理由を伝えるのが大切

2013年08月28日(水) 18:40

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IMPORTANT TO TELL ITS REASON: The yellow line on a bus ground means passengers should not stand there for door opening/closing, but it’s not so visible when crowded. The note on the wall says “Don’t stand on the yellow part.” Then the third, and probably the newest note says “Don’t stand on the yellow part for door opening/closing.” It becomes easier for people to follow the instruction when they know the reason behind.

都営バスには最近、ノンステップバスが増えてきました。バリアフリー化が進み、障がいを持つ方々や大荷物を抱えた人も昔に比べたら利用しやすくなりましたね。

 

[1] 立って欲しくない所は黄色 [2] 目線の高さにも注意貼り紙 [3] 理由があれば容易に納得

昔(アラフォーが思い起こす“昔”です)だったら、乗降口の階段部分に人が立ってしまうと“物理的にドアの開閉ができない”というのが見れば分かる感じだったので、そこには立ち止まらないのが暗黙の了解でしたが、ノンステップになり、ドアがスッキリしたスライドドアになったおかげで、ドア付近でも容易に立っていられるようになってしまったのは思わぬ弊害かもしれません。混雑時、ぎりぎりのところに立っていられるがために乗客がそこに立ち止まってしまうと、ドアの開閉に支障を来します。そこでドアのキリのところには黄色いラインを引いて、この部分には立たないでください…という目印をつけた(写真[1])。でも混雑時に足元の黄色いラインは見えにくいかもしれません。

そこで人の目線の高さに“黄色の部分に立たないでください”と注意を促すステッカーが貼られるようになりました(写真[2])。で、最近見かけたステッカーにはさらに、“ドアの開閉のため”という、黄色の部分に立たないで欲しいと運転手が言う“理由”が付け加えられています(写真[3])。

マニュアルのユーザビリティテストを行うと、そこに書かれているとおりに実行していけば難なくタスク達成!となるのに、思わぬところで考え込んでしまうユーザーさんが結構います。理由を聞いてみると「理由が分からないのがキモチ悪い」という応えが返ってくること、しばしばです。ユーザーって、納得しないと指示に従いにくい生き物なんですよねー。公共交通機関の案内表示に、先に記したような進化が見られるのは、ユーザーの行動をよくよく観察し、ユーザーの思考をよくよく考慮した結果に違いありません。都営バスに感心です。