コルク対スクリューキャップ

2010年12月03日(金) 18:10

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, モノ+コトの話

夫婦揃って大のビール好きなのは周囲に広く知られたことですが、実はけっこうワインも飲むのです。赤よりも白。長年寝かせて熟成させた濃〜いワインよりも、さっぱりと喉を通っていく若いソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリなんかが好きです。ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランなんて最高。

 

[1] 昔ながらのコルク栓 [2] 新参者スクリューキャップ [3] スパークリングまでスクリュー

そのニュージーランドやオーストラリアなどの新世界ワインには、コルク(写真[1])ではなくスクリューキャップ(写真[2])が使われているものが多いです。開封がとにかく簡単で助かりますよね。スクリューキャップのボトルを選んで購入すれば、ワインオープナーなしで楽に開けられますから、旅先などでもスーパーで手頃な値段のワインを買って飲むことができます。ワインオープナーを持っていく必要がなくなるので、空港のセキュリティーゲートで捕まる心配もなくなります(笑)。

スクリューキャップには他にも色々と利点があって、ブショネ(コルク臭によりワインの味わいが変化してしまうこと)の心配がなくなることや確実に長期密閉や長期保管ができる点、開けるのが簡単なうえに再栓も容易なので飲み残しを明日に回すことができる(よって今日飲み過ぎずに済む…だって再栓できないと「捨てるのもったいないっ」って全部飲むことになるでしょ?)なんてところがよく言われているようです。

ニュージーランドやオーストラリアから始まったスクリューキャップはその後、チリやカリフォルニアへ広まり、最近ではワイン伝統国のヨーロッパ各国へも普及しています。なんとスパークリングワインにもスクリューキャップを使ったものが出てきているから驚きました(写真[3]/スクリューキャップの下の部分を写真のようにむき取ると再栓可能な栓としてキャップを使えます)。使いやすさの視点からは圧倒的にスクリューキャップが優勢で、これからどんどん増えて行くことでしょう。

いっぽうでエクスペリエンス的にはどうでしょうか? ガラス瓶にコルクで栓をしたものこそがワインで、コルクを抜くときの“ポンッ”という音がないとワインという気がしない!なんて言う人が世の中にはけっこう大勢いそうです。ソムリエがビシッとワインを開ける姿、実に格好良いですよね。もしすべてのワインがスクリューキャップになったら、ソムリエの見せ場がなくなってしまいそう。

牛乳瓶が牛乳パックに代わってきたように、一升瓶に代わってペットボトルが主流となってきたように(日本の話)、ワインの栓もコルクからスクリューキャップへと完全に代わってしまうのでしょうか? ユーザビリティ屋的には歓迎だけど、エクスペリエンス屋的にはコルクにも少しガンバッテ欲しいみたいな、複雑な心境なのでした。ワインでも飲みながらもっと考えてみましょー(笑)。