危ないところを目立たせる

2013年03月15日(金) 18:56

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 石川, モノ+コトの話

RISKY POINTS EMPHASIZED: Gold leaf for your tea at Kagaya. This is just an example of its gorgeousness. What I really liked about Kagaya is rather a little ingenuity, which is an eye-catching cloth cover for guests to notice the edge. Such a risky corner or edge should not be designed from the beginning, but they are there. Making the risky points emphasized makes people to be careful. Great design based on kind observation.

加賀屋はあちこち煌びやかでした。エレベーターホールのカーペットがふかふかだったり、素人には検討もつかないお値段であろう美術品がしれっと飾ってあったり、すんごいシャンデリア~が高ーい天井からぶら下がっていたり。ラウンジで紅茶を頼んだら、「お好みで金箔を浮かべてお楽しみください」とか言われて、庶民だもの、それはもう一面金色になるくらいにしてやろうかと思ったけれど、恥じらってちょこっとにしてみたり(写真[1])。

[1] 紅茶には金箔を浮かべて [2] 出っ張りにはカバーを [3] 気づけば自分で気をつける

そんな贅沢の数々はともかく、加賀屋に足を踏み入れてみて一番感心したのは、廊下の手すりの出っ張りを柔らかい布で覆っている、そんなちょっとした配慮でした。もちろん出っ張りなど最初からないデザインになっていれば必要のない工夫です。でも出っ張ってしまっている。嬉しくてはしゃぎ回る子どもが頭をゴツンとか、うっかりお年寄りが脇腹をグサッとか、してしまうことのないように布で覆ってくれているのです(写真[2])。

大浴場の脱衣所の角にも布が当ててありました(写真[3])。下のカゴの中から物を取ろうとして屈んだ後、起き上がるときに頭をゴツンと、うん、ありそうです。この程度の当て布では痛みをゼロにはできないかもしれませんが、この布のポイントは、頭をゴツンとやってしまったときの痛みを和らげることよりも、「ゴツンとやったら痛いだろうから気をつけなくちゃね…」と気づかせることにあるのではないでしょうか? だから敢えて目立つ(けど控え目な)色合いの布や紐を選んでいるのではないかと思います。お客様の様子をよく観察していればこその配慮ですねー。