情報提示は目線の高さに

2010年04月02日(金) 13:45

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先日、麗らかな春の陽気に誘われて長らく先延ばしにしていた近所の散歩に出かけてみました。

 

[1] 案内板が目線の高さにある例 [2] 地面に案内を書いている例 [3] 高いところに案内板のある例

で、その途中で通りかかったとある歩道です(写真[1])。よっぽど土地に余裕があるらしく、歩道の中央にかなりの幅(2メートルくらい)の生け垣が植えられていました。転々と大きな木も並んでいます。そしてその生け垣に向かって左側(車道側)が自転車道、右側が遊歩道ですよ!という案内が生け垣のスタート地点に大きく掲げられていました。この位置と高さなら、歩行者も自転車走行者も見逃しそうにありません。

2008年6月の道路交通法改正を受けて、歩道に“普通自転車通行指定部分”というのを定めるところが増えてきているようです。正確な道幅は分かりませんが、一定幅以上の歩道は自転車と歩行者で分け合うことになっているというわけで、以前の記事でもご紹介したとおり、“自転車は車道寄り”を走行するようにというお達しを路面に書いているところ(写真[2])や案内標識を掲げているところ(写真[3])を東京都内の各所で見かけます。

今回近所で見かけたところのように、ここまで道幅に余裕がある歩道は日本、特に東京では少ないでしょうし、生け垣を作るにしてもこれ程の幅はいらんだろ…という感じですが、この生け垣の一番の効果は看板を立てるスペースを確保しているところだと言えるかもしれません。写真[2]のように地面に書くのではなく、写真[3]のように人の目の高さよりも遙か高いところに案内板を設置するのでもなく、そこを通る人が特に意識して周囲を観察しなくても目に入るところに情報を置くことが、この生け垣のおかげで成り立っているのです。生け垣がなかったら、道のど真ん中にどど〜んと看板を立てることになり、歩行や走行の邪魔になったり、衝突事故などの危険を生んだりする可能性もあり、かえって悪影響ですよね。

ただ残念なことに、ところどころにある生け垣の境目には看板が立っていなくて、途中からこの道に進入するときには、あらかじめ知っている人でない限り、左右の道の区別がつきません。もっと人通りが多ければ状況を見て判断することもできるでしょうが、生憎とても人通りの少ない道なのでした…。混み合うところにこそ欲しい生け垣と案内板ですが、世の中うまくいかないものですね(笑)。