UXSGの発表オスソワケ (2)
2013年07月03日(水) 13:59
UXいろいろ, アジアのそこここ, イベントの話, シンガポール, リサーチャーの知恵袋WHAT I LEARNT FROM UXSG (2): What I was amazed most was the visual recordings by Bernie of Sketch Post Studio. She listens to the talks and trasnforms the talks into real-time, hand-drawn visuals which are amazingly concise and to the point. If you have all the 8 visual recordings, it’s as though you have attended the conference, I think.
お約束どおり8名による Keynote talk の個別報告です。私の関心の幅やその他雑多な事情(空腹とか…笑)により報告のボリュームに差がある点はご了承ください。ちなみに今回、Sketch Post Studio の Bernie 女史による Visual Recording が行われていました。1メートル×1.5メートルくらいの大きさのボード(写真[1])に、Talk を聞きながら要点を続々と描き出して余白を埋めていき、Talk が終わる頃には、わたしのノートとは比べものにならないくらい分かりやすくて、見やすくて、要点を捉えた記録がビシッと完成するというミラクルパフォーマンスです。すげぇ~。8枚全部写真とってきたけど、ここは出し惜しみして Opening Keynote の完成ボードのみお見せします(写真[2])。8セッション終了後、ボードの写真を撮るための人だかりが凄かった(写真[3])。
ではお待ちかね(待ってないか…笑)、Keynote の個別報告です。
▼Common Senses
by Low Cheaw Hwei
エクスペリエンスには、限られた空間の中で起こる Boxed experience と、そのboxが置かれるContextの中で発生する Vertical experience と、さらにさまざまな Vertical experience が混在して相互に関係し合うより大きな環境の中で生まれる Horizontal experience があって、そうした“エクスペリエンス”を実現するモノコトづくりに必要な10個の tips を順に紹介しまーす!というのが骨子。
10個の tips は、“ユーザーへの共感を忘れるな”とか、“自分に分からないコトは他の人にも分からないよ”とか、“五感を駆使しよう”とか、“過去の実績に学べることがある”とか、つまり“Common Senses”という講演タイトルのとおり、言われてみれば当たり前…という tips ばかりで、実はさして新しいことは言っていないのに、事例の身近さとプレゼンの巧さで聴衆はすっかり虜になるという、Opening に相応しいお話でした。
▼Predictably Human
by Jason Pollard
ただ商品を売るのではなく、“memorable in store brand experience”をこそ売り物にしていかなければならないということに気づき、行動に移している Retailer の事例紹介。eBay、TESCO、CB2なんかが例に挙がっていました。ちょっと事例のパンチが弱かった…ような気がする。へぇ~、ってならなかった。個人的には、欧米ではなく、開催地シンガポールやアジア各国の事例を期待してました。
▼Global UX
by Daniel Szuc
数字で測れる指標は忘れて、人間を人間たらしめる感性をこつこつ磨き、国境や文化の枠組みを超えて共有し、枠を広げて行こうぜ…的な? すみません、よく分かりませんでした(笑)。
▼The UX of Minimum Viable Products
by Anders Ramsay
いわゆるLean UXの話っぽかった。正直興味なし。この時点で1時間も押していて腹ペコ。よって集中できず。今さらですが Agile と Lean の違いがいまいち分かっていない私なので、この講演はなかったものとして良いだろう(笑)。
▼The Power of Design
by Bojan Blecic
OCBC Bankの銀行員にして UXer な方が、Form や Webサイトや商品紹介のペラ紙なんかをUCDプロセスにほぼ忠実に従って改善したら、商品のセールスが150%伸びたとか、Webサイトのメンテナンス費用が$700,000から$130,000まで下がったとか、フォームのエラー率が22%から1%に激減したとか、劇的な成果を上げちゃいました、スゴイでしょ?というケーススタディでした。プロセスもアクションも普通。iterative にやってるところもエライけど普通。ユーザーからのフィードバックを集める努力も忘れませんでした!というのも今となっては普通。とにかく普通にきちんとやったら成果出たっていう事例でして、それ以上でも以下でもありませんでした。お疲れさまでした。
▼Changing the UX Mindset
by Sarah Bloomer
社内のデザイナーやエンジニア、営業マンやマーケターなど独特の文化や考え方を持つ人たちに、UXを売り込んで行くためのノウハウ提案のセッションでした。同僚のペルソナをつくってみるとか、rich picture を描いて社内の人間関係や仕事関係を可視化してみるとか、UXerがUXデザインで活用しているツールやスキルを社内のUX啓蒙にも活用しちゃいましょう…てかなり余裕のある企業じゃないと採り入れにくい提案ですね、コレ。そしてフリーランサーの私には関係ないし…。
▼Designing for Virtual Production
by Joel Pennington
ジェームズ・キャメロン監督率いる映画制作プロジェクトに多大なる貢献をした Autodesk の MotionBuilder なるソフトウェアがありまして、それが実際に監督のどんな要望や構想を実現する手助けをしたかを自慢するって感じ(笑)。“Cool Stuff!”の紹介に終始して、UXとかユーザビリティとか、アレ?欠片も出てこなかったような気が…。
▼Designing for Delight
by Giles Colborne
UXデザインはすなわち Delight(歓喜)をデザインすることだよねってのが大元にあって、その Delight をデザインするにはまず Anxiety(心配や不安)の種を見つけること、それを敏感に感じ取れるようになることが大切です。ふむふむ。Anxiety の根っこを見つけて、難なく華麗に、あるいはちょっとした驚きを添えて、はたまた極めて賢い形で解決策を提示すれば、ユーザーの顔には Delight が現れる。Value+Value=Innovationになるのは稀な話。本当はほんのちょっとしたところに、別に普通じゃん?と思うからこそ誰も試してこなかったようなことを付け足してあげたら、意外や意外、Innovation の出来あがりってのが現実かもしれません。でも、Delight はすぐに色褪せるものだから、ふんぞり返ってちゃダメですぜ。以上。
うん、まー、Closingとしては悪くないと思うけど、最後まで頑張って聞いて良かった感は薄い。いややはり、こういうメンタリティを肝に銘じておくことは大事だ。うん。