁寧に紹介していきたいところですが、それやってるとエンドレスになってしまうので、印象に残った風景と作品を手短に紹介していくシリーズ第一弾。

越後妻有 里山現代美術館 キナーレからスタートです。京都駅ビルの設計でお馴染みの原広司氏による越後妻有交流館を2012年のトリエンナーレを機にリニューアルしたという建物の中には数々の現代アートが展示されていました(写真[1][2])。展示の仕方もダイナミックだし、何より興味深かったのは、来年以降の発表を目指して制作途中の作品やその材料などを展示しているところです(写真[3])。一度きりの芸術祭ではなく、これからもずっと続けていく芸術祭を支える街の美術館として、とても重たい存在なのでした。

 

[1] 窓の光に透かしてます [2] 木によって風合いの違う“炭” [3] 制作に使われる各地の砂や土

バタフライパビリオン(写真[4])は、あずまやの超現代版。舞台の動きが屋根の鏡に反射して(写真[5])演者の目をくらまし…ではなく、観る人の目に映る風景を幾重にも重ね、広げようというネライ。冬場、屋根をたたんでおけるというから驚きです。舞台の成功を祈る河童(写真[6])もアートの一部…かどうかは定かではない(笑)。

 

[4] あずまやモチーフのパビリオン [5] 鏡天井は折りたたんで冬越え [6] 近所には河童がたくさん

つづいては、うぶすなの家。雪を凌いで冬を越し、高温多湿の夏にも備える昔ながらの民家のあり方を、空調に頼る生活を送る現代人に問いかけるやきものミュージアム&レストランです。中に展示されたり、使われたりしている陶磁器のひとつひとつも貴重な作品だそうですが、それ以上に、曲がってようが歪んでいようが素材をそのままに使っている柱や梁や床のほうに見とれました(写真[7][8])。窓にかかる蜘蛛の巣(写真[9])も作品の一部だと思ってそのままにしてるのよ…と笑顔で語ってくれたお母さんのイイ感じも印象的な場所です。

 

[7] 柱や梁は自然のままの曲線 [8] 曲がった板を並べるの大変 [9] 蜘蛛の巣だってアートの一部

初日の最後は絵本と木の実の美術館を訪れました。廃校になった真田小学校を舞台とした“空間絵本”です(写真[10][11])。校内のオブジェはすべて流木や木の実を再利用したもので、それらを使った個別の作品もありました(写真[12])。とりあえず、これだけの数の流木やら木の実やらを集めることこそが気の遠くなるような作業ですけども、アーティストはそういう地道なことを出来てしまう人たちなんですよね。そして、この作品が全国の廃校活用施設“アートを感じる部門”で1位に輝いたという実績を誇らしげに紹介してくれたのは、この地に惚れ込んで移り住み、管理人をしているという素敵な女性でした。そんな関わり方を実現させている大地の芸術祭の凄さをじんわりと感じて一日目は終了です。

 

[10] 体育館いっぱいを使ってます [11] 廊下も階段も物語の一部 [12] すべて流木と木の実を再利用