ユビキタス・アートツアー

2010年06月28日(月) 13:39

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東京ミッドタウンでユビキタス・アートツアーを体験してきました。ユビキタス・コミュニケータという手の平サイズの情報端末を首から提げ、そのナビゲーションに従いながら、自分のペースでミッドタウンのアート巡りをするというツアーです。ナビゲーションは端末の画面表示とイヤフォンから流れてくる音声の2つで提供されます。

すべてのアートを巡る120分フルコースや気軽に回れる30分ハイライトコース、建築に注目する建築デザインコースや屋内にあるアートだけを回る雨の日コースなど、7つのコースの中から好きなモノを選んでツアーをスタートします。どれにするかは当然自分で選ぶのですが、コースを開始すると途中で変更することができません。ツアーカウンターでツアーの申し込みをする際にどのコースにするかを選んで終わり。でも実際には、“120分フルコースを選びはしたけどもう疲れたから30分ハイライトコースに変更したい”とか、“120分のコースを回っている途中で雨が降ってきたから雨の日コース に切り替えたい”といったニーズがあるはずです。また、“30分ハイライトコース”を選ぶと、途中でいくつかアートを飛ばすことになります。目の前にアートがあるのに、その説明を聞くことができないのです。コースには入っていないけど、ちょうど通りかかったからついでに聞いてみよう!と思っても聞くことができない。これってちょっとしたストレスです。“最先端の情報端末”という触れ込みなんですが、ちょっと柔軟性が足りませんね。

 

[1] アートの概要情報 [2] アートの詳細情報 [3] 次のアートまでの道順

アート作品の前に到着すると、端末画面にはそのアートの概要説明が表示され(写真[1])、ツアーに組み込まれているアート作品の前に到着した旨が音声でも伝えられます。画面の右側に並んでいるタブにタッチすると、そのアートに関する詳細な情報(写真[2])や作家さんに関する情報などを聞くことができます。ちなみに音声で提供される情報は画面に表示されるものと100%同じです。少し機械的な読み上げで、聞きにくい印象をうけました。また、タブをタッチして情報を呼び出すという操作がとても面倒です。いちいち画面を見なければならないし、ギラギラ輝く太陽光の下では輝度を調整しても(端末の左側面、親指のあるあたりにホイールがあり簡単に調整できるようにはなっています)見にくいです。端末の右側面(中指のあるあたり)に“もどる・ストップボタン”というハードボタンが一つ用意されているのですが、さらにもう一つボタンを追加して、“進む・次へ”みたいな機能を割り当ててくれれば画面を見る必要性が減って、使いやすくなるのではないでしょうか?

目の前のアートを十分に堪能したら、画面の下部に3つ並んでいるボタンの真ん中にある“次のアート”をタッチします(これも“進む・次へ”ボタンを追加すれば画面上で操作する必要がなくなります)。すると写真[3]のように次のアートまでの道順が示されます。「○○を左手に見ながら△△方向へ進んでください」とか、「信号を渡ってから右へ進んでください」といった感じに案内されるのですが、ミッドタウンとその周辺の地理をよく知らない人にはこれだけの指示でルートどおりに歩くのは難しそうでした。実際、一緒に行った母は何度か、てんで違う方向へ行こうとしたりしてました。おまけに端末を見ながら歩くから危ない…。音声だけでもう少し的確に案内できるようにしたほうが良さそうです。

いちばん改善して欲しいな〜と思ったのは、ツアー参加者全員に端末を持たせる点です。各自が自分のペースでツアーを楽しみたいというのはもちろんあるでしょうが、わたしと母のように一緒に、同じペースで回りたいというニーズもあるはずです。「次に進んで良い?」と聞き合って“次のアート”をタッチするタイミングを揃えたりして結構面倒でした。いっそのこと代表者が端末を一台持って操作することにし、同行者はワイヤレスのイヤフォンを装着すれば良いだけにしてくれると楽だと思います。

ユビキタス・コミュニケータを使ったアートツアー。実践されているところはまだ数が少ないようですが、美術館や博物館などに今後どんどん導入されていくのでしょうか? 海外からの視察なども多いらしく、わたし達がツアーを始めるとき、中国人の団体さんがちょうどツアーを終えていらっしゃいました。今後の展開が楽しみなテクノロジーではありますが、ぜひユーザビリティの改善にも取り組んでいただきたいです。