HCIIの発表オスソワケ (1)

2013年07月30日(火) 16:21

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, イベントの話, モノ+コトの話, ラスベガス, リサーチャーの知恵袋

WHAT I LEARNT FROM HCII (1): The quality of the papers, presentations, and moderations by session chairs were all not great at all up to the advance reviews, but still, there were some interesting and prospective papers and authors. The details are only in Japanese, sorry, but you are able to buy the proceedings through the HCII2013 website, if you are really interested in it.

最初に行ったセッションがズタボロ過ぎて、出ばなを挫かれました。発表者の出身国がいろいろでイイと思ったのに、7件中3件の発表がキャンセルで、結局は韓国人2人と日本人2人による内容・プレゼンともに団栗の背比べ状態のセッションでした。日本人の一人は東大の先生らしいが、プレゼンが本当に酷かった。もっと練習してこいよぅ。英語だけの問題じゃないと思うぞ。東大でコレじゃ、日本の将来どころか現在が心配になる…。

3件もキャンセルになって時間が余っているのに、プレゼンがヒドイもんだから Q&A も盛り上がらない。そこで司会はキャンセルになった3件の論文のアブストか結論かよく分からなかったけれど、とにかく読み上げ始めたりなんかして…もう勘弁してよ(笑)。別のセッションでは、発表を一つ忘れたままで終えようとする司会者がいたりして、これまた驚いた。発表者、急いで前に出て、帰ろうとする聴衆を呼び止める…みたいな。可哀そう過ぎます。

そういうわけで前評判どおり、内容もプレゼンも司会もヒドイ有様のHCIIでしたが(注:わたしが見た範囲に限ります)、その中でも興味深く聞かせていただいた発表を3件、オスソワケします。

 

[1] ライフログに関する発表 [2] 写真に広告への入口を設ける [3] 外国人向けソフトのUT

▼Sharing Life Experiences with Friends Based on Individual’s Locality(by Mohsin Ali Memon, Jiro Tanaka)

ツアリズム関係の研究発表をまとめたセッションで、全体としてのまとまりもよく、各発表の質も高い中、黒一点の日本男子(筑波大学の先生でした)が最後に少しだけ毛色の違う、しかし聞いてみれば括られていることにとても納得のいくライフログに焦点をあてた発表をしてくださいました。
友達だからといってライフログをすべて共有する必要なくね?というリサーチクエスチョンから出発した研究です。ロケーション(街、通り、施設 etc.)を軸にログを残し、将来、同じロケーションを訪れた友人知人で、過去にそこを訪れた知り合いの残したログが気になる…という人だけがログを見に行く仕組みとそれに使うソフトの提案でした。
たとえば私は昨今、ブログやFBをライフログ的に使っていますが、自分のタイムラインに沿って好き勝手に発信して、たまたまそのとき繋がっている友人知人で私の発信に気づいた人は見たり、読んだりして、「へ~」とか、「おもしろーい」とか、あるいは「感じ悪っ!」とか思うわけです、たぶん。著者の提案では、ログ発信のタイミングは変わりません。しかしログを受け取る人には、即時閲覧することよりも、将来、同じロケーションへアクセスしたときに閲覧し、それを参考に、あるいは反面教師として、自分がそこで体験しようとしていることの質を上げるというログの使い方が推奨されます。現在のブログやFBも、後になってから過去に遡って記録を見ることは可能ですが、投稿のタイミングで見て終わり、というのがほとんどではないでしょうか? 発信者の自己満足で終わりがちな今の仕組みと比べたら、情報が効率よく活用されることが期待できて面白い。単純に「使ってみたい!」と思わせてくれるシステムで引き続きの研究が楽しみです。

▼Online Advertising as a New Story: Effects of User-driven Photo Advertisement in Social Media(by Min Shin, Da Young Ju)

私は広告屋さんではないので範疇外なのですが、新しくて効果的な広告提示方法の提案でちょっと目から鱗でした。ユーザーにとっては確かに邪魔なものではあるけれど、しかしユーザーに安くサービスを提供するためには無下にもできない“広告”をどうやって上手にインターフェイスやコンテキストに埋め込むか…を検討した結果、ユーザーがSNSにアップする写真に、その写真に関連する会社やサービスのロゴやアイコンを配置する仕組みを構築し、写真を見た流れで「どこのお店だろう?」とか、「どこが提供してるサービスだろう?」とか、興味を持った読み手に能動的に広告へとアクセスしてもらうことを狙うというお話です。
確かに、写真だけでは情報足りないからってURLを別に貼ったりすること、ありますよね? あるいはお友達がアップした写真を見て、「どこだよっ」と一人密かにツッコんでいることも、ありませんか?
関心を持った人は私に限らなかったようで、

・写真と関連付けられる会社やサービスが複数に及んだ場合はどうするか?
・写真だけを見せたくてアップしているユーザーのために、ロゴ掲載を拒否する自由度をユーザーに与えるべきではないか?
・せっかくの写真をロゴが台無しにすることのないよう、配置をユーザーが指定できるようにしてはどうか?

など、聴衆からも数々の意見や要望が寄せられました。
実装するとなると、思い及んでいない数々の課題に直面しそうではありますが、ぜひ乗り越えて欲しい。そんな応援をしたくなるイイ発表でした。とりあえず、FBに売り込めばイイんじゃないかな?

▼A usability testing of Chinese character writing system for foreign learners(by Manlai You, Yu-Jie Xu)

中国語の学習に意欲的な外国人向けのソフトウェア“習字e筆通”のユーザビリティ評価結果を共有する発表で、内容としては正直普通レベル。

・外国人向けのソフトウェアである以上、そもそものインターフェイスを少なくとも英語で提供すべきではないか?
・漢字の練習に終始せず、単語や文の学習にまで発展させて欲しいというユーザからの要望は当然の結果であり、それにどう対応していくつもりなのか?

などツッコミどころはあったけれど、立派だったのは、それらのツッコミは想定済みで、今後の取り組みとして列挙できていたことや、Questionnaire から得られた結果と Usability test のビデオ分析から得られた結果とをきっちり分けて報告できていたこと。そういうところを雑にまとめて発表している人が多かったので、基本的なことではあるけれど、だからこそ大事なことでもあり、よく出来ていて感心しました。それに、Questionnaire の結果の見せ方が斬新だ!(写真[3])。n数が少ないときの結果の見せ方、いつも迷うんですよねー。平均とってもしょーがないし。この見せ方はこれまで考えたことがなかったので、思わぬ学びでした。参考にさせていただきます。
加えて、この発表を通じてもう一つ、とても大きな学びを得ました。在日外国人や外国人観光客向けのソフトウェアやWebサイトのユーザビリティ評価、これまで受注したことがなかったので盲点でしたが、私のスキルと経験、売りどころかもしれん…。どこに営業いけばイイのかな? 観光庁とかでしょうか? 民間を狙うべきでしょうか?